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生活保護者はクレジットカードを作れる?受給中も使える決済手段

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2021.08.11
by ドットマネー編集部

生活保護者はクレジットカードを作れるの?

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クレジットカードの利点は、手元にお金がなくても買い物ができる点です。ボーナス払いやリボ払いを選択すれば支払いが先延ばしできるため、金欠のときの強い味方ともいえます。

クレジットカードの申し込みは多くのカードで「学生を除く18歳以上」が対象ですが、「生活保護受給者」でもカードの発行は可能なのでしょうか?

新規入会の審査には通らないと考えておこう

生活保護は「生活困窮者の健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を促す」制度です。収入が定められた最低生活費に満たない場合、「厚生労働省」が算出した「最低生活費」から収入を引いた金額が支給されます。

やむを得ない事情があって働けない人(無職)や、働いても収入が少ない人が対象です。新しい仕事に就いて収入が最低生活費を上回ると、生活保護の受給は打ち切られます。

生活保護受給者は、クレジットカードが発行できない確率が高いです。カードの申し込みは「学生を除く18歳以上」のため申し込み自体はできますが、「入会審査」により、落とされてしまうケースがほとんどです。

生活保護制度

理由は支払い能力を認められないため

クレジットカードはカード会社が会員の「信用」を基にカードを発行し、リスクを取って「立て替え払い」請け負う仕組みです。生活保護受給が審査落ちしてしまう理由は、「支払い能力」が認められないためと考えられます。

≪生活保護受給の条件≫

・世帯収入が最低生活費を下回っている
・家や車などの資産がない・貯金もない
・病気やケガで働くことができない・働く場所がない
・年金などを合わせても最低生活費に満たない

生活保護の受給条件に当てはまる人にカード発行すれば、返済不能となるおそれが高まり「貸し倒れ」のリスクがあるでしょう。

一方で、仕事をしていない「専業主婦(夫)」は、世帯収入や配偶者収入を申告することで、カード審査に受かる場合があります。収入実績のない「新社会人」も、これまでの信用情報が良好で、かつ今後収入が見込めそうであれば、カードを発行できる可能性が高いです。

アルバイトをしている場合は?

生活保護制度では本人が労働できる状況であれば、年齢や体力に応じて働くことが求められます。就労による収入があっても、最低生活費に満たない人は生活保護の対象です。

生活保護受給者でアルバイトをしている場合は、カード申し込み時の「職業欄」や「年収欄」に現状を記入する必要があります。生活保護を受けている事実を申告する項目はありません。

申し込み条件に「安定継続収入」の記載がないカードは、審査もそれほど厳しくないと推測されます。しかし、生活保護受給者は、アルバイトの収入が最低生活費に満たない状況です。「支払い能力が不十分」とされ、審査落ちする確率は高いでしょう。

すでに持っているクレジットカードはどうなる?

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「会社が倒産した」「急にリストラされて無職になった」など、クレジットカード所持者が生活保護受給対象になってしまうケースもあります。「クレジットカードは引き続き使えるのか?」と心配な人は多いでしょう。

無職になっても急には止められない

急に無職になった場合でも、カードは引き続き利用できます。基本的に、生活保護の受給と同時にカードが急にストップすることはありません。

カードの利用が停止されるのは、「カード利用代金の返済が滞ったとき」と「カード更新時の審査に落ちた場合」です。

滞納期間が長くなると、カード会社によっては「強制解約」の措置に踏み切ります。滞納や強制解約の事実は「信用情報機関」に記録され、ほかのカード会社にも共有されます。今後もカードを使い続けたいのであれば、返済期限をしっかりと守りましょう。

また、クレジットカードは5~7年ほどに1回「カードの更新」が必要です。カード会社は、更新のタイミングで基本情報の変更や信用情報に問題がないか再度「審査」を行います。

カード発行後かつ更新前に生活保護受給に切り替わった場合、職業欄や年収欄は今まで通りとはいきません。発行時は満たしていた年収の条件を、クリアできていない場合もあります。

カード会社への申告は必須

転職したり仕事内容が変わったりしたときは、カード会社に連絡して新たな年収の申告をするのが原則です。同様に、「年収が大幅に減少した」「リストラで無職になった」という場合も、必ず申告しなければなりません。

リスクのある信用取引において、カード会社は常に最新の情報を把握しておく必要があるのです。カード会社によっても異なりますが、収入がなくなるとカード利用可能枠が制限されたり、キャッシング枠が使えなくなったりする場合があります。

特に、ゴールド以上のステイタスカードは安定した継続収入が条件です。勤め先や年収、ローンの有無など契約者には高い属性が求められるため、人によっては「更新不可」となるおそれもあるでしょう。

クレジットカードを使いたい場合

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生活保護受給者がクレジットカードを持つのは違反ではありませんが、カード利用には多くの制限が課されます。「生活保護受給中にカードを使うのが適当かどうか」は、申請先の自治体の判断に委ねられるといえるでしょう。

クレジットカード所持は法令違反ではない

生活保護法では、生活保護受給者のクレジットカード所持については触れられていません。カード所持は法令違反にあたらず、単に所持しているからといって生活保護対象から外れることもないでしょう。

生活保護を受けるにあたり、自治体によってはクレジットカードの所持を申し出なければならないケースもあります。

面談時は、これまでの利用明細や契約内容がわかる書類を持っていきましょう。カードの所持自体は法令に違反しないものの、「カードの利用」については制限がかかる場合があります。

自治体や相談員などの判断による

生活保護受給者のカード利用は、申請先の自治体の判断に委ねられます。生活保護法60条には「収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。」という一文があります。

カードを使う理由が正当で、かつ本人が生計状況をきちんと把握できるのであれば、利用が認められるかもしれません。

クレジットカードは「生活費必需品の購入」や「公共料金の支払い」で、割引やポイント還元が見込めます。カード利用が「生活費の節約」につながるのであれば、申請先の相談員に相談してみるのもよいでしょう。

生活保護法 | e-Gov法令検索

生活保護者のカードの使い方

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生活保護受給者がクレジットカードの利用を認められたとしても、自由に買い物ができるわけではありません。「贅沢品の購入はNG」「キャッシング機能は利用不可」など、さまざまな制約があります。

原則現金化できるものは買えない

保護費は、最低限度の生活が維持できない場合に支給されるものです。カードで購入できるのは生活必需品のみで、「現金化できるもの」は購入ができません。

さらに、生活保護を申請する際、手持ちの資産や財産を処分する必要があります。「現金化できるもの=資産」となり、生活保護受給の条件に合致しなくなってしまうのです。

例としては、高級時計・宝石類・家具・ブランド品・美術品・ゲーム機・2台目以上のパソコンやスマートフォンなどが挙げられます。現金払いにも当てはまりますが、クレカ利用においても生活必需品以外の「贅沢品」の購入もできないと考えましょう。

キャッシングは借金となるためNG

クレジットカードのキャッシングとは、「カードを使って現金の借り入れができる機能」のことです。急に現金が必要になった場合、カードを使って現金の引き出しができます。

キャッシングは、カード会社に「借金」をするのと同じです。生活保護受給者の借金は法律で禁じられていませんが、キャッシング機能を含む借金の事実があったときは「申告」が必要です。

生活保護受給中は「借り入れ=収入」と見なされるため、「支給済みの保護費の返還」や「支給額の減額」などの措置が取られます。無申告で借り入れし生活保護費を受給し続けると、「生活保護法違反」として扱われることもあるでしょう。

「リボ払い」や「分割払い」にも注意が必要です。支払い時にかかる手数料が、「支出の節約」という目的に当てはまらないとされる場合があります。

一方で、生活保護受給中の借金が認められる例外もあります。娯楽のための借金はNGですが、「医療のための借金(保険適用外の薬など)」や「子どもの就学の借金」は、生活保護で賄うことができません。まずは、申請先の担当者に相談してみましょう。

生活保護申請前からの支払いはどうなる?

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生活保護申請前にクレジットカードの利用や借金があった場合、生活保護は受けられるのでしょうか?生活保護費を借金返済に充てられない状況下において、残った支払いをどう解決するかを考えましょう。

借金があっても生活保護は受けられる

クレジットカードの支払いや住宅ローンなどの「借金」があっても、生活保護の申請はできます。ただ、「生活保護費によるローン返済」は「最低限度の生活を保障する」という生活保護制度の趣旨に合致しないため、原則不可です。

≪生活保護費の用途≫

・生活に必要な費用(食費や光熱費など)
・住居の家賃
・医療サービス・介護サービスの費用
・出産費用・葬儀費用
・就労に必要な技能の修得に関する費用
・義務教育に必要な学用品費

借金があって生活保護を受ける人は、「生活保護費で借金を返済してはいけない」という意識を持ちましょう。

受給前に借金問題を解消するには

生活保護を受給すると、借り入れや借金の返済が難しくなります。受給前に借金問題を解決する方法としては、「債務整理」が有用です。

これは、法的な手続きによって借金の減額・免除を行う方法で、「過払い金請求」「任意整理」「民事再生」「自己破産」の四つの措置から成ります。

債務整理の中で唯一、借金の支払い義務を免除してもらえる方法が「自己破産」です。家や車、財産を手放す必要がありますが、生活保護で新しいスタートを切るためには適切な選択といえるでしょう。

自己破産を行うにあたり、裁判所への出頭が必要です。弁護士に依頼すると「弁護士費用」がかかりますが、「日本司法支援センター(法テラス)」に相談すると所定の弁護士費用を立て替えてくれます。

生活保護受給者で費用が支払えない場合、立替費用の返済が免除される場合もあるようです。くわしくは、法テラスの公式サイトを参照するか問い合わせましょう。

費用を立て替えてもらいたい|法テラス

自治体に相談せずに決済するとバレる?

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生活保護を申請する際、自治体によってはクレジットカードの所持を自治体に申し出なければなりません。自治体に申告せずにこっそり利用した場合、その事実はバレてしまうのでしょうか?

福祉事務所は金融機関へ調査依頼ができる

福祉事務所や自治体は「資産調査」を目的として、各金融機関に「資産の照会依頼」をかけられます。各金融機関を調査すれば、クレジットカードを利用した事実もわかってしまうでしょう。

・口座・預貯金:銀行・郵便局
・保険加入:生命保険会社
・公的年金:社会保険事務所
・不動産:各自治体固定資産課・各陸運局
・就労収入:各自治体税務課・事業主

生活保護を受給する者は「照会に同意する旨を記した書面(同意書)」を提出するのがルールです。提出を拒んだ場合、保護申請を却下されるケースもあります。

無申告で利用するリスク

自治体やケースワーカーにカードの所持を隠したり、相談せずにカードを申請したりするのは好ましくありません。キャッシングでお金を借りれば、「借金=収入」として扱われ、受給額が減額します。

生活保護で受け取ったお金でカード利用額を返済すれば、「生活保護制度の趣旨からずれている」と判断されるでしょう。

無申告での利用は、「不正受給」となるリスクがあるのです。カードの利用が禁止されているわけではないため、自治体の担当者に利用したい旨を相談しましょう。

生活保護者も使える便利な決済手段

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電話料金の支払いやネットでの買い物など、クレジットカードがないと困るのは生活保護受給者も同じです。「後払い」という性質上、クレジットカードは収入がないと発行が難しいですが、プリペイドカードやデビットカードなら発行は十分可能です。

クレジットカードがないと困るシーン

カード払いができないと困るシーンといえば、「スマホ料金の支払い」です。格安SIMは、料金未払いのリスクや料金の回収コストを減らすため、支払い方法を「クレジットカード払い」推奨しているところがほとんどです。なかには、カードの契約内容によって「クレカ払い限定」としているものもあります。

また、ネットスーパーで買い物をする際、クレジットカードがないと、「代引き」を選択せざるを得ないケースもあるでしょう。代引きは「代引き手数料」がかかるため、生活保護受給者にとっては痛手です。

デビットカードやプリペイドカードを活用

ネットショッピングや普段の買い物では、クレジットカードの代わりに「国際ブランドが付帯したデビットカードやプリペイドカード」が使えます。

・デビットカード(即時払い):カード利用代金は預金口座より即時引き落とし
・プリペイドカード(前払い):事前チャージした残高内で支払いを行う

クレジットカードと違い、カード会社には「貸し倒れのリスク」がないため、未成年や生活保護受給者に対しても発行を行っています。

支払いにおけるクレジットカードとの違いは「分割払い」や「リボ払い」ができない点です。1回払いが原則で、どちらのカードも残高が足りない場合は決済ができません。

また、「公共料金」「月額・継続契約の利用料金」「ガソリンスタンド」などでは、プリペイドカードが使えないケースがあることも覚えておきましょう。

ポイントは申告が必要?

生活保護受給中は、すべての収入・資産を社会福祉事務所に届け出なければなりません。ここで気になるのが、キャッシュレス決済で得られた「ポイント収入」です。

プリペイドカードやデビットカードの中には、カード利用額に応じたポイントが付与されるものがあります。ポイントは、一般的に買い物の支払いに充当が可能です。

生活保護法には、ポイント収入に関するルールがありません。ただし、厚生労働省発出の「生活保護手帳 別冊問答集 2018板(追補)」によると、決済代金に応じて付与されるポイントは「店内や一部サービス内の商取引で値引きとして使えるもの」は収入には含めません。

一方で、「1ポイント=1円」などとして商品と交換したり、電子マネーに充当したりした場合は現金と同じ扱いとなり、収入として申告が必要です。

また、ポイント付与の抽選キャンペーンに当選して、ポイントを臨時・偶発的に取得した場合も「収入」と見なされます。必ず「社会福祉事務所」または「市区町村の役場」に申し出るようにしましょう。

生活保護手帳 別冊問答集 2018板(追補)

まとめ

生活保護受給者はクレジットカードが所持できないというルールは存在しません。受給前に発行したカードがあれば引き続き使えますが、必ず担当者に相談をしましょう。こっそり利用しようとしても、資金調査ですぐにばれてしまいます。

無申告で利用するリスクは大きく、場合によっては生活保護費の返還や減額といった措置が取られることもあります。

カード払いの利便性を求めるなら、クレジットではなく、プリペイドカードやデビットカードの発行を検討しましょう。

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