JRAカードとは
JRAカードは、「JRA(日本中央競馬会)」とカード会社が提携して発行しているクレジットカードです。カード会員は、競馬場の指定席を事前予約できるなどのメリットがあります。ブランドは「NICOS(三菱UFJニコス)」と「DC」の2種類です。
申し込みは20歳以上から
JRAカードの申し込みができる年齢は「20歳以上」です。多くのカードは「高校生を除く18歳以上」を申し込み基準としていますが、なぜJRAカードは20歳以上の申し込みに限定されているのでしょうか?
JRAが展開するサービスは、競走馬によるレースの開催と馬券の発売です。「馬券の購入は20歳から」と法律で定められています。
JRAのサービスがすべて利用できる20歳になると、カードの申し込みができるようになるのです。規定年齢に達していれば、「高校生を除く学生の場合」もカードの申し込みは可能です。2005年には、20歳以上であれば学生でも馬券購入ができるよう法律が改正されています。
本カードと追加カードの年会費
JRAカードは、年会費有料のクレジットカードです。ブランドを問わず、初年度無料で2年目以降は1375円(税込)の年会費がかかります。
申し込みの際は「安定した収入」も審査基準です。ただし、学生の場合は「DCカード」であれば在学中の年会費が無料になります。
国際ブランドは「MasterCard」「VISA」から選択が可能です。追加カードとしてはETCカードがありますが、発行手数料として1100円(税込)かかります。年会費は設定されていません。
なお、利用できるのは本会員のみで、家族カードはありません。指定席は同伴者の分も予約できますが、当日カード会員が来場できなくなると引き換えできなくなります。家族でそれぞれカードを持つのも一つの方法です。
どんなメリットがあるの?
JRAカードには、独自のメリットがあります。JRAのサービスをスムーズに利用できるのが特徴です。なお、「新型コロナ」の影響による無観客開催や入場制限などで、指定席予約の方法や状況が変更されている可能性があります。最新情報は公式サイトで確認しましょう。
ネットで指定席を予約できる
JRAカード会員は、「指定席ネット予約」が利用できます。なお、ほかのクレジットカードでもJRAが対象としているものなら利用できますが、別途会員登録が必要です。
JRAカード会員なら、カード到着後2週間程度で指定席ネット予約を利用できるようになります。メールアドレスによる会員登録の手間を省けるのです。
また、「先行抽選」「限定抽選」に参加できるのも、JRAカード会員ならではのメリットでしょう。抽選となるほど人気のある開催日には、先行抽選ができるJRAカード会員が有利になります。
「日本ダービー」や「オークス」など注目度の高いレースとなると、一般会員はハガキ抽選です。JRAカード会員限定で「指定席ネット予約」が使えるのも大きな魅力でしょう。
指定席の予約方法
ネットで指定席を予約するには、まず「ネット指定席予約サイト」にログインし、該当の開催日の指定席を選択します。
予約が完了すると、当日に「指定席章」を発行するだけで利用可能です。競馬場の「予約指定席引換窓口」で、手続きができます。発行のためには、以下のものが必要です。
・写真付き身分証明書
・予約時に利用したクレジットカード
・QRコード(スマホで取得するかパソコンでプリントアウトしたもの)
QRコードをスマホで取得する場合、開催日の当日0時から「指定席ネット予約」サイトで取得可能です。会員番号とネットパスワードを入力後に「発券用QRコード表示」を選択すると、表示されます。コードの表示には有効期限があるため、窓口に着いてから取得する形でよいでしょう。
なお、天候やトラブルにより開催が中止となったときは、席料やキャンセル料はかかりません。後日、「郵便振替払出証書」が郵送されてきたら、郵便局の窓口で返金を受けましょう。
JRAダイレクトの利用も可能
「JRAダイレクト」は、パソコンからクレジットカードを利用して馬券が購入できるサービスです。JRAカードを含むいくつかのクレジットカードが対応しています。
DCブランドの場合は「DC Webサービス」、NICOSブランドの場合は「Net Branch」への登録が必要です。どちらも、カードの利用明細などを確認できる無料のWebサービスとなっています。
JRAダイレクトには「月10万円まで」の利用制限が設けられています。クレジットカードの限度額まで使えるわけではないため、極端な使いすぎは防げるでしょう。
「1回につき100円(税込)」のシステム手数料がかかりますが、サービスの利用はクレカポイントの還元対象となるため1回の購入額によってはお得です。
JRAには、口座を登録することでスマホやパソコンから登録できる「即PAT」や現金チャージすることでキャッシュレス投票ができる「UMACAカード」などもあります。
「クレジットカードで購入したい」人や「1回の購入が1万円以上」になる場合は、JRAダイレクトの利用を検討してみましょう。
DCカードは好きな馬のデザインを選べる
JRAカードのうち、DCカードには「11種類」の券面デザインが用意されています。NICOSカードはJRAロゴの1種類だけですが、デザインも馬にこだわりたい場合はDCカードがおすすめです。
選択できるデザインには「ディープインパクト」「ウオッカ」「トウカイテイオー」など、1980~2000年代を彩った名馬たちがそろっています。
ただし、新しいデザインは取り入れられていないようです。最近の名馬をデザインしたカードが欲しいと考えている人も、昔の名馬を知るきっかけとして考えてみましょう。
一般会員とJRAカード会員の違いとは?
「一般会員」と「JRAカード会員」は、ネット指定席予約サービスの会員種別です。馬券購入に利用する「電話・インターネット投票」や「Club JRA-Net」などの会員とは異なるため注意しましょう。
指定席予約での優遇など
JRAカード会員になると「ネット指定席予約サービス」で優遇が受けられます。一般会員との主な違いは、「指定席の先行抽選への参加」「ポイントプログラムの有無」「年会費の有無」です。
JRAカード会員に限り、先行抽選への参加やカード決済によるポイント付与が行われます。クレジットカードの年会費はかかりますが、メリットも大きいでしょう。
なお、JRAカード会員と一般会員はどちらか一方にしか加入できません。一般会員のアカウントも一つのみとなっており、チケット転売や予約後の大量キャンセルを防いでいます。
すでに一般会員として入会しているときは、マイページからの「退会処理後の入会」もしくは「切り替え手続き」のため「JRA指定席ネット予約お問い合わせデスク」へ連絡しましょう。
指定席の当選確率が上がる抽選ステージ
一般会員の場合、指定席が抽選になると優遇はありません。しかし、JRAカード会員には当選確率がアップする「抽選ステージ」が設定されています。ステージのランク・対象の来場回数・優遇倍率は、以下の5種です。
・プラチナステージ 25 回以上 16倍
・ゴールドステージ 16~24 回 8倍
・シルバーステージ 10~15 回 4倍
・ブロンズステージ 5~9 回 2倍
・ノーマルステージ 0~4 回 1倍
「1〜6月」と「7〜12月」の半期ごとに決定し、競馬場で指定席を利用するほど当選確率がアップします。
ただし、必ず当選するわけではありません。ほかのカード会員の優遇や抽選の仕組みにより、落選もありえます。
ポイントの貯め方の基礎知識
JRAカードは、2種類のポイントが貯まるカードです。一般的なクレジットカードでも貯まる「ショッピングポイント」だけでなく、競馬場への来場で貯まる「来場ポイント」も貯まります。
ショッピングポイント
JRAカードを使って決済すると、「1000円につき10ポイント」が貯まります。ポイント還元率は1%です。
ポイント付与日は、DCカードの場合「毎月末」となります。NICOSカードは「毎月20日」です。ポイント確認は、ネット指定席予約サイトのマイページから行いましょう。
競馬場の指定席の年間利用回数が少ない人でも、ショッピングポイントを積極的に貯めるだけで来賓室への招待特典が手に入れられるかもしれません。
普通の買い物だけでなく指定席予約の際にJRAカードを使って支払いをすると、「席料」もショッピングポイントの対象です。ただし、手数料や年会費など一部対象外のものもあるため注意しましょう。
来場ポイント
来場ポイントは、競馬場に訪れると貯まります。JRAカード会員が指定席を予約し、当日指定席券を受け取ると発生するポイントです。
来場ポイントは、開催日や指定席引き換えの時間帯によって異なります。土曜日の午前10時までなら「40ポイント」、午前10時以降なら「30ポイント」です。
日曜日は午前10時まで「30ポイント」、午前10時以降は「20ポイント」が貯まります。祝日や代替開催など、日曜日以外の開催日は「土曜日」と扱いが同じです。
たとえば、土日とも指定席を予約する場合、最大70ポイントがもらえます。さらに効率よく来場ポイントを稼ぎたいなら、日曜日以外に指定席を予約するのが狙い目です。
ポイント有効期限に注意
JRAカードのポイントには、有効期限があります。有効期限は、「ポイントを獲得した日から2年後の12月末」までです。
ポイントを獲得した日によって期限は変わり、最大で36カ月となります。1〜12月までどの月に獲得しても2年後の12月で期限が切れるため、毎年前半に獲得したポイントの方が長く使える仕組みです。
2〜3年間に貯まるポイントが1000ポイント以下の場合、グッズ交換に必要な最低ポイントが貯まりません。
指定席招待などは、席料と同等の数千ポイント程度が必要となるようです。有効期限までに貯まるポイント数がどのくらいになるかも考えておきましょう。
ポイントの使い道
JRAカードのポイントは、JRAのグッズや指定席招待などJRA関連のサービスと交換できます。具体的な交換方法や種類について知っておきましょう。
景品との交換
貯まったポイントは、1000ポイントからJRAのターフィーショップで販売されているようなグッズと交換できます。
名馬をあしらった「ボールペン」や「湯呑み」など、ちょっとしたグッズが欲しい人にはぴったりです。高額な景品には、「有田焼のプレミアムビアグラス(ペア)」もあります。シンプルで機能性の高い「長財布」や「帽子」、「ホットシートマッサージャー
」など普段の生活でも役立つグッズもあります。
指定席や来賓室・来賓席への招待も
JRAカードのポイントプログラムには「指定席」「来賓室」「来賓席」への招待サービスがあります。来賓室や来賓席は一般人の入場ができないVIP席です。
自分から申し込むのではなく、JRAからの招待によって利用できます。招待を受けたときには数千ポイントを消化することになり、ある程度のポイントを持っている人が対象となりそうです。
馬主やVIP客限定の特別な指定席を利用したいと考えているなら、積極的にJRAカードを利用しましょう。通常の指定席招待もあり、ポイントでお得に観戦できるチャンスです。
デメリットはある?
JRAカードを発行すると、何らかのデメリットはあるのでしょうか?基本的にはJRAのサービスを最大限に活用したい人向けのカードです。主なデメリットを知っておきましょう。
2年目以降は年会費がかかる
クレジットカードにコストをかけたくない人にとって、2年目以降年会費が設定されているのはデメリットとなるでしょう。
ただし、DCカードは学生向けの優遇サービスがあり、在学中は年会費が無料です。卒業後に年会費が発生するため、割り切って学生の間だけ使ってみる方法もあります。
年会費は1375円(税込)とそれほど高くないため、指定席の優遇やポイントプログラムが年会費よりも価値があると考える人向けです。
JRA DC CARDとJRA NICOS CARDの同時保有はできない
付帯サービスやブランドの特徴によって、カードを複数枚持ちたい人もいるはずです。しかし、JRAカードは1枚のみの発行と決まっています。
家族でそれぞれ持ちたい場合は好きなブランドを選べますが、1人で申し込めるのはDC・NICOSのどちらかです。付帯保険が異なるため、比較して検討しましょう。
万が一、2枚目を申し込むと「カード切り替え」の手続きとなり、カード会社から確認の連絡があります。新しいカードを選択すると、クレジットカード番号が変わるだけでなくポイントも消滅するため注意しましょう。また、カード切り替え中は2週間ほど指定席予約が利用できません。
DCカードの場合、ブランドを変えずにデザイン変更だけしたい場合は「デザインの変更手続き」が可能です。ただし、再発行手数料がかかるうえ、デザイン変更でもカード番号は変更されます。
手続き後、3~4週間で新カードが届く予定です。「JRA会員番号は変わらない」ため、新カードが届く前でも指定席の予約は利用できます。
ポイントの使い道が限定的
クレカのポイントプログラムは、JRAカード以外にも存在します。現金や他社ポイントに交換できるものも多く、自分が利用しているサービスと提携したクレジットカードを使うとお得に買い物ができるでしょう。
JRAカードのポイントはJRAのサービスに利用できますが、景品や指定席の招待など限定的です。たとえ競馬ファンでも、指定席を利用せずグッズも購入しない人はいるでしょう。ポイントの使い道がない場合は、ほかのカードの方がお得になります。
まとめ
JRAカードは、競馬場でのレース観戦を考えている人に最適なカードです。利用実績やポイントの獲得状況によっては、本来は一般入場が制限されているエリアに招待される特典もあります。
抽選となる人気レースも優遇ステージで当選しやすくなり、いつもの競馬観戦がさらに楽しくなるはずです。