マイル旅とLCC利用を比較
有償ではなく、貯めたマイルで予約する航空券は「特典航空券」と呼ばれます。路線によっては1マイルあたりの価値が上がり、現金購入よりもお得に旅ができる可能性があるでしょう。
ロー・コスト・キャリアの「LCC(格安航空会社)」と比較した場合、どちらがメリットが大きいのでしょうか?
価値を意識して使うとお得なマイル
ANAやJALのマイレージプログラムでは、搭乗や買い物などでマイルが貯まり、必要マイル数に応じた特典に交換ができます。
特典は「航空券」「座席のアップグレード」「他社ポイント」など、多種多様です。なかでも、特典航空券は、マイルの価値を最大限に引き出せる交換先といわれています。
ANAで羽田から那覇に行く場合、正規運賃にあたる「フレックス」運賃の往復では4万8990円かかるのに対し、特典航空券(エコノミー・Rシーズン)に必要なマイル数は1万8000マイルです。
1マイルあたりの価値は4万8990円÷1万8000マイル=2.72円と「1円以上」にアップします。国際線のビジネスクラス以上は、1マイルが10円以上になる場合もあるほどです。マイルは価値を意識して使うのが賢い方法といえるでしょう。
国内線の場合、少ないマイル数で特典航空券が予約できるJALの「どこかにマイル」やANAの「今週のトクたびマイル」を活用するのがお得です。
航空券が安いLCCはサービス内容を要確認
LCCは「ロー・コスト・キャリア」の略称です。航空券は格安で、東京-那覇の往復航空券が1万円以内で購入できるケースもあります。日本で展開している代表的なLCC(国内線)は、以下のような会社です。
ジェットスター
Peach
SPRING JAPAN
LCCは「手厚いサービスよりも安さを重視する」という旅行者に向いています。LCCが就航する空港は郊外にある場合が多いため、移動にコストや時間がかかることも覚えておきましょう。
航空券の安さは魅力ですが、コストを下げるためにサービスが簡略化・有料化されている点がネックです。予約時に、「予約手数料」「支払い手数料」「座席指定料」などが追加でかかる航空会社もあります。
また、手荷物の持ち込みには厳しい重量・個数制限が課せられており、お土産をたくさん買い込むと、受託手荷物料金だけでかなりの金額になってしまいます。機内においては、食事やドリンクは「有料」が基本です。
賢いマイルの貯め方とお得な活用例
マイルの貯め方は、「フライト利用」と「ショッピング」に大別されます。「ポイ活」で貯めたポイントサイトのポイントをマイルに交換する方法も、陸マイラーの間では常識です。
陸でもマイルを貯める
フライトはマイルが大きく貯まりますが、効率性を重視するなら日常での「クレジットカード利用」が不可欠です。カードには「決済でマイルが貯まるもの」と「ポイントをマイルに交換できるもの」があります。
後者はポイントに有効期限があるぶん、マイルの期限が長くなるのがメリットです。また、数万ポイントをまとめてマイルに交換すると、「ボーナスマイル」が付くカードも存在します。カード選びは「マイル還元率の高さ」や「マイルの貯めやすさ」を意識するのがコツといえるでしょう。
フライト利用が少ない陸マイラーの間では、「ポイントサイト」の活用も常識です。サイト経由で商品購入やサービスの利用をすると、ユーザーに「利用額の数%」がポイント還元されます。
.moneyなどの「手数料無料のポイント交換サイト」を活用すれば、各サイトで貯めたポイントをまとめてマイルに交換することも可能です。
ポイント交換サイト│ドットマネーは手数料無料・業界No1交換レート!
片道はマイル特典で片道はLCC
国内線は「特典航空券とLCCを片道ずつ予約する」のがおすすめです。往復が前提の国際線特典航空券は片道ずつの予約は割高になる場合がありますが、国内線は往路・復路を同じ航空会社で予約する必要はありません。
LCCの運賃は同じ路線・日程でも、予約時の空席率で運賃が大きく変動するケースが珍しくないでしょう。最安値チケットをいかに見つけられるかがポイントです。複数のLCCが比較できる「検索サイト」をうまく活用しましょう。
JALやANAなどの大手キャリアは、片道の有償航空券よりも、特典航空券のほうがお得になる場合が多い傾向です。ANAでは片道5000マイルで「東京→秋田・仙台・名古屋・大阪」などの特典航空券(Lシーズン・エコノミー)が予約できます。
東京(羽田)→名古屋(中部)を有償購入すると、片道では7810円~2万2610円です。特典航空券の1マイルあたりの価値は「1.5~4.5円」となります。
FSCのマイルでLCCに乗れる?
「FSC」は「フル・サービス・キャリア」の略語で、ANAやJALなどの大手航空会社を指します。FSCのマイルでLCCのフライトが利用できるのをご存じでしょうか?
JALマイルでジェットスターに
JALは「ジェットスター・ジャパン(GK)」と提携関係にあります。JALマイレージバンク(JMB)会員は、貯めたJALマイルで「ジェットスター・ジャパンの特典航空券」が予約できます。
ジェットスター(JQ)・ジェットスター・アジア(3K)は特典航空券の対象外である点に注意しましょう。交換に必要なマイル数は「片道5000マイル~」で、対象クラスは「エコノミークラス」のみです。
予約は「JMBサイト」にて行えます。会員ログイン後「マイルを特典交換」→「フライトでつかう」→「JMB提携社特典航空券」と進み、メニューの「航空券の予約」から「ジェットスター・ジャパン特典航空券」を選択しましょう。
特典航空券は、フライトマイルの積算対象外です。上級ステイタスの基準となる「FLY ONポイント」も積算されません。
ジェットスター・ジャパン(GK)特典航空券 - JALマイレージバンク
ANAマイルはPeachに
ANAマイルは、以前は「バニラエア」の特典航空券との交換ができました。しかし、2019年11月にバニラエアはANAホールディングス傘下の「Peach」に統合され、PeachはANAとのマイレージ提携を行っていません。
一方でANAマイルから「ピーチポイント」への交換には対応しています。ピーチポイントはPeachの航空券購入や、座席指定料金などに充当できます。
マイルからの交換レートは、500 ANAマイル→450ピーチポイント(450円相当)です。交換方法はやや複雑です。まずはANAサイトの「提携ポイントへの交換」から「ピーチポイント」を選択し、ピーチポイント交換用の「クーポン(eギフトカード)」を発行しましょう。
申し込み完了から7日後以降に、ANAサイトのマイメニューから「クーポン(eギフトカード)番号の照会」でクーポン番号とパスワードを確認します。
次にPeachサイトにログインし、「ピーチポイント」ページのサブメニューから「ピーチポイントに交換 [ANAマイル]」にアクセスしましょう。クーポン番号とパスワードを入力すれば交換完了です。
ピーチポイント | 提携ポイントへの交換 | マイルを使う | ANAマイレージクラブ
LCCユーザーもマイルを貯められる?
大手航空会社の中には、LCCとマイル提携を行っているところがあります。ポイント交換サイトを活用し、LCCで間接的にマイルを貯める方法もチェックしておきましょう。
ジェットスターはJALマイルが貯まる
JALはジェットスター・ジャパンの提携航空会社です。JMB会員はジェットスター・ジャパンのフライトでJALマイルが貯められます。
予約時や搭乗手続き時は7桁または9桁の「JMBお得意様番号」を提示し「ジェットスター・ジャパンのフライトでJALマイルを積算したい」と伝えましょう。ジェットスター・ジャパンのJALマイル積算率は以下の通りです。
Starter基本運賃:なし
「ちゃっかりPlus」オプション選択:25%
「しっかりMax」オプション選択:25%
ちゃっかりPlusとしっかりMaxは、Starter基本運賃に追加できる有料オプションです。選択後は、受託手荷物量の変更や座席指定、機内サービスなどが利用できるようになります。
格安航空券 | 飛行機 予約 | 最低価格保証 | ジェットスター
LCC利用で間接的にマイルを貯める方法
LCCを予約する際、公式Webサイトで直接予約せずに「ポイントサイト」を経由しましょう。ポイントサイトを経由するだけで、ポイントサイトのポイントが貯まります。提携サイトの広告料が、ポイントサイトのユーザーに一部ポイントとして還元される仕組みです。
たとえば、モッピー経由の「エクスペディア」でホテル+航空券を予約すると、「利用金額の1.5%」がモッピーポイントで還元されます。
支払い方法に特に条件がなければ、クレカ払いにするとカード利用分の「クレカポイント」が2重取りできるでしょう。各サイトで貯めたポイントは、「ポイント交換サイト」でマイルに交換することをおすすめします。
.moneyでポイントを集約
「.money(ドットマネー)」は、各ポイントを共通通貨の「ドットマネー」に変え、さらに自分の希望するマイルやポイントに交換できるサービスです。クレジットカードやアンケートで貯まったポイントも合算できるため、まとまったマイルが手に入ります。
ANAマイルは「300マネー→85マイル」、JALマイルは「500マネー→250マイル」の換算で、手数料はかかりません。期間限定でレートアップキャンペーンなども行われるため、キャンペーンに合わせて交換するとお得です。
マイル交換する前に、航空会社のマイレージプログラムに忘れずに入会しましょう。
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期間限定キャンペーンも要チェック
海外の大手航空会社が行うキャンペーンでも、マイルを貯められるチャンスがあります。
「デルタ航空」では、過去に期間限定の「ニッポン500マイルキャンペーン」が実施されました。対象はデルタ航空の上級会員である「メダリオン会員」か、日本で発行した「デルタ航空提携クレジットカードの所有者」です。
対象者は航空会社にかかわらず日本国内線でデルタ航空の「スカイマイル」が貯められ、「1フライトにつき500マイル」が積算されるという内容でした。国内LCCユーザーにとっても魅力的なキャンペーンが行われることがあるため、海外エアラインの情報にもアンテナを張っておきましょう。
なお、デルタ航空は日系航空会社「スカイマーク」と提携があり、スカイマイルでスカイマークの特典航空券が予約できます。
コスパも快適性も求めるならMCC
LCCとFSCの中間にあたる航空会社を「MCC(ミドル・コスト・キャリア)」と呼びます。「ソラシドエア」「スターフライヤー」は、日本のMCCの代表格です。
いずれも価格とサービスのバランスに優れているのが特徴で、コスパと快適性を重視する旅行者に支持されています。
お得に利用できるソラシドエア
ソラシドエアは宮崎県に本社を置く航空会社で、九州や沖縄への路線を多く有します。マイレージプログラムは「ソラシド スマイルクラブ」で、「フライト利用」と「ソラシドエア提携クレジットカードの利用」でマイルが積算されるのが特徴です。
早割の「バーゲンシリーズ」と直前予約向けの「特売りシリーズ」といったお得な運賃があり、LCCに負けないコスパの高さを実現している点に注目しましょう。75日前に予約を完了すれば、東京(羽田)-宮崎の片道チケットが1万円ほどで手に入ることもあります。
また、沖縄(那覇)-名古屋(中部)を普通運賃で利用した場合、最大で809マイルの積算です。約5回搭乗すれば、沖縄-石垣の特典航空券(Lシーズン・片道)に必要な4000マイルに手が届きます。
スターフライヤーのマイルは誰にでも使える
「スターフライヤー」は、北九州空港を拠点とする日本の航空会社です。マイレージの提携はありませんが、ANAとは一部の路線においてコードシェアを行っています。
「JCSI(日本版顧客満足度調査)」の国内航空部門では、過去に11年連続で第1位を獲得しており、サービスの質の高さが際立ちます。
JALやANAの特典利用者は「配偶者」や「2親等の家族」など、本会員と近しい血縁者に限定されていますが、スターフライヤーでは続柄に関係なくマイル利用できるのがメリットです。
予約時は「最安運賃カレンダー」を活用し、よりお得なフライトを探しましょう。東京(羽田)-福岡の片道フライトは1万円前後で予約ができる場合があります。
現在のところ、国際線は台北線のみです。北九州-台北(桃園)は1万円~と格安で、LCCに引けを取りません。
最安運賃カレンダー | 運賃(国内線) | 航空会社スターフライヤー
まとめ
マイルやLCCを上手に使えば、「旅のコスト」が大きくダウンします。ANAやJALの特典航空券は1マイルの価値が1円以上にアップするため、マイルのもっともお得な使い方といってよいでしょう。
サービスが有料化・簡略化されたLCCは、コスパ重視の旅行者向けです。「少しコストが上がっても、快適な空の旅がしたい」という人は、価格とサービスのバランスが取れた「MCC」を選択してはいかがでしょうか?