サービスステイタスはJAL独自のサービス
「JAL(日本航空)」には、マイル以外にも「飛行機に搭乗したとき貯まるポイント」があります。JAL独自のランク制度「サービスステイタス」の基準となるポイントです。 ステイタスが上がるごとに、受けられる空港サービスの内容も変わります。
ステイタスは、ダイヤモンド・プレミア・サファイア・クリスタルです。ステイタスは通常1年ごとにリセットされますが、新型コロナの影響により2022年2月末までに期限となるマイルは、同年3月末まで有効期限が延びることが発表されています。
FLY ONポイントによりランクアップ
サービスステイタスを獲得するためのプログラムは「FLY ONプログラム」です。1年間に積算された「FLY ONポイント数」により、ステイタスがランクアップします。
FLY ONポイントは、搭乗により貯まるフライトマイルに「FLY ONポイント換算率」を掛け、「搭乗ボーナスFLY ONポイント」を足したものです。FLY ON換算率は、行き先によって変わります。
・国内線:2倍
・日本→アジア・オセアニア・ウラジオストク:1.5倍
・その他国際線:1倍
搭乗ボーナスは、「運賃種別」に対しての上乗せポイントです。国内線の場合、普通運賃は+400ポイントが付く一方、先得各種は付与対象外となっています。
JMBクリスタル
「JMBクリスタル」は、1〜12月の間に3万FLY ONポイント以上を獲得した場合のステイタスです。3万ポイントのうち、半分以上がJALグループ便利用の必要があります。
年間30回以上の利用かつ、1万FLY ONポイント以上でもステイタスの獲得が可能です。なお、うち15回以上がJALグループ便利用の必要があります。
専用予約デスクが利用可能
サービスステイタスがクリスタルにランクアップすると「クリスタル会員専用の予約デスク」が利用できます。
航空便の予約時は、オンラインを利用することが多いかもしれません。変更やキャンセルなど、さまざまな都合で電話が必要になったとき活躍するサービスです。
通常の予約デスクはすべての会員が利用することもあり、混み合うことがあります。一般の予約デスクにつながらない場合、専用予約デスクに問い合わせるとスムーズに予約手続きが進むでしょう。
何かあったとき、専用予約デスクが利用できることを覚えておくと役立ちます。
優先キャンセル待ちのサービス
飛行機の予約を取るとき、利用したい便が満席の場合は「キャンセル待ち」の扱いとなります。このとき、通常の会員ステータスの場合は「先着順」で割り振られますが、上級会員は通常会員よりも優先度が高くなるのがメリットです。
乗りたい便が満席だったとしても、キャンセル待ちで利用できる確率が上がります。もちろん、クリスタル会員が優先されるということは、上のランクの会員はさらに優先順位が高くなる仕組みです。
必ず予約が取れるわけではありませんが、状況によっては希望の便を利用しやすくなるでしょう。
JMBサファイア
1〜12月の間に5万FLY ONポイント以上を獲得すると「JMBサファイア」にランクアップします。5万ポイントのうち半分以上はJALグループでの利用が条件です。
年間50回以上かつ1万5000FLY ONポイント以上でも、ステイタスが獲得できます。なお、50回のうち25回以上はJALグループ便であることが条件です。
サファイア到達でJGC会員になれる
サファイアになると「JGC(JALグローバルクラブ)」の入会案内が届きます。指定されているJALのカードを保有することを条件に、クラブ会員の資格を得られるのです。
JGCに加入すると、サービスステイタス以外の特典も付いてきます。たとえば「搭乗ボーナスマイル」は、多数マイル獲得のチャンスです。
その年の初回搭乗で3000マイルが付与されるだけでなく、対象便の搭乗ごとにボーナスマイル(運賃倍率×35%)も手に入ります。
専用のチェックインカウンターを利用できることも魅力です。国内線は「JGCカウンター」、国際線は「ビジネスクラス」用カウンターを利用でき、繁忙期もスムーズな手続きが叶うでしょう。
もちろん、サファイアを対象にした専用予約デスクの利用や前方座席指定サービスなども利用可能です。
カード保有で資格は自動更新
通常、サービスステイタスは、1年ごとに更新されます。毎年上級会員として認められるには、多くのフライトを利用してフライトマイルを獲得することが必須です。
マイルと交換できる「特典航空券」の利用は対象外となっているため、有償でのフライト利用となります。「今年は海外旅行に何度も行ったけれど、来年は時間やお金の面で難しいかもしれない」というケースもあるでしょう。
しかし、JGCの会員資格は、一度獲得するだけで継続が可能です。指定のカードを保有し、年会費を支払うだけで自動的に会員資格が継続されます。
仮に上級会員の資格を失った場合でも、JGC会員の資格は続く点が魅力です。長期間JALの特別なサービスを受けたいときは、いったんサファイアまでランクを上げることを目標としましょう。
JGCエントランスが使える
手荷物検査をスムーズに進める「JGCエントランス」が使えるようになるのも、サファイア会員のメリットです。本人と同行者1名まで、サービスを受けられます。
JGCエントランスの利用ができるのは、羽田・福岡・新千歳・伊丹・那覇空港です。ファーストクラスやサファイア以上の上級会員のみが使える、専用の優先窓口へ案内してもらえます。
手荷物検査に時間がかからないぶん、ラウンジなどでくつろげる時間も長くなるでしょう。
到着時も、ANA便と一部コードシェア便で優先的に手荷物を受け取れる「プライオリティバッゲージサービス」を利用できます。こちらは、会員本人のみが対象です。
JGCプレミア
「JGCプレミア」は、JAL会員の中ではJGCのみが利用可能なステイタスです。
会員資格の獲得には、1〜12月の間にFLY ONポイントが8万ポイント以上必要となり、条件も厳しくなります。8万ポイントのうちの半分は、JALグループ便の利用が必須です。
もしくは、年間80回以上の搭乗で2万5000FLY ONポイントの獲得が必要になります。うち40回以上はJALグループ便の利用が条件です。
上級ラウンジが利用可能に
JALには、一般客やクリスタル・サファイア会員も利用できる「サクララウンジ」のほか、上級会員のみが利用できるラウンジがあります。
国内線の「ダイヤモンド・プラチナラウンジ」または国際線の「ファーストクラスラウンジ」は、一部の空港で利用が可能です。
利用対象は、ダイヤモンド・プラチナ会員またはファーストクラス利用者ですが、JGCプレミア会員も利用できます。利用できる顧客が限定されていることもあり、空いているラウンジでゆったりくつろげるでしょう。
また、それぞれ軽食も提供されます。ダイヤモンド・プラチナラウンジでは、カレーパンやおにぎり、みそ汁など小腹が空いたときに楽しめる食事が無料です。
ファーストクラスラウンジでは、目の前のカウンターで職人が寿司を握ってくれるほか、和・洋・中のこだわり料理をできたてで味わうこともできます。
ワンワールドエメラルドの特典も
世界の航空会社は「アライアンス」という航空連合に加盟しているところがほとんどです。JALも、連合の一つである「ワンワールド」に属しています。JALの上級会員になると、自動的にワンワールドのエリートステイタスも付与されるのです。
なかでも、JGCダイヤモンド・JGCプラチナ会員は、ワンワールドでは最上級の「エメラルド会員」の資格が得られます。
ワンワールドで特別なサービスを受けたいなら、プラチナ会員以上を目指しましょう。14の加盟航空会社で、好待遇が期待できます。
なお、ワンワールドでのエメラルド会員向けサービスは、JALのダイヤモンド会員もプラチナ会員も同じです。海外旅行が多く、外国の空港をよく利用するならプラチナ会員でもダイヤモンド会員と同じ扱いが受けられるしょう。
JMBダイヤモンド
「JMBダイヤモンド」はJALの上級会員の中でも、最上級のランクです。1〜12月の間に10万FLY ONポイントを獲得し、半分以上がJALグループ便の場合に会員資格が獲得できます。
または、年間120回以上の搭乗かつ、3万5000FLY ONポイントの獲得でも対象です。うち60回はJALグループ便の利用であることが条件となります。
ボーナスマイルは130%
飛行機の搭乗で貯まる「マイルUPボーナス」は、会員ランクによって積算率が変化します。ダイヤモンド会員はJALグループまたはアメリカン航空の飛行機を利用すると、積算率が130%になる点がお得です。
マイルUPボーナスは、区間マイルに利用運賃のマイル換算率を掛けたものにボーナスマイル積算率を掛けることで計算できます。
たとえば、積算率が130%のアメリカン航空の搭乗時、区間マイルが500マイルで運賃によるマイル換算率が100%であれば、以下のように加算されます。
・500(マイル)×100(%)×130(%)=650(マイル)
JMBダイヤモンド特典航空券
「JMBダイヤモンド特典航空券」は、マイル用の座席が満席になっているときでも交換ができるサービスです。期間限定のサービスですが、独自の特典航空券があるのはステイタスの中でダイヤモンドのみとなっています。
一般席を利用するには、通常の特典航空券に比べると約2倍のマイルが必要です。しかし、通常運賃よりはお得なうえ、好きな便や時期の利用がしやすくなります。
いざ特典を利用したいときに満席で利用できないストレスが減り、ほかの会員より有利にマイルを活用できるでしょう。
対象はJAL国内線と一部コードシェア便です。JAL便は会員サイトまたはダイヤモンド・プレミアデスク、コードシェア便は電話での受付となります。
ダイヤモンド会員になるとマイルの有効期限も無期限です。自分が使いたいときに、まとめてマイルを使う方法も検討できます。
ステイタスがJMBダイヤモンドになると、ボーナスの積算率アップなどの優遇からマイルが貯まるスピードも早くなるはずです。JMBダイヤモンド特典航空券を利用する頻度も増えるでしょう。
FLY ON ポイントの貯め方
FLY ONポイントの獲得には、飛行機の搭乗が必須です。マイルとは異なり、搭乗のみで獲得できます。ボーナスなどもありますが、どちらにしても飛行機の搭乗が必須条件です。
搭乗で貯める
FLY ONポイントは、対象の飛行機に搭乗するだけで貯まります。ポイントへの換算率は利用する便によって異なりますが、細かいポイント数はJALの公式サイトで試算が可能です。
JALマイレージバンクの「マイル数をしらべよう!」のページで国内線か国際線を選び、出発地・到着地・座席のクラス・カード種別・サービスステイタス・利用運賃などを入力していきます。
検索ボタンを押すと、フライトで貯まるマイル数やボーナスマイルが計算される仕組みです。保有しているカードやサービスステイタスによって、ポイント数が変わってくることもあります。詳細な計算をしておきたいなら、公式サイトを活用しましょう。
JALマイレージバンク - マイル数(Pontaポイント)をしらべよう!
国内線の長距離が狙い目
FLY ONポイントの換算率は、国内線の場合2倍になります。貯まるマイル数が同じだとすると、国際線よりも多くのポイントが獲得できるでしょう。
たとえば、札幌から福岡まで普通席を利用して移動する場合、JMB会員でサービスステイタスがない状態でも「2164ポイント」が付与されます。同条件時の獲得マイル数は、882ポイントです。
なお、利用運賃は普通運賃の場合で、割引などを利用している場合はポイント数が変動します。
国内線を利用してFLY ONポイントを貯める場合「普通運賃や往復割引で搭乗ボーナスポイントを獲得する」か「長距離便でフライトマイルを稼ぐ」のが秘訣です。
ステイタス獲得のためとはいえ、東京から沖縄へ向かうルートや那覇空港を経由して乗り継ぎするなど「ポイントが貯まりやすい路線」を見つけて旅行を楽しみましょう。
搭乗ボーナスで貯める
運賃の種別や予約クラスによっては、「搭乗ボーナスポイント」の対象となります。国内線では、普通運賃をはじめ「JALビジネスきっぷ」や「株主割引」などの運賃で搭乗する場合、400ポイントのボーナスが取得可能です。
国際線の場合、航空券に記載されたアルファベット「クラス(CLASS)」によって、400ポイントを獲得できる場合があります。
短距離の移動だったとしても、普通運賃で搭乗するだけで400ポイントが貯まるのは大きなメリットです。近くの都道府県に出かけるときも、積極的にJALを利用してみましょう。
ポイントボーナスキャンペーンを活用
JALでは、特定のカード会員向けや時期によって、FLY ONポイントが貯まるボーナスキャンペーンを実施しています。たとえば、JAL会員限定の「FLY ONポイントボーナスキャンペーン」では、期間中の初回搭乗に限り数千ポイントが付与されました。
1回の搭乗で数千ポイントがもらえる機会は、なかなかないでしょう。短距離移動でも多くのポイントが貯まり、普段なら到達できないサービスステイタスの獲得もできるかもしれません。
なお、20年5月までは「サービスステイタスを獲得している会員限定で自分で選んだ1カ月間FLY ONポイントが1.5倍になる」キャンペーンや、「FLY ONポイントが2倍になる」キャンペーンが行われていました。
まとめ
JALには4種類のサービスステイタスが用意されています。ランクアップにより、さらにお得にJALを利用できるでしょう。ステイタスのランクアップ基準となるFLY ONポイントは、飛行機の搭乗で貯まります。
マイルとは計算方法が異なることもあり、国内線の利用でも貯めやすいでしょう。カード保有により永年継続が可能なJGCを獲得するには、まずはサファイア会員を目指すのがおすすめです。