現金のみで支払いをするデメリット
世界的に見ると日本は現金を使う機会が多く、キャッシュレス決済の割合はそれほど多くありません。しかし、クレジットカードなどをまったく使わず現金だけで支払いを行うと、デメリットが出てきます。具体的にはどのような問題があるのでしょうか?
国内の現金による支払いは7割程度
日本でもスマホを利用したバーコード決済やクレジットカードの利用が普及中です。しかし、全体の支払いで見ると、キャッシュレス決済の比率は2020年上半期の集計で28.5%というデータもあります。
現金の支払いが約7割を占めますが、国は25年時点でキャッシュレス決済40%程度の目標を掲げており、今後クレジットカードは必須のアイテムとなりそうです。
現金での支払いにこだわっていると、不都合もあります。ネット通販では代金引換や振り込みに手数料がかかることも多く、余計な出費につながるでしょう。実店舗での会計にも手間がかかり、財布の中に小銭があふれるなど問題も多いはずです。
ネット契約限定の格安スマホや通信サービスは、クレジットカードの登録が必須になることも珍しくありません。お得なプランで申し込めなくなるなどの不都合も生じるでしょう。
キャッシュレス決済比率28.5%のさらなる拡大に向けて、中小事業者への導入に伴うハードル低減を
信用情報がスーパーホワイトになる
クレジットカードの発行や借り入れなどの取引履歴は、「信用情報機関」に登録されています。
借り入れとは「現金による借金」以外に、クレジットカードの取引やショッピングローンの利用などを含む、さまざまな信用取引のことです。携帯電話の分割払いや、住宅ローンも借り入れに含まれます。
カード会社をはじめとする、ローンなどの信用取引を行う会社は「加盟する信用情報機関に登録された情報を共有」しています。申込者の本人情報を照会した際に取引履歴が「真っ白(ホワイト)」だった場合、年齢によっては審査を通していいのか判断が難しくなるのです。
このような今までに1度も借り入れなどがなく、取引情報が真っ白な人は「スーパーホワイト」と呼ばれます。スーパーホワイトの人は現金派というだけで、本人の信用性が低いわけではありません。
しかし、40代、50代と年を重ねても現金のみの支払いを続けているスーパーホワイトの人は、クレジットカードの審査が通りにくくなってしまうのです。
利用実績ゼロが審査に不利な理由と対策
利用実績がまったくないと、年齢によっては審査で不利になる可能性があります。なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか?信用情報の特徴から、原因を探っていきましょう。
延滞等があったホワイトと見分けがつかない
クレジットカードの延滞情報や借金の滞納情報などは「信用情報機関」に残ります。長期の滞納や自己破産により信用情報に傷がついた状態を「ブラック」「ブラックリストに載った」などと表現することも多いでしょう。
信用情報機関に登録される情報は、保管期間が決まっています。たとえば、信用情報機関「CIC」の場合、クレジットの支払い延滞などの登録期間は、契約終了後5年以内です。自己破産についても一定期間を過ぎると情報が消え、「ホワイト」と呼ばれる「信用情報に何も書かれていない状態」になります。
スーパーホワイトは一度も信用取引を行っていないため、過去に金銭トラブルを起こしたホワイトと見た目は同じです。カード会社が信用情報を閲覧しても見分けがつかず、審査が不利になります。
20代後半~のスーパーホワイトは注意
カードを保有している人の多くは、20代のうちにカードを発行しています。若いうちは若年層限定の特典付きカードも多く、年会費無料で持てる魅力的なカードも豊富だからです。
また、学生や20代前半は年齢的に、スーパーホワイトの状態でもそれほど珍しくはありません。信用情報に大きなトラブルが記載されていなければ、審査への影響はないでしょう。
しかし、20代後半から30代になっても取引情報がない場合、審査に影響が出る可能性があります。「この年までカードを持ったことがないのはおかしい」とカード会社から延滞などを疑われ、警戒される可能性が高くなるためです。
できるだけ若いうちに利用実績を作ろう
クレジットカードが作りにくくなる状況を防ぐには、20代の早いうちにカードを発行するのが近道です。若いときからクレジットカードの取引履歴である「クレヒス(クレジットヒストリー)」を積んでおきましょう。
特に20代前半のうちは、自動的にゴールドカードに切り替わるタイプのカードも申し込めます。将来優良顧客になるかもしれない若者は、カード会社から優遇される存在です。
また、「JCBカード W」など、39歳まで発行できる年会費無料のカードもあります。一般のJCBカードよりもポイント還元率が高く、40代になってからカードを作るより有利です。
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スーパーホワイトの人が利用実績を作る方法
スーパーホワイトの状態でクレジットカードを作ろうとすると、審査落ちの恐れがあります。世帯年収や職業、勤続年数などで問題がないと判断されれば審査に通過する場合もありますが、まずは簡単な方法でクレヒスを積むのがおすすめです。
スマホや家電の分割払いをきちんと支払う
スーパーホワイトの状態を脱するには、まずスマホや家電を分割払いで購入することから始めましょう。金額が低い商品の場合は審査もそこまで厳しくはありません。
分割払いで支払いを終えると、信用情報が残ります。何らかのショッピングローンの履歴があれば、カード会社も審査をしやすくなるはずです。
ただし、分割払いをする場合は支払い遅れに注意しましょう。引落し口座に現金がなく支払いが延滞してしまうと、悪い情報として残ってしまいます。事前に必要な金額を確認し、余裕を持って入金しておくと安心です。
初心者にやさしいクレカから申し込む
クレジットカードは、種類によって審査難易度が変化します。たとえばゴールドカードなどの上位カードは、一般カードよりも申し込み条件が厳しいことが多いでしょう。
高校生を除く18歳以上なら誰でも申し込みができるものは、比較的条件がやさしいカードです。専業主婦(主夫)や学生が対象となっているものは、幅広い層に門戸を開いていると考えられます。
しかし、条件がやさしいカードでも審査を通過しなくてはなりません。審査が不安に感じる人は、保証金をあらかじめ支払って使う「デポジット型」も検討しましょう。
ライフカードはデポジット型クレジットカードを発行して、過去に延滞履歴がある人も申し込みの対象となっています。一般のクレジットカードよりも審査落ちの可能性は低いでしょう。
審査落ちの原因は必ず確認しよう
審査落ちの原因は、カード会社が教えてくれるものではありません。申し込んだときの状況を思い出し、スーパーホワイト以外に問題がなかったか確認しておきましょう。
申し込み時に不備があった可能性がある
クレジットカードは、さまざまな観点から審査されます。申し込みに大きな不備があると、審査の通過も難しくなるのが通常です。
申し込みの間違いや不備は、審査に通らなくなる原因です。たとえば、年収や勤務先を間違えて書いてしまうと、不利な状態で審査されます。
また、申し込み資格を勘違いしている場合、条件を満たしていないこともありえます。申し込みの際は慎重に間違いがないか確認し、条件なども再度チェックしておきましょう。
実はブラックであるケースも
信用情報に傷がある「ブラック」の状態でカードを申し込んでも、審査通過は難しいでしょう。請求をしない限り信用情報の確認はできないため、気づかない間に傷がついている可能性はあります。
携帯電話やテレビショッピングの分割払いの支払いが遅れたり、未払いがあったりする人は要注意です。クレジットカードを発行していなくても、延滞や未払いはブラックと見なされます。
また、審査に落ちたからと一度にたくさんのカードに申し込むと、申し込み履歴が残ります。「他社の審査に落ちた人」と認識されると、心証はよくありません。
ブラックではないか確認してみよう
クレヒスを積んでもカードの審査に落ちてしまう場合、申し込み条件を間違っていなければ「信用情報機関の情報開示」も検討しましょう。情報開示をすればブラックになっているかがすぐ分かり、間違いであれば訂正も依頼できます。
自分の信用情報の確認方法
信用情報機関は「CIC」「JICC」「KSC」が有名です。
CICでは「インターネット」「郵送」「窓口」で情報開示を行っています。インターネットでの開示には「インターネットで情報を確認できるスマホやPC」と「支払いに使うクレジットカード」が必要です。
推奨環境の端末や指定のクレジットカードがあるか、まずは確認しておきましょう。情報開示をするには、クレジット契約で使用している電話番号を使って指定の番号に電話をかけます。受付番号を取得し、1時間以内に手続き画面で番号を入力しましょう。
開示専用ページで必要項目を入力すると、手数料1000円(税込)が請求され内容が確認できます。
JICCは「スマホ」「郵送」「窓口」で開示を受け付けており、銀行系の会社が加盟するKSCは「郵送」のみの対応です。
なお、受付方法は変更の可能性もあるため、最新情報を公式サイトでチェックしておきましょう。
信用情報が残る期間は?
信用情報は、内容や機関によって保管期間が変化します。たとえば、クレジットカード会社が審査のため、申込者の情報を閲覧したという履歴は6カ月程残ります。
滞納・延滞の情報が消えるのは、CICの場合は契約終了から5年以内です。また、KSCなどが取り扱う自己破産などの「官報情報」は10年間保存されています。官報情報は政府が国民に対して公表している、自己破産者などの情報を記載した機関紙です。
信用情報機関によって取り扱う情報は異なりますが、金銭トラブルが解決してから5〜10年は信用情報が残ると考えておきましょう。
まとめ
信用情報に取引履歴がなく、クレジットカードなどの信用取引を一度も行ったことがない人は「スーパーホワイト」と呼ばれます。
スーパーホワイトは信用性の面で問題はありませんが、一時的に延滞を起こした人も信用情報の履歴が消えるため、スーパーホワイトと見分けがつきません。
審査では判断がつかず、カード発行が見送られるケースもあります。早いうちにカードを1枚でも作っておくか、カード以外の分割払いでクレヒスを積むのが賢明です。