どうすれば夢の世界一周の旅ができる?
飛行機での世界一周旅行では、「有償航空券」または「特典航空券」を利用します。ツアーに参加するのもよし、自分で自由な旅程を組むのもよし、限られた時間と資産を上手に使って後悔しない旅のプランを立てましょう。
有償で世界一周
資金が十分にある人の場合、有償航空券による世界一周が一般的です。予約時は「アライアンス」と呼ばれる航空連合を活用しましょう。
世界には「スターアライアンス」「ワンワールド」「スカイチーム」の三大アライアンスがあり、多数の航空会社が加盟しています。
各アライアンスには、飛行距離や途中降機回数などの制限内であれば提携航空会社のフライトを自由にプランニングできる「世界一周運賃」があります。出発地から帰着地までの航空券がセットになったものと考えてよいでしょう。
ワンワールドに加盟するJALでは、「ワンワールド・エクスプローラー・世界一周運賃」や「グローバル・エクスプローラー世界一周運賃」などが予約できます。
スターアライアンスに加盟するANAでは、「スターアライアンスの世界一周航空券」を取り扱っています。28社のエアラインのフライトで行ける国は192カ国にものぼるため、よりフレキシブルに旅程が組めるはずです。
旅費を節約したい人はフルサービスキャリアではなく、複数のLCC(格安航空会社)を乗り継ぐ手もあります。
JALやANAマイルの特典航空券
有償航空券に対し、貯めたマイルで予約できる航空券を「特典航空券」と呼びます。JALでは、ワンワールドの加盟航空会社を対象とした「ワンワールド特典航空券」の予約が可能です。
加盟航空会社を2社以上組み合わせることが条件で、交換に必要なマイル数は距離と座席クラスによって決まります。
ANAでは、ANAマイルで「スターアライアンス世界一周(特典航空券)」が予約できます。ワンワールド同様、距離と座席クラスによってマイル数が決まり、クラスが混在した場合は旅程全体に上位クラスの必要マイル数が適用になるルールです。
特典航空券の有効期限は、どちらも「発券日から1年間」です。利用の条件が細かく設定されているため、予約前にしっかりと確認しましょう。
総旅程距離別の必要マイル
ワンワールドやスターアライアンスの世界一周特典航空券は「総旅程距離(マイル)」によって必要マイル数が変わります。
1マイル(mile)は、陸上距離の単位で約1.6kmと考えましょう。距離が長くなればなるほど必要マイル数が多くなるのが原則で、シーズンによる変動はありません。
ワンワールド特典航空券の場合
ワンワールド特典航空券に交換できるJALマイル数は「2万5000マイル~」です。総距離が1万マイル以上になる旅程でエコノミークラスを利用した場合、どれほどのマイルが必要になるのでしょうか?
<総距離:必要マイル数>
・1万1~1万2000マイル:6万マイル
・1万2001~1万4000マイル:7万マイル
・1万4001~2万マイル:9万マイル
・2万1~2万5000マイル:12万マイル
・2万5001~ 2万9000マイル:14万マイル
・2万9001~3万4000マイル:15万マイル
・3万4001~5万マイル:16万マイル
たとえば、「東京→ヘルシンキ→ウィーン→パリ→ロンドン→東京」の総距離は1万3203マイルです。JALマイルを7万マイル貯めれば、ヨーロッパ周遊の旅は実現するでしょう。
「東京→ニューヨーク→フランクフルト→シンガポール→東京」の旅程を組んだ場合、総距離は2万266マイルで12万マイルが必要です。
なお、JALのWebサイトにある「ワンワールド特典航空券 マイル早見表」や「距離制特典区間マイル計算機」などのツールを活用すると、必要マイル数がすぐに計算できます。
スター アライアンス世界一周の場合
「スターアライアンス世界一周」で必要なANAマイル数は、ANAのWebサイトで確認ができます。エコノミークラスを利用した場合の総距離と必要マイル数は以下の通りです。
<総距離:必要マイル数>
・9001~1万1000マイル:5万5000マイル
・1万1001~1万4000マイル: 6万マイル
・1万4001~1万8000マイル :6万5000 マイル
・1万8001~2万マイル:7万5000マイル
・2万1~2万2000マイル:8万5000マイル
・2万2001~2万5000マイル:10万マイル
・2万5001~2万9000マイル:12万マイル
・2万9001~3万4000マイル:14万マイル
・3万4001~3万9000マイル:16万マイル
・3万9001~4万4000マイル:18マイル
・4万4001~5万マイル:20万マイル
「東京→ニューヨーク→フランクフルト→シンガポール→東京」の旅程を組んだ場合、総距離はJALと同じく2万226マイルで、ANAマイルが8万5000マイル必要となる計算です。
なお、今回は、スターアライアンスの計算ツールで算出しています。上記範囲以外の必要マイル数はANAの「スターアライアンス世界一周」ページで確認しましょう。
世界一周特典航空券のルール
世界一周特典航空券には、独自のルールが設けられています。それぞれのアライアンスの条件に従い、無理のないスケジュールを立てましょう。特に「利用区間」や「途中降機の回数」は確認が必要です。
出発から帰りの間で区間の制限がある
「ワンワールド特典航空券」は、1特典で「8区間まで」のフライト移動が可能です。日本国内の移動も可能ですが、旅程全体で「2区間まで」の決まりです。日本発着の場合は、日本での途中降機はできません。
「途中降機」とは複数航空路線の乗継において、乗継地点に24時間以上滞在することを指します。
1特典では「7回まで」の途中降機(1都市につき1回まで)が認められているため、各地をゆっくり観光できるでしょう。「地上移動区間」は、1回の途中降機とみなします。
一方、「スターアライアンス世界一周」では「最大12フライト区間」と「最大4区間の地上移動・同じ都市での異なる空港間移動」が可能です。
1特典で「8回まで」の途中降機ができますが、欧州での途中降機は「3回まで」、日本国内での途中降機は「4回まで」です。
区間の変更はできない
世界一周旅行では、旅程の組み方に一定のルールが存在します。ワンワールドではいったん出発地へ戻り、さらに出発地以外の都市へ行く旅程は組めません。
スターアライアンスでは「東回り」または「西回り」のどちらかでルートを組まなければならず、逆戻りはできないルールです。加えて、太平洋と大西洋を1回ずつフライトで横断する必要があります。
一度旅程が確定したら、どちらのアライアンスでも「区間の変更」はできません。フライト前であれば「日程の変更」は可能なため、再度スケジュールを調整しましょう。
区間を変更せざるを得ない場合は旅程をキャンセルし、未使用特典の払い戻しを行います。ANAでは1名につき3000マイル、JALでは3100円の「払戻手数料」が必要です。
世界一周の特典航空券を予約するには
旅程が決まったら、さっそく特典航空券の予約へ進みましょう。航空券の発行時は「付加費用」として、税金や手数料などの支払いが必要です。マイルだけで旅行ができるわけではないため、旅の資金は少し多めに準備しておきましょう。
ANAマイルでの予約は電話のみ
通常、特典航空券の予約はANAのWebサイト上で行えますが、スターアライアンス世界一周は、電話予約のみの対応です。
「ANAマイレージクラブ・サービスセンター」にダイヤル後、自動音声で「国際線一般・特典航空券の予約(2)」を選択しましょう。
一方、ワンワールド特典航空券は「JAL Webサイト」または「電話(JMB会員専用国際線予約・JMBセンター)」にて予約が可能です。電話の場合は、会員地区ごとの「航空券取扱手数料」がかかります。
Webサイトでは「マイルを特典交換」→「フライトでつかう」→「JMB提携社特典航空券」と進みましょう。
別途費用の支払いが必要
世界一周をマイルで予約するためには、「特典交換に必要なマイル数」が口座にあることが条件です。そのほか、「各国の政府が定める税金及び手数料」「空港使用料」「燃油特別付加運賃」などが必要となります。
これらの付加費用は旅程・利用する航空会社・クラス・出発時のレートなどによって算出されます。最終額が決定するのは「航空券発券時」で、総額の支払いはマイルではなく、クレジットカード払いが原則です。
決めたルートで予約が取りにくい場合も
有償航空券と比べ、特典航空券の座席枠には限りがあります。特に、長距離の国際線は有償・無償に限らず「ビジネスクラス」の需要が高く、もともと座席枠が少ない特典航空券はあっという間に完売してしまうのが現実です。
特典航空券の予約ができない「利用制限期間」を設ける航空会社もあるため、決めたルートと日程で予約が取れるかどうかを確認することが前提です。
JALで予約できるワンワールドの特典航空券は「搭乗日の360日前の10時(日本時間)」より受付が開始され、「旅程上のすべての便」が受付開始になってはじめて申し込みが可能になります。予約開始に出遅れないように、早めに旅程を組んでおきましょう。
世界一周を実現しよう
世界一周旅行の実現は「必要なマイル数をいかに効率よく貯められるか」や「綿密なプランニングができるかどうか」にかかっています。数年先の世界一周旅行を見据え、まずは航空会社のマイレージプログラムを選択するところからはじめましょう。
マイルを貯める方法を考える
マイルを貯めるにあたり、どの航空会社のマイレージプログラムを選ぶかはとても重要です。JALやANAのマイルは「獲得日より36カ月後の月末」に失効してしまうため、世界一周をするだけのマイルが貯まらない可能性が高いでしょう。
スターアライアンスに加盟する「ユナイテッド航空」のマイルには、有効期限がありません。スカイチームに加盟する「大韓航空」のマイルも有効期限が10年と長く、世界一周旅行を目指すマイラーにはぴったりでしょう。
マイルの主な貯め方は「フライト利用」と「クレジットカード利用」に大別されます。フライト利用が少ない人は、還元率の高い「航空会社提携のクレカ」を準備しましょう。
ユナイテッド航空なら「MileagePlusセゾンカード」、JALなら「JALカード」、大韓航空なら「SKYPASS/JCBカード」がおすすめです。
また、アメックスの「Marriott Bonvoyカード」は、カード利用で貯めたポイントを40以上の航空会社のマイルに交換できます。
ルートを考える
ルートをプランニングする際は、Googleの「マイマップ」を活用しましょう。自分の行きたい場所を検索し、保存・描画することで自分だけのオリジナルルートがつくれる機能です。仲間とオンラインで共有ができるため、さまざまな旅のアイデアが湧くでしょう。
特典航空券を利用した世界一周旅行には、多くの制約があります。行きたい都市を決め、その総距離から必要マイル数を算出するのは、初心者にとってはハードルが高く感じるかもしれません。
各アライアンスや航空会社では、地図上の目的地や日程を順番に入力していくだけで、総距離や最適なフライト情報がすぐに割り出せる便利なツールを提供しています。
まとめ
世界一周旅行は多くの人が抱く夢です。陸路や航路を使う手もありますが、快適さやスピーディーさを考慮すれば、飛行機の利用がベターでしょう。
各アライアンスの「世界一周の特典航空券」を利用する場合、利用のルールを熟読する必要があります。区間数や途中降機の回数が細かく設定されているため、綿密なプランニングは必須です。
「マイレージプログラムに入会したばかり」という初心者のマイラーは、世界一周旅行を目標に掲げてはいかがでしょうか?モチベーションがあがり、マイルを貯めるのが楽しくなります。