ETCカードには2種類ある
「ETC」は、有料道路の料金所における「電子料金収受システム」です。ETCカードと専用車載器を車にセットアップすると、料金所のアンテナが車載器からの電波をキャッチして自動的に料金の徴収を行います。
クレジットカード会社発行 ETCカード
カード会社で取り扱うETCカードは、クレジットカードの「追加カード」として発行できるものです。通行料金は「毎月のクレジットカード利用代金」と合わせて請求されるため、管理に手間がかかりません。
利用のたびに、「紐づいているクレジットカードのポイント還元」が受けられるのもメリットです。カード会社で発行するものは、主に2種類に大別されます。
ETC機能一体型クレジットカード:クレジット機能とETC機能を1枚のカードに搭載
ETC専用カード:クレジットカードとは別に、専用カードとして発行
改正割賦販売法の施行により、2020年3月で一体型は廃止さています。クレジットカードのセキュリティ対策の一環として、「ETC専用カード」への切り替えが行われたのです。
出典:割賦販売法の 部を改正する法律について - 経済産業省
高速道路6社発行 ETCパーソナルカード
高速道路6社が発行するものは「ETCパーソナルカード(ETCパソカ)」と呼ばれます。年会費は1257円(税込)で、申し込み時に一定の「デポジット」を預託しなければなりません。
デポジット額は最低2万円で、「月の平均利用額(自己申告)の4倍」が目安です。たとえば、月に10万円前後の利用を予定している場合、デポジット額は4万円です。利用料金は、登録した金融口座から「翌月27日」に自動的に引き落とされます。
残高不足で引き落としができない場合や未決済分がデポジットの80%を超えた場合は、一時的に利用停止になってしまう点に注意が必要です。再開の際には、再度「会員として継続していけるか」の審査対象となります。
ただし、デポジットが2万円の人は「追加のデポジットの引き落とし(自動積増)」として2万円を負担することで、利用停止になることなく4万円の80%の金額まで継続が可能です。
利用するメリット・デメリット
ETCカードは、有料道路を通行する機会が多い人にとっては便利なシステムです。一方で、「コストがかかりそう」「設置が面倒」という理由で導入に踏み切れない人もいるようです。ETCカードには、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
料金所の通過がスムーズ
ETCカードを利用すると、有料道路の料金所で一時停止をする必要がなくなります。カードを使う車が多くなれば道路の渋滞が緩和され、目的地により早く到着できるようになるでしょう。財布をうっかり忘れても、慌てる必要がありません。
カード会社発行のETCカードは、クレジットカードより通行料金が支払われます。「カードの利用限度額」の利用が原則ですが、オーバーしている状態でもETC専用カードが有効期限内であればゲートは問題なく通過できるようです。
ETC専用レーンに入ってから利用できないことがわかった場合、スムーズな流れが止められるおそれがあるうえ、安全性の面からもゲートを通過できない事態はできるだけ減らしたいのでしょう。
とはいえ、利用限度額オーバーで繰り返し利用するのはよくありません。早めに、「限度額引き上げ」の申し込みをしておきましょう。
料金割引などのサービスがある
ETCカードの利用者は、通行料に対する「割引サービス」が受けられます。
・平日朝夕割引:1カ月対象走行回数に応じ、地方部区間の最大100km相当分までの30~50%分を還元(「ETCマイレージサービス」に要登録)
・深夜割引:午前0~4時の間にNEXCO3社が管理する割引対象区間で約30%の割引
・休日割引:土・日・祝日にNEXCO3社が管理する割引対象区間で約30%の割引
実施状況は道路会社によって異なります。くわしくは、各社のETC・割引情報を確認しましょう。
また、「ETCマイレージサービス」に登録済みのカードで通行すると、基本「通行料金10円につき1ポイント」の「マイレージポイント」が貯まります。一定の交換単位まで貯めたポイントは、「無料通行分」として通行料金に充当が可能です。
車載器の購入・取り付けが必要
ETCカードを使うには、無線通信用の「車載器」の購入及び取り付けが必要です。店舗で車載器を購入したうえで、車両情報を登録する「セットアップ」と呼ばれる設定を行うためコストと手間がかかります。
セットアップは「ETCセットアップ登録店」にて行うのが基本です。高度なセキュリティ処理を伴うため、個人や登録店以外ではできないと考えましょう。
なお、車載器がなくても、ETCカードを使った支払いは可能です。入口で「通行券」を取り、出口で係員に通行券とETCカードを渡して清算を行います。この場合、無線通信が条件とされている「各種割引」は適用されません。
また、「電波法関連法」の改正により、22年12月1日以降は一部の旧型車載器の利用ができなくなります。今後は新規格の「ETC2.0」が主流となるため、人によっては車載器を買い替える必要も出てくるでしょう。
クレジット会社が発行するETCカードを持っている場合、「車載器購入助成」が受けられる場合もあります。
はじめトク?ETC助成金キャンペーン | ETC2.0くん PORTAL SITE
選び方のポイント
どのETCカードを選ぶかによって「カード維持費」「ポイント還元率」「特典の多さ」が変わります。カード会社発行のETCカードは、クレジットカード発行に伴う「入会審査」があるため必ず発行できるとは限りません。
クレジットカードなしで発行できる?
選び方の一つ目のポイントは「ETCカードを持つのに、クレジットカード発行が必要かどうか」です。カード会社のETCカードは、クレジットカードの「追加カード」の位置付けのため単独発行はできません。
クレジットカードを持っていない人や発行ができない人は、必然的に高速道路会社の発行する「ETCパーソナルカード」を使うことになります。ただし、月あたりの利用頻度や支払額が多い個人事業主は、法人向けの「ETCコーポレートカード」の発行も可能です。
一方、クレジットカードを持っている人は「ETCカードの申し込みが可能かどうか」を確認しましょう。ETCカードが追加発行できないカードの場合は、別のクレジットカードを契約するか、ETCパーソナルカードまたはETCコーポレートカードを発行するかのいずれかになります。
発行手数料や年会費、審査の有無
ETCパーソナルカードは、年会費が1257円(税込)がかかります。クレジットカード発行時のような「与信審査」はありませんが、平均利用額の4倍のデポジットを預託が必要です。
カード会社発行の場合は、発行元によって年会費や手数料が異なります。コストを抑えたい人は、「年会費が無料のもの」や「条件付きで年会費が免除されるもの」を選びましょう。
ETCカードとクレジットカードを同時に申し込む場合、カード会社による「審査」があります。審査落ちすれば、クレカもETCカードも手に入りません。すでにクレジットカード持っている人が「追加カード」として申し込む場合は、問題なく発行されるケースがほとんどです。
ポイント還元率をチェック
ETCマイレージサービス登録済みのETCカードを利用すると、「マイレージポイント」が積算されます。ETCパーソナルカードの場合はマイレージポイントのみですが、カード会社のETCカードは「カード会社のポイント」も同時に還元されるのが大きな特徴です。
還元率の高いクレジットカードを使えば、ポイントの積算スピードが速くなるでしょう。なかには、ショッピングポイントよりも、ETCカード利用分の方が還元率が高く設定されているカードもあります。
一方で、「ETCカード利用分はポイント還元対象外」というカードもあるため、利用規約をチェックしておく必要があります。
割引や特典から選ぶ
クレジットカード会社発行のETCカードの場合、「クレジットカードに付帯するさまざまな割引や特典」が受けられます。自分のライフスタイルを考慮して、お得度が高い1枚を選びましょう。
旅行に行く機会が多い人であれば「旅行傷害保険」や「空港ラウンジサービス」、ショッピングが好きな人であれば「ショップでの割引特典」「ショッピング保険」などが付いているものがおすすめです。
また、ガソリンスタンドでの値引きやキャッシュバックが受けられるクレジットカードもあります。
クレカ会社発行ETCカードの作り方
ETCカードの作り方には「新規クレジットカードとの同時発行」と「既存のカードでの追加発行」の2パターンがあります。いずれの方法も、クレジットカードを保有することが条件です。
新規で申し込む場合
クレジットカードの「新規申し込み」のページにアクセスし、クレジットカードの申し込み手続きを行います。その際、「ETCカード発行のオプション」を選択しましょう。入会審査に通過すると、クレジットカードとETCカードが発行されます。
オリコカードの「オンライン申し込み」では、クレジットカードとETCカードの同時申し込みができません。先にクレジットカードを発行した後、オンライン・電話・郵送のいずれかにて、ETCカードの追加申し込みを行いましょう。
追加発行も可能
すでにカードを持っている場合は、「追加発行」の申し込みを行います。申し込み方法はカード会社にもよりますが、「カード会員専用サイト」「郵送」「電話」「店舗」から選択が可能です。
追加発行の際にも審査は行われますが、クレジットカード発行時ほどハードルは高くありません。審査が通れば、数日~数週間でETCカードが発行されるでしょう。カード会社によっては、「家族カード」にもETCカードが付帯できます。
ETCカードのおすすめ3選
ETCカードの機能はどのカード会社で発行しても変わりません。カード会社ごとに大きく異なるのは、「クレジットカードに付帯する特典」や「カード利用におけるポイント還元率」です。自分のニーズに合ったお得な1枚を選びましょう。
ETCカードも還元率1% JCB CARD W
「JCB CARD W」は、18歳以上39歳以下が発行できる年会費無料のカードです。通常のJCBカードの2倍(通常ポイント+JCB CARD Wボーナス)の「Oki Dokiポイント」が貯まるのが特徴で、「JCBオリジナルシリーズ優待店」ではさらに2~10倍のポイントがプラスされます。
JCBカードが発行するETCカードは、「ETCスルーカード」と呼ばれます。JCB CARD Wの追加カードとして発行した場合、ETCの利用でも通常の2倍(還元率1%)のOki Dokiポイントが還元されるため非常にお得です。
高いポイント還元率、年会費無料のJCB カード W!|クレジットカードのお申し込みなら、JCBカード
車両損傷お見舞金制度あり イオンカードセレクト
「イオンカードセレクト」は、「イオン銀行のキャッシュカード」「クレジットカード」「電子マネーWAON」が一体型カードです。カード決済では、「200円(税込)で1ポイント」の「WAON POINT」が貯まります。
イオンのお客さま感謝デー割引をはじめとする「イオングループ対象店舗の特典」が充実しているため、イオンユーザーには欠かせない1枚となるでしょう。
カード会員は「ETC専用カード」の無料発行が可能です。「ETCゲート 車両損傷お見舞金制度」が付帯しており、ETCゲートの開閉バーで車両を損傷した場合「年1回・一律5万円分」の見舞金が支払われます。
イオンカードセレクト | イオンカード 暮らしのマネーサイト
発行維持費不要で高還元 Orico Card THE POINT
ポイント重視の人におすすめなのが、オリコが発行する「Orico Card THE POINT」です。ポイント標準還元率は1%ですが、入会後6カ月に限り「2%」分のオリコポイントが還元されます(上限5000ポイント)。
カード会員は「Orico ETCカード」が無料で発行できます。ETCカードの利用でも、入会後6カ月は2%のポイントが貯まるため、走れば走るほどお得です。
オリコポイントは「加算月を含めて12カ月後の月末」に失効するため、効率よく貯めて、早めに使いましょう。会員サイト「オリコポイントゲートウェイ」で、ギフト券や各種ポイントに交換ができます。
ポイント高還元率のクレジットカード Orico Card THE POINT(オリコカード ザ ポイント)
まとめ
ETCカードには「ETCパーソナルカード」と「カード会社発行のETCカード」の2種類があります。コストの安さやポイントの貯まりやすさを見れば、カード会社発行のETCカードの方がメリットは多いでしょう。
しかし、クレジットカードを解約するとETCカードも使えなくなるため、人によっては単独でETCパーソナルカードを発行した方がよい場合もあります。どちらが自分に適しているかを、じっくりと検討しましょう。