クレジットカードのサイズは世界共通?
財布やカードケースにクレジットカードを入れる際、カードのサイズがすべて同じであることに気付いた人も多いでしょう。発行会社や国際ブランドが違っても、クレジットカードのサイズは同じです。
黄金比を採用した国際規格
クレジットカードのサイズは、国際規格である「ISO/IEC 7810」によって定められています。身分証明書カードには以下の四つの規格があり、クレジットカードには「ID-1」が採用されています。
・ID-1:縦53.98mm×横85.60mm×厚み0.76mm
・ID-2:縦74mm×横105mm
・ID-3:縦88mm×横125mm
・ID-000:縦15mm×縦25mm
ID-1の縦と横の比率は、調和的で見た目が美しいとされる「黄金比」の1:1.618に近い数値になっています。この規格は世界共通で、カード会社や国際ブランドが変わってもサイズは変わりません。
なお、ID-3はパスポートやビザ、ID-000はSIMカードに採用されています。
国際規格ISOとJISの違いとは?
多くの製品には、あらかじめ決められた「規格」があります。代表的なのは国際規格の「ISO(International Organization for Standardization)」でしょう。日本を含む160カ国以上の国々が加盟している非政府組織です。
主に、電気・電子分野以外の製品やサービスの規格を標準化しており、国や製造企業が違っても、一定の品質のものが創出される仕組みです。同じ基準があれば、多国間での取引もスムーズになるでしょう。
一方、日本には「JIS」という独自の工業規格が存在するのをご存じでしょうか。建築や一般機械など複数の分野に分かれており、「工業標準化法」に基づいた規格が策定されています。
同じA4サイズの紙といっても、JISとISOでは寸法が微妙に異なります。どちらの規格を採用してもかまいませんが、規格が違えば使う場所によってさまざまな不具合が生じる可能性があるでしょう。
全世界で利用するクレジットカードには、ISOの国際標準規格が採用されています。
国際規格なのはサイズだけじゃない
クレジットカードのサイズにはISO規格の「ID-1」が用いられていますが、国際規格で統一されているのは、サイズだけに留まりません。手元にあるクレジットカードを確認してみましょう。
カード番号の大きさや位置
クレジットカードの券面には固有のカード番号が印字されています。桁数はカードの国際ブランドによって異なりますが、14~16桁が一般的です。
カード番号の位置・文字の大きさ・使用するフォントは、国際規格「ISO/IEC7811-1」によって規定されています。
手持ちのカードを比べてみると、ブランドや発行会社が違ってもフォントや文字の大きさは変わらないことに気付がつくはずです。位置は「中央よりもやや下」に印字するのがルールです。
磁気テープの場所
クレジットカードの裏面にある黒い帯状は「磁気テープ」または「磁気ストライプ」と呼ばれます。
近年はICチップ付きのカードが主流ですが、IC化に対応する端末を導入していない店舗も多く、クレジットカードには磁気テープとICチップの両方が搭載されるケースがほとんどです。
磁気テープの位置や磁力、幅などは国際規格「ISO/IEC7811-2」によって定められています。
なお、日本のクレジットカードの場合、裏面には国際規格、表面には日本規格に基づいた磁気テープが貼られており、日本の決済端末は両方の磁気ストライプを読み込む構造です。
耐久性に関する規定も
「耐久性」は国際規格「ISO/IEC7810」によって規定されています。
クレジットカードにおける耐久性とは「曲げの強さ」「ねじれの強さ」「可燃性」「化学物質への耐性」「光と熱への耐性」などの物理的な特性のことです。カードの基板には、これらの規格の要求を満たす材質が使われます。
規格が統一されていない場合、すぐにカードが破損してしまったり、ATMが壊れてしまったりとさまざまな不具合が生じるでしょう。
サイズが統一されている理由とは?
クレジットカードのサイズや品質はなぜ国際規格で統一する必要があるのでしょうか?発行元ごとに違った規格のカードがつくられた場合、どんな不具合やデメリットがあるかも考えてみましょう。
最大の理由は利便性
クレジットカードの規格が標準化されている最大の理由は、世界中のどの場所でもカード決済ができるようにするためです。
カード発行元で規格が異なる場合、店舗側はカードの規格に合った複数の専用読み取り機を操作しなければなりません。操作方法を覚えるのも一苦労で、スムーズな決済が妨げられるでしょう。対応する読み取り機を間違えれば、機器やカードが破損するおそれもあります。
クレジットカードの規格が統一されると、操作時の利便性が増し、よりスムーズな決済が可能となるのです。
コスト削減も
カードの規格を標準化するもう一つの理由は「店舗側のコスト削減」です。
クレジットカードのサイズや磁気テープの位置などが違えば、それに合った専用読み取り機を導入しなければなりません。複数のモデルを導入するとなると膨大なコストがかかります。
一方で、「対応端末がなくて、海外発行カードが利用できない」という事態になれば、店の売上に大きく響くでしょう。規格の標準化により、店舗側は端末導入のコストを大幅に抑えることが可能となったのです。
まとめ
日本国内で発行されたクレジットカードは、世界中のどの国でも利用が可能です。一見、当たり前のように思えますが、便利なシステムの裏側には「国際規格」というルールが存在しているのです。
国際規格がカバーするのは、厚み・耐久性・磁気テープの位置・数字の大きさなど、あらゆる範囲に及びます。複数のカードがある人は実際に比較してみるとよいでしょう。
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