国民年金の支払い方法
国民年金は、「20歳以上60歳未満のすべての国民」に加入義務がある公的年金です。会社員は自分で納める必要がありませんが、自営業に従事する人や20歳以上の学生、無職の場合は年間で一定の額を支払わなければなりません。
支払い方法は、「口座振替」「納付書による現金払い」「クレジット払い」「インターネットバンキングなどの電子納付」から選択できます。
クレジットカード支払いがおすすめ
近年は、国民年金をクレジットカードで支払う人が増加しています。2017年10月にはアメリカン・エキスプレスカードでも国民年金の納付が可能となりました。
カード払いをするメリットは「年金の未払い」が防げる点です。納付書の場合、前納手続きを取らない場合は1カ月ごとに支払いをしなけばなりませんが、カード払いは保険料が自動的に引き落とされます。
国民年金には「納付期限」と「使用期限」という二つの期限があるのが特徴です。「納付期限から2年」を過ぎた納付書は使用期限切れとして、いずれの支払い方法でも納められなくなります。
年金事務所で新たに2年分の納付書の作成する手間がかかるため、「忙しくて納付を忘れやすい」という人にはぴったりの方法でしょう。
カード払いは、「毎月支払い」「1年分支払い(前納)」「半年分支払い(前納)」「2年前納」のすべてに対応しています。ただし、「1回払いのみ」で、分割払いやリボ払いはできません。
途中で支払い方法(カード払い・口座振替・納付書)を変更する際は、日本年金機構の「申請書」を以て手続きを行います。
国民年金をクレジットカードで支払う
国民年金をカードで支払うには、クレジットカード情報や年金番号などを記載した「申請書」を日本年金機構に提出するのが最初のステップです。利用するカードの「有効期限」や「利用限度額」に問題がないかも確認しておきましょう。
事前に郵送や電子申請での手続きが必要
クレジットカード納付を希望する場合は、事前の手続きが必要です。手続き後は被保険者からの辞退の申し出がない限り、クレジットカード納付が継続されます。
≪手続きに必要なもの≫
国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書
年金手帳や納付書などの基礎年金番号のわかるもの
国民年金保険料クレジットカード納付に関する同意書(被保険者とカード名義人が異なる場合のみ)
申出書は、日本年金機構のWebサイトでダウンロードが可能です。申請書に必要事項を記入後、近くの年金事務所の窓口に提出しましょう(郵送可)。
また、「総務省」が運営するポータルサイト「e-Govポータル」によるオンライン申請も可能です。まずは、e-Gov電子申請アプリケーションインストーラをインストールし、「電子証明書」を発行しましょう。
手続きの詳細は公式サイトで確認可能です。申請後は、被保険者が指定したクレジットカードに保険料が請求されます。
利用限度額の照会日、引き落とし日は?
クレジットカード納付では、最初に「カード利用限度額」と「有効期限」の照会が行われます。カードが有効とわかった場合のみ、カード会社が立替納付を行う流れです。
≪利用限度額の照会日≫
毎月納付:該当月の月初から数えて第8営業日~18日の間(前月末日が非営業日の場合は第9営業日から開始)
6カ月前納:4月と10月の月初から数えて第8営業日~18日の間
1年前納・2年前納:4月の月初から数えて第8営業日~18日の間
国民年金の納付期限は、法令で「納付対象月の翌月末日」と定められているため、国民年金保険料の引き落とし日も基本的に「該当月末」となります(金融機関が休みの場合は翌営業日)。
カード会社からの利用明細書の利用日は、該当月初から数えて第8営業日(前月末日が非営業日の場合第9営業日)が記載される点に注意しましょう。
クレジットカード納付の注意点
クレジットカード納付のデメリットは「カード利用限度枠」を圧迫する可能性がある点です。生活費や公共料金のすべてを1枚のカードで支払っている人は特に注意が必要です。利用するカードが「ポイント付与対象になるか」もチェックしておきましょう。
ポイント対象となるか確認しよう
クレジットカード決済では利用金額に応じた「カード会社のポイント」が付与されます。国民年金は額が大きいため、ポイントを大きく稼げるのがメリットです。
国民年金の支払いによるポイント還元の有無は、カードによって異なります。たとえば、「楽天カード」は、国民年金や一部の公共料金の支払いもポイントの対象です。しかし以前は還元率が1%でしたが、2021年6月以降は0.2%に下がっています。
「クレディセゾン」ではビジネスカードで国民年金を支払うと、1%の永久不滅ポイントを還元する期間限定のキャンペーンを行っています。
一方で、国民年金保険料の納付を「ポイント付与対象外」とするカード会社も少なくありません。ポイントが付かないカードには、ドコモの「dカード」や「三井住友カード」などがあります。
コンビニで納付書によるカード支払いは不可
全国のコンビニでは、納付書による現金払いが可能です。「コンビニでも保険料のカード払いができるのでは?」と期待したいところですが、現状では納付書によるカード払いはできません。
ほとんどのコンビニでは、「払込票による収納代行サービス」にクレジットカードは使えない仕組みです。ただし、セブン-イレブンでは、収納代行サービスの支払いに電子マネー「nanaco」が使えます。
この場合、nanacoポイントは付与されませんが、「セブンカード・プラス」からnanacoにクレカチャージを行い、チャージしたnanacoで支払いを行うと、「チャージによるnanacoポイント」が200円で1ポイント貯まります。
カードの利用限度枠を超えると支払いできない
クレジットカードには、毎月の利用限度額があります。「ショッピング枠30万円・キャッシング枠50万円」といったように、「個人の信用」に基づいて個別に設定されており、上限以上の支払いはできません。
公共料金や税金の支払いを1枚のカードにまとめている人は、「限度額オーバー」に注意が必要です。引き落としができない場合は日本年金機構より「納付書」が送付され、対象期間のみ「毎月納付の扱い」となってしまいます。
利用上限額を超えそうな場合は、クレジットカードの「一時増額サービス」を利用するのも一つの手です。収支を調節しながら、クレジットカード納付の恩恵をフルに享受しましょう。
支払い方を工夫してお得に納付しよう
クレジットカード納付は支払い方をちょっと工夫するだけで、大きな節税効果が見込めます。本来の納期限よりも前にまとめて支払えば、1カ月当たりの保険料をぐっと安くすることが可能です。
所得が高い家族のカードで支払う
家族で自営業を営んでいる場合、家族それぞれに納付書が1枚ずつ届きます。個別に支払いをするのが通常ですが、クレジットカード納付では「同一生計の家族分をまとめて納付できる」のがメリットです。
日本では、所得が高いほど適用される税率が高くなる「累進課税」という仕組みを取っています。たとえば、高所得者である夫が妻の保険料をまとめて払った場合、確定申告や年末調整では、「夫が実際に支払った保険料」として所得控除されます。
つまり、税率の高い人に負担をさせた方が課税される税金が少なくて済むのです。
約1万5000円の割引がある2年前納を活用
国民年金の保険料は、「前納」がお得です。「国民年金前納割引制度」では最大2年の前納が可能で、早く納めれば納めるほど割引率が高くなります。
≪2022年度の保険料の場合≫
6カ月分の前納:9万9540円→9万8730円(810円の割引)
1年度分の前納:19万9080円→19万5550円(3530円の割引)
2年度分の前納:39万7320円→38万2780円(1万4540円の割引)
これまでは現金前納と口座振替が割引の対象でしたが、17年4月より、クレジットカード納付も対象となりました。22年度は、2年分を納付すると1万4540円が割引されます。
2年分を前納する場合は「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」に必要事項を記入し、年金事務所に提出します。申し込み期限は「毎年2月末」です。割引のチャンスを逃さないようにしましょう。
まとめ
国民年金の支払い方法というと、これまでは「納付書による現金払い」か「口座振替」が主流でしたが、現在はクレジットカード納付が注目されています。
2年納付では「カードのポイント還元」に加え、約1万5000円の割引が適用になるため、家計も大助かりです。国民年金は、遅かれ早かれ必ず支払わなければなりません。どうせ支払うのであれば、お得な方法を選択しましょう。
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