クレジットカードを使った送金は可能か
借りたお金を返すときや家賃の振込みが必要なとき、「クレジットカードから直接送金ができれば…」と思ったことはありませんか?クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠がありますが、どちらかでお金を送金することはできるのでしょうか。
クレジットカードに振込機能はない
「銀行のキャッシュカード」をATMに挿入すると、預け入れや引き出しのほかに「振込み」という項目が表示されます。振込みをタップして必要事項を入力すると、銀行口座から相手の口座に送金が行われます。いちいちカードでお金を下ろす必要はありません。
一方、クレジットカードには「キャッシング枠」があり、カードを使ってATMでお金が引き出せます。ただ、「振込機能」は付いていないため、カードから相手の口座に直接振込みをすることはできません。
振込みをする際は、いったんお金をキャッシングした上で、銀行ATMなどから相手の口座に振り込む必要があります。
スマホでの個人間送金は割り勘等に便利
個人間の送金であれば、「Peer to Peer(P2P)」と呼ばれる金融サービスを利用するのがおすすめです。
ネット接続した端末を用いるのが特徴で、「送金手数料がかからない(一部を除く)」「金融機関を介さずに済む」「時間や場所の制約を受けない」などの利点があります。
代表的な個人間送金サービスには、「LINE Pay」「楽天ペイ」「PayPay」「ちょコム」などが挙げられます。
特に、LINE Pay やPayPay はスマホアプリを使って簡単にやりとりができるため、割り勘や旅行代の集金には最適でしょう。
アプリにクレジットカードを紐づければ、カードのショッピング枠による間接的な送金も可能です。クレジットカードで自分のアカウント(残高)にチャージ(入金)をし、チャージした残高を相手に送信する流れになります。
個人間送金のメリットと注意点
送金サービスを使った個人間送金にはどのようなメリットがあるのでしょうか?巷には「クレジットカードの現金化」という方法もありますが、カードの利用規約に違反する可能性があります。
送金方法を選ぶときは、「ルールに反していないか」「安全かどうか」をチェックしましょう。
クレジットカードのポイントが付く
個人間送金では、紐づけたクレジットカードから残高チャージをし、その残高(電子マネー)からメンバーに送金を行います。この際、残高にチャージをするたびに「カード会社のポイント」が貯まるケースがあります。
楽天のスマホ決済サービス「楽天ペイ」を例に挙げましょう。「楽天カード」から楽天ペイの残高「楽天キャッシュ」にチャージをすると、0.5%の「楽天ポイント」が付与されます。
送金サービス「ちょコム」を使った場合も、カード会社のポイントが貯まります。ただし、ちょコムは送金額に応じた「送金手数料」がかかるため、あまりお得とは言えないでしょう。
一方で、電子マネーへのチャージが「ポイント対象外」のクレジットカードも存在します。
クレジットカードの現金化は規約違反
ネットを検索すると「クレジットカードを使った現金化」を謳う広告が多く見受けられます。これは、本来商品やサービスの支払いに使うための「ショッピング枠」を換金目的で使用させるサービスです。
具体的には、おもに「買取式」と「キャッシュバック式」の二つのパターンがあります。
買取式とは、カード利用者にブランド商品や金券、家電などの「換金率の高い商品」をカードで購入させ、買取店にて換金させる方法です。
もう一つの「キャッシュバック式」は、ほとんど価値のない自店の販売品をカード利用者に高額で購入させ、手数料を差し引いた金額を後から返金する方法です。
ショッピング枠はあくまでもカード決済が目的のため、多くのカード会社ではカードでの現金化を禁止しています。いくら「手っ取り早い、バレない」と言われても、規約違反になる行為はやめましょう。
ショッピング枠を活用したちょコム送金
「ちょコム」は、NTTコミュニケーションズの子会社「NTTスマートトレード」が提供する個人間送金サービスです。クレジットカードで「送金用電子マネー」を購入し、その電子マネーを相手に送る仕組みです。
送金のやり方
ちょコムの送金方法には、「ちょコムバンク支払い」と「クレジットカード送金」の2種類があります。
クレジットカード送金は受取人が「ちょこむ送金口座」を開設しなければならないため、相手に不便をかけたくないのであれば、「ちょコムバンク支払い」を選択しましょう。
送金にあたり、送金人は最初に「ちょこむ送金口座」の開設が必要です。「ちょコム会員の登録手続き」をした後、ログインをして「送金口座開設申し込み」に進みましょう。画面の案内に従い、口座開設手数料1000円を支払えば、申し込みは完了です。
数日後、「受取人確認配達サービス」による本人確認を以て口座が利用できるようになります。
送金を行う前に「支払先の登録申請」も必要です。支払い目的と振込先の口座情報が分かる書類を送ると審査が開始され、審査終了後(2営業日後)に支払いが可能となります。
送金時は、画面の案内に従い「支払金額」「振込人名義」「クレジットカード情報」などを入力し、支払い申し込みをすれば完了です。
受け取り方法
送金人が「ちょコムバンク送金」を行うと、NTTスマートトレードが送金人に代わり、受取人の銀行口座に振込みを行います。受取人は通常の振込み同様に自分の銀行口座の入金確認をするだけで、特別な操作は必要ありません。
振込人名義は「送金人の個人名」ですが、受取人の通帳には「(送金人の個人名)-ST」と記載されます。
なお、受取人がちょコム送金口座を持っている場合は「クレジットカード送金」が利用できます。送金人はちょコム送金口座を開設する必要がなく、クレジットカードを使って相手のちょコム送金口座(メールアドレス宛て)に送金をするだけです。
クレジットカード送金が行われると、受取人のちょコム送金口座にリアルタイムに送金額が反映されます。受取人は、276円の手数料を支払い、ちょコム送金口座から自分名義の銀行口座への出金を行います。
ちょコム送金を利用する条件
ちょコムでの送金は「日本国内に居住している人」のみが利用できるサービスです。
送金ができる相手は自分以外の第三者で、「自分名義及びカナ同姓の人」「自分と同居の家族」には送金ができません。自分や同居の家族に送金を行った場合、「キャッシング目的の利用」と見なされ、ちょコムの利用が停止されます。
送金に使えるカードの国際ブランドは「Visa」または「Mastercard」で、「3Dセキュア(本人認証サービス)」の設定がされているものに限ります。月間の送金上限額は30万円です。
支払金額に応じて手数料が決められており、ちょコムバンク送金は4.18%~5.5%(+252円)、クレジットカード送金は3.85%(税込)とやや高めの設定であることを覚えておきましょう。
ショッピング枠を活用してPayPayで送金
「PayPay」は、ソフトバンクとヤフーが設立した「PayPay株式会社」によるスマホ決済サービス(アプリ)です。ヤフーのクレジットカードのショッピング枠を使った送金や割り勘の方法を紹介します。
PayPay残高を送る
残高チャージが完了したら、さっそく送金をしてみましょう。PayPay残高が送れる相手は「PayPayユーザー」です。
まず、ホーム画面の「送る・受け取る」ボタンより、送金相手を選択します。相手の「電話番号」または「PayPay ID」を入力して検索するか、相手の「マイコード」をスキャンしましょう。
相手を指定した後、送金額を入力し、「○○円を送る」をタップすれば、送金が完了します。
「相手のPayPay IDや電話番号は知らないが、SNSでならつながりがある」という場合は、「受け取りリンク」をSNSやメールで伝え、リンクから受け取りを進めてもらうことも可能です。ホーム画面で「送る・受け取る」→「リンクを作成」と進みましょう。
ショッピング枠を活用して楽天ペイで送金
楽天の非接触決済サービスには「楽天ペイ」と「楽天Edy」があります。楽天ペイはスマホにアプリをダウンロードして使うタイプで、店舗ではQRコード・バーコードを読み取って決済を行います。楽天キャッシュにクレカチャージをして、送金する方法を確認しましょう。
楽天ペイにチャージ
楽天ペイの残高は「楽天キャッシュ」と呼ばれます。クレジットカードから楽天キャッシュにチャージをした上で友人に送金すれば、間接的なクレカ送金になります。
チャージができるクレジットカードは、「楽天カード(Mastercard・Visa・JCB・アメックス)」と、「そのほか国内で発行されたカード(Mastercard・Visa、JCB・アメックス)」です。楽天カードを紐づけた場合、チャージのたびに0.5%の楽天ポイントが還元されます。
アプリをダウンロードした後、「お支払い元の設定」から「クレジットカード・デビットカード」をタップして、カードを登録しましょう。
チャージをする際は、ホーム画面の「チャージ」をタップし、金額を入力します。「チャージする」をタップすると、その場でチャージが完了します。
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リンクを作成してLINE等で送る
連絡先に入っている相手に送る場合は、アプリの「送る」タブの「楽天キャッシュを送る」ボタンをタップします。
「連絡先(電話帳)を同期する」をタップし、楽天ペイが連絡先にアクセスするのを許可しましょう。相手も楽天ペイアプリでSMS認証を完了している場合のみ、送金が行えます。
連絡先が入っていない相手に送る場合は、アプリの「一覧にいない人に送る」をタップしましょう。金額やメッセージを入力した後、LINEやメールなどの「リンクを送るツール」を選択して送信すると、相手にリンクが届きます。
受取人は「楽天ペイアプリ」または「楽天会員Webサイト」で楽天キャッシュが受け取れます。楽天ペイでの支払いに使えるほか、楽天市場や楽天トラベルなどの各種サービスでも利用が可能です。
ほかのマネー系アプリでもできる?
近年は、事前にチャージするタイプの送金アプリが続々と登場しています。個人間送金アプリの代表格「Kyash(キャッシュ)」や「pring(プリン)」を使えば、お金のやりとりがグッと便利になるはずです。アプリの特徴や「カードを使った送金の可否」をチェックしましょう。
Kyashは登録カード入金分の送金NG
「Kyash」は、支払いや個人間送金ができるVisaのプリペイドカード・アプリです。
銀行口座やコンビニATMなどからチャージした残高は「Kyashマネー」、アプリに登録したクレジットカードやKyashポイントからチャージした残高は「Kyashバリュー」と呼ばれます。
Kyashマネーは個人間の送金に使えますが、Kyashバリューは送金には使えません。Kyashで送金をしたいのであれば、クレジットカード以外の方法でチャージをする必要があります。
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pringはクレジットカード入金対象外
「pring(プリン)」は、チャット感覚で友達に送金ができる送金専用アプリです。
アプリ上で受取人を選択するだけで、事前にチャージした残高からその場で送金が行われます。送金手数料がかからないため、割り勘や集金、家計費の精算など、さまざまなシーンで役立つでしょう。
pringへのチャージ方法は「銀行口座からの直接チャージ」と「セブン銀行ATMによる現金チャージ」の2択で、クレジットカードチャージには対応していません。
クレジットカードを使いたいのであれば、キャッシングで現金を引き出し、銀行ATMでpringに入金をする流れになるでしょう。ただし、キャッシングではカードのポイント付与はありません。
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まとめ
クレジットカードのショッピング枠は、カードを使って買い物ができる限度額です。巷には「カードの現金化」という広告が多くありますが、現金化をして他人に送金するのはカードの利用規約に違反します。
クレジットカードから送金するのであれば、「キャッシングをして送金」または「個人間送金サービスの使用」が有用です。キャッシングは金利が上乗せされるため、コストを抑えたい人は「Pay Pay」や「楽天ペイ」などのアプリを活用しましょう。