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飛行機内の新型コロナ予防ってどうなってる?ANAやJALの取り組みを徹底解説

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2021.08.16
by ドットマネー編集部

飛行機は密閉空間ではない

新型コロナウイルの感染拡大を防ぐには、三密(密閉空間、密集場所、密接場面)の回避が不可欠です。

電車やバスなどの交通機関では窓を開けることで換気を行っていますが、窓の開かない飛行機ではどのようにして空気を循環させているのでしょうか?

たった2、3分で空気は入れ替わる

運航中、機内の空気は2~3分で入れ替わり、特定の場所に空気が滞留することはありません。 

機種ごとにシステムの違いはありますが、主にエンジンや航空機下部にある「エアコン装置」から外気を取り入れ、温度を調節した後に天井から客室内へと送風する仕組みです。

客室内の空気は機内外の圧力差により上から床下へと流れていき、胴体下部にある「開閉弁」から機外へ排出されます。 

新幹線は車内に設置した空調・換気装置により、6~8分ほどで空気が入れ替わるといわれています。

飛行機はそれ以上に空気の循環が早く、常に新鮮な空気が保たれているといえるでしょう。

清潔な空気を保つフィルターを完備

床下に流れた一部の空気を客室内に循環させる際、ANAやJALでは「HEPA(High-Efficiency Particulate Air)」と呼ばれる高機能フィルターを用いています。

このフィルターは、粒径が0.3μmの粒子を99.97%以上捕集するのが特徴で、主に高度な清浄空間が要求される病院の手術室や精密機械のクリーンルームなどで用いられています。 

ちなみに、髪の毛は70μm、スギ花粉は30μm、PM2.5は2.5μmほどのサイズです。 ただ、フィルターは空気中の汚染物質や細菌を捕捉する作用はあっても、ウイルスを死滅させることはできません。

フィルターや換気に加え、こまめな消毒作業を実施するエアラインが大半です。

機内のソーシャルディスタンスは?

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多くの人が懸念するのは、機内での「密接」「密集」です。ファーストクラスを除いては、前後・左右の席が近いうえ、自由に移動ができません。

機内でのソーシャルディスタンス(社会的距離)はどのように保たれているのでしょうか?

JALは期間限定で座席に制限を設定

機内でのソーシャルディスタンス対策は、航空会社ごとに異なります。

JALの場合、「指定対象外」の席を設け、客が隣同士にならないような工夫をしています。 

たとえば、国内線のエコノミークラスは通路を挟んで席が3列並びますが、中間の1列は指定ができません。2人掛けの座席では窓側のみ指定が可能です。(一部の機材・路線および国際線ファーストクラス、ビジネスクラスを除く)

現在のところ、座席に制限を課す対策は2020年6月30日まで行われる予定です。

IATAはマスク着用のみ促している

「IATA(国際航空運送協会)」は、高品質のHEPAフィルターや換気システムが機能している機内では感染拡大が考えにくく、ソーシャルディスタンスを確保するための中間席は必ずしも必要ではないという見方を示しています。 

一方で、乗務員や利用者のマスク着用を支持しており、多くの航空会社では乗客のマスク着用を強く求める取り組みが始まっているようです。

ANAでは「特段の理由を除き、マスクを着用していない場合は搭乗を断る場合もある」としていますが、あくまでも要請で義務ではありません。乗客一人ひとりが忘れずにマスクを着用することが大切です。

機内サービスの変化

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機内での楽しみといえばオリジナリティのある「機内食」です。ドリンクサービスや機内販売など、ほかにも多種多様なサービスがありますが、コロナウイルスの影響により、機内サービスの一部は中止または簡素化されています。

ドリンク、機内食サービスの簡素化

フルサービスキャリアでは、ドリンクや機内食提供などの手厚いサービスによって、LCCと差別化を図ってきました。しかし、コロナウイルス拡大後は乗務員と乗客の物理的な接触を避けるため、機内サービスの一部を簡素化しています。

従来のドリンクサービスでは乗務員が座席をまわり、客のコップに飲み物を注いでいましたが、2020年6月時点では「紙パック入りのお茶」のみの提供です。

機内食は基本的に「ボックスミール」で、トレイから乗客が自分で受け取ります。乗務員からの直接の手渡しはありません。 

各席で出たゴミは直接回収せず、降機時、乗務員が用意したゴミ袋に乗客自身で投棄するように変更されています。

消毒の徹底と除菌シートの配布

コロナウイルスは「飛沫感染」がほとんどですが、ドアノブやトレイなど物を仲介した感染もゼロではありません。

感染者がくしゃみを手で押さえた手で周囲の物に触れればそこにウイルスが付着します。それを他人が触り、口や鼻を手で覆えば粘膜からウイルスが侵入するでしょう。

プラスチックの表面でウイルスは最大72時間生存するといわれています。 航空会社ではアームレストやテーブルなど「乗客が手で触れやすい場所」を中心に、機内の消毒を徹底しています。 

また、ラウンジやゲートに消毒液を設置することで搭乗前の感染を防止するほか、搭乗後は指先や座席の消毒用に「除菌シート」を配布しています。

空港は大丈夫?

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空港は機内のように閉ざされた空間ではありませんが、荷物を預けたり、チェックカウンターで手続きをしたりと、人や物に接触する機会は少なくありません。

空港では消毒に加え、検温や距離の確保などさまざまな対策を講じています。

接触感染を防ぐ取り組み

各空港では、消毒・清掃・換気による衛生的な環境づくりに力を入れています。

不特定多数が触れる「タッチポイント」の消毒を強化するほか、利用者がこまめに手の消毒ができるよう、主要動線上には「消毒液」を設置しています。 

チェックイン時はカウンター前が混雑しがちですが「自動チェックイン機」を活用すると人との無駄な接触が回避できるでしょう。 

ANAでは、チェックインを省略できる「スキップサービス(ANA)」を導入しています。

Web上で予約から座席指定までをすべて済ませておく必要がありますが、当日はIC機能付きカードやスマホのバーコードを機械にタッチするだけでスイスイと先に進めます。

人との接触機会を減らすため、今後はセルフサービス型の搭乗手続きが拡充される見込みです。

出発前には検温を実施

国内線の出発エリア(保安検査場入り口付近)においては、すべての搭乗客に対しての「検温」を実施しています。 

検温に使用するのは、非接触で瞬時に体の温度分布が測定できる「赤外線サーモグラフィー」で、発熱がある人や感染が疑われる人は航空会社に搭乗を拒否されるケースもあります。

体調が優れないときは自宅で体温チェックを行ってから出発しましょう。 検温は主に「羽田空港」「成田空港」「伊丹空港」「関西空港」「中部空港」「福岡空港」などで実施しています。

これからの課題

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これまでは人の移動が制限されていましたが、2020年6月19日以降は県境をまたぐ移動が解除され、今後は多くの人が空港を利用することになります。

今後の課題や自分たちにできる対策を考えてみましょう。

乗客一人ひとりの協力

空港や各航空会社ではポスターの掲示や公式SNSで、利用者にマスクの着用や咳エチケットを呼びかけています。乗客一人ひとりが応え、自分でできる感染症対策を行うことが大切です。 

空港内では混雑と接触を避けるため、できるだけセルフチェックイン機を利用するのが好ましいでしょう。

感染リスクが比較的高いと考えられる空港のトイレや機内のラバトリーでは、使用後に便器の蓋を閉めて汚物を流す配慮が必要です。 

空港では検温による乗客の健康チェックを行っていますが、体調がすぐれないときは外出を控えるのが賢明です。

到着時に接触しないように

感染リスクが比較的高いといわれているのが「到着時」です。

前の席の人から立ち上がって順番に降機するのが理想ですが、飛行機が到着した途端、人々が入口に殺到し機内は三密に近い状態になります。 

到着後はすぐに立ち上がらず、人が少なくなったタイミングを見計らって準備をするのがよいでしょう。 

手荷物棚の取っ手に触れる機会をなくし、到着時の移動をスムーズにするためにも、手荷物は機内に持ち込まないか、足元に置いておくのがベターです。

まとめ

JALやANAの国際線では、コロナ感染防止に向けたさまざまな取り組みを行っています。 

「飛行機=三密」というイメージが強いですが、実際は3分ごとに空気が循環するクリーンな空間です。航空会社によっては、指定外座席を設けるなど、機内でのソーシャルディスタンスを保つ工夫も行っています。 

各航空会社での取り組みに、利用者1人ひとりが協力するとともに、自らが進んで感染症対策を行う姿勢が大切です。

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