JALやANAのマイルは相続できる
マイルの譲渡や売買は禁じられていますが、JALやANAでは、マイルの所有者が死亡した場合に限り「マイルの相続」が認められています。「相続人」に関する基本的なルールを確認しましょう。
マイルを相続できるのは法定相続人
JALマイレージバンク一般規約第14条には「会員のマイル口座に残る有効なマイルを相続することが可能」と記載されています。
ANAマイレージクラブ会員規約21条にも「会員のマイルを手続きが完了した時点で承継できる」とあります。
マイルが相続できるのは「法定相続人」で、仲がよかった友人や親戚が自由に相続できるわけではありません。
法定相続人は民法上で規定されており、「配偶者」と子・孫・兄弟姉妹・親・祖父母などの「血族」が対象です。「夫の兄弟」や「夫の親」などの「姻族」は法定相続人に含まれません。
出典:JALマイレージバンク - JMB一般規約
出典:ANAマイレージクラブ会員規約 | ANAマイレージクラブ
遺言書があれば他人でも相続可能
マイルが相続できるのは基本的に法定相続人ですが、一部例外もあります。 会員が生前に遺言書を残していた場合、法的相続人以外でも相続は可能です。
これは、法定相続人以外の第三者に財産を残す「遺贈(いぞう)」という手段で、財産を受け取る人を「受遺者」と呼びます。
ただし、ただ単に遺言書に書いておけばよいわけではありません。遺言書には所定のルールがあり、不備があれば内容は無効になってしまいます。行政書士や司法書士などの専門家に相談するとよいでしょう。
知っておきたいマイル相続手続き
マイルの相続は、めったに行わない手続きかもしれません。マイルの保有者が亡くなった後、手続きをせずに時間が経ってしまえば、マイルはそのまま無効になってしまいます。手続きが行える期限と必要な書類を確認しましょう。
相続手続きの期限は?
マイルの相続手続きには期限があります。ANAの場合、法定相続人は会員(被相続人)が死亡してから6カ月以内に手続きを行わなければなりません。
JALでは、特に期限が定められていませんが、できるだけ早く手続きを行ったほうがよいでしょう。
マイルの有効期限は、ANA・JALともに「搭乗日した月から起算して36カ月後の月末」です。手続きを進めないうちにマイルが消失してしまう可能性も考えられます。消失したマイルは二度と復活できません。
手続きにはどんな書類が必要?
JALのマイルの相続に必要なものは、被相続人が亡くなったことがわかる「被相続人の除籍謄本(コピー可)」もしくは「戸籍謄本(コピー可)」です。相続人が被相続人と同一の戸籍にない場合は「相続人の戸籍謄本」も用意しましょう。
JALのWebサイトより、「マイレージバンクの退会届(マイル相続用)」と「合意書」を印刷し、必要事項を記入のうえ、JALマイレージバンクの「マイル相続係」に郵送します。
ANAの場合も、マイルの相続権を有することを証明できる書類の提出が必要です。マイル相続の手続きは電話にて行っているため、具体的な方法や必要な書類は「ANAマイレージクラブ・サービスセンター(問い合わせ番号・3番)」で確認しましょう。
家族で分け合うことは可能?
通常の遺産相続では、被相続人が遺言書を残さずに死亡した場合、相続人同士で話し合い、遺産を分配する対応が取られます。マイルの場合、家族や相続人同士で分け合うことは可能なのでしょうか?
分割は航空会社ごとに対応が異なります。JALでは分割が可能なのに対し、ANAでは分割ができません。故人の保有マイルが10万マイルあったとしても、兄弟姉妹で半分ずつにできないのです。
ただ、ANAでは会員が事前に「特典利用者登録」を行った場合に限り、本人以外でもマイルによる特典が享受できます。
特典が利用できるのは、会員の「配偶者(同性パートナー)」「2親等以内の親族」です。 特典利用者のサービスを上手に活用し、みんなで仲良くマイルを使いましょう。
相続マイルは有効期限がリセットされる
マイルを相続するにあたり、気になるのが「マイルの有効期限」です。ANA・JALともに、「搭乗日より起算し、36カ月の月末」で期限を迎えてしまいますが、相続マイルの場合は、有効期限がいったんリセットされるのが特徴です。
JALでは必要書類を投函した時点(消印日)で有効なマイル数が対象で、そこから新たにマイルの期限がカウントされます。ANAは電話による手続きの際に案内があるはずです。
両社とも、基本的に相続されたマイルの有効期限は「手続き完了日の36カ月後の月末まで」と考えましょう。
忘れずにマイルを相続するためには
家族が亡くなると、何かとバタバタしてマイルの存在を忘れてしまうことがあります。確実にマイルを相続するために「マイルの相続期限」はしっかりと把握しておくことが大切です。
ANAは6カ月の相続期間に注意
「生前から旅行好きで、フライトをよく利用していた」という場合は、早めにマイル口座を確認し、さっそく相続手続きを開始しましょう。
ANAの場合、会員の死亡後6カ月以内に手続きに必要な書類を郵送しなければなりません。もし、相続の申し出が期限内になされなかった場合は、該当する会員のマイルはなくなってしまいます。
なお、マイルの有効期限が近くなってもカスタマーセンターからは一切連絡がないため、相続人が自ら確認する必要があります。
まとめ
ANAやJALの会員規約には故人のマイルが相続できることが明記されています。マイルが相続できるのは「法定相続人」が原則ですが、正式な遺言書があれば「第三者の相続」も可能です。
ANAでは手続き期間が「会員が亡くなってから6カ月以内」と決まっています。確実にマイルを相続するためにも、早めに準備を進めましょう。