クレジットカードのリボ払いとは
クレジットカードは、1回払いのほかに、分割払いやリボ払い、ボーナス払いなどが選択できます。「リボ払い」は1回あたりの支払額が一定になる方法で、高額な買い物をしたときや手元にまとまったお金がないときに便利です。
一定の金額を毎月支払う方法
「リボルビング払い」の略称で、利用金額や利用回数に関係なく、毎月の返済額を一定にして「手数料」と一緒に返済していく方法を指します。利用した金額は「利用残高」に組み込まれ、残高が0になるまで支払いが続きます。
リボ払いというと、日本では「支払いが長引く」「利息がどんどん増える」というマイナスのイメージが少なからずありますが、欧米ではごく一般的に利用されている方法です。
リボ払いには上限額があり、無制限にリボ払いができるわけではありません。カードをショッピングで利用できる上限は「ショッピング枠」といいます。
ショッピング枠のうち、「リボ払い+分割払い+ボーナス払い」ができる限度枠を「割賦枠(かっぷわく)」といい、カードごとに「割賦販売法」に基づいて金額が設定されています。
分割払いとの違いとは?
リボ払いと分割払いはどちらも「手数料」がかかる点は共通していますが、支払い方法には大きな違いがあります。
分割払いは、カード決済ごとに「支払い回数」を選択し、代金を分割して支払う方法です。利用金額や支払い回数によって、1回あたりの返済額が変動します。
分割払いのメリットは、支払いの目途が立ちやすいところです。リボ払いは利用金額が増えると、支払い期限がどんどん長引いてしまいます。
リボ払いすると手数料がかかる
リボ払いは支払いのたびに「支払い手数料」が上乗せされます。カードごとに異なりますが、「実質年利15%」に設定されているケースがほとんどです。
・リボ払い手数料=支払い残高×金利×利用日数÷365日
手数料の支払い方法は「元利(がんり)定額方式」と「元金(がんきん)定額方式」に大別されます。
・元利定額:手数料+元金の合計額を定額で支払う
・元金定額:元金が定額で、残高を基に手数料がプラスされる
元利定額は毎月の支払額がきっちり一定になるため、家計管理がしやすいのがメリットです。ただ、支払い残高が多くなると手数料の占める割合が高くなり、元金がなかなか減りません。
元金定額は残高によって手数料が上下しますが、元利定額よりも返済が早く完了し、支払い総額が少なくなる傾向があります。
リボ払いには2種類ある
「残高スライド方式」と「定額方式」があり、カード会社によって導入している方法が異なります。どちらが自分のライフスタイルに合っているかを見極めましょう。
毎月の支払額が変動する 残高スライド方式
「残高スライド方式」は、残高に応じて毎月の支払額が増減する方式です。「スライド」には、「ある数量に従って数量を増減させる・変動させる」という意味があります。
「利用残高が10万円未満→毎月の支払額5000円」「利用残高が10万円以上15万円未満→毎月の支払額1万円」といったように、支払い金額は「利用残高」と「支払いコース」の組合わせによって決まります。以下は支払額の一例です。
・3月の利用残高5万円→支払額5000円
・4月の利用残高8万円→支払額5000円
・5月の利用残高13万円→支払額1万円
毎月の支払額が一定 定額方式
「定額方式」の場合、高額な買い物をした月があっても毎月の支払額に変化はありません。ただし、利用残高が増えるぶん「支払い期間」が延長されるのが特徴です。
毎月の支払額が低ければ支払い期間が長引いてしまうため、利息を含めた支払い総額がどれくらいになるのかを確認しておきましょう。
・3月の利用残高5万円→支払額1万円
・4月の利用残高8万円→支払額1万円
・5月の利用残高13万円→支払額1万円
利用する3つのメリット
クレジットカードを日常的に利用していても、「リボ払いは使ったことがない」という人は多いでしょう。雪だるま式に支払いが増えていくイメージがありますが、カード1回払いにはない利点も多くあります。
手持ちがなくても高額商品が買える
リボ払いのメリットは、手持ちがなくても高額な買い物ができることです。3000円や5000円といった「無理のない支払額」に設定できるため、欲しいものを我慢する必要がありません。
パソコンや家具などの高額な買い物はもちろん、エステや治療代、冠婚葬祭費用などの支払いにもリボ払いが役立ちます。
店舗によっては選択ができないところもあるため、支払い前に確認をしましょう。1回払いやボーナス払いで購入した商品を「後からリボ払いに変更できる」便利なサービスもあります。
家計管理がしやすい
家計のやりくりがラクになるのも、リボ払いのメリットです。月ごとの支払い金額がまちまちだと、「支払い日までにいくら口座に入金すればいいか」を確認しながらやりくりをする必要があります。
リボ払いは利用回数や利用金額の大きさに関係なく、支払いがほぼ一定です。大きな買い物をしても、その金額さえ確保しておけば月々の支払いに困ることはないでしょう。
都合のよいときに繰り上げ返済ができる
毎月返済額のほかに、プラスアルファで返済する方法を「繰上げ返済」といいます。ほとんどのカード会社では、「繰上げ返済したぶんには手数料がかからず、すべて元金の返済に充てられる」のが特徴です。
臨時収入やボーナスが入るたびに繰上げ返済をすれば、そのぶん完済が早まって手数料も安く抑えられるでしょう。
繰上げ返済は「一部返済」と「一括返済」があります。資金に余裕がある場合、利用残高を一括返済すれば本来かかる予定だった手数料が不要になります。
リボ払いの便利な使い方
利用方法は「事前登録」「店舗で指定」「あとから変更」の3パターンが基本です。カード会社によって取り扱っている方法が異なるため、利用前に確認をしましょう。
事前に登録しておく
「事前登録型」は、店舗でカードを利用する前に自身で設定を行う方法です。登録をすると、解除しないかぎりはリボ払いが自動的に選択されます。店頭で1回払いや分割払いは選べません。
登録方法はカード会社によって異なりますが、「カード申し込み時」と「カード会員サイト」で登録ができるケースが多いようです。
カードの新規申し込み時に「リボを設定する」にチェックを入れると、リボ払いに設定されたカードが届きます。解除したい場合は、カード会員専用のWebサイトで手続きを行いましょう。
リボ専用カードもある
自分で登録や解除が行える「事前登録型」に対し、登録の有無にかかわらず、すべての支払いがリボ払いになる「リボ専用カード」も発行されています。
・三井住友カード RevoStyle(三井住友カード)
・ビュー・スイカ リボカード(株式会社ビューカード)
・イオンスマートペイカード(株式会社イオン銀行)
・UPty(オリコカード)
・JCB CARD R(株式会社ジェーシービー)
「リボ専用カード」という名称ではないため、よく確認せずにカードを申し込むと「リボ払いしかできなかった」という状況になりかねません。
買い物のときに指定する
店頭でリボ払いを選択する方法は「店舗選択型」と呼ばれ、指定をしたときの支払いだけがリボ払いになるのが特徴です。「3万円以上の買い物ではリボ払いにする」といったように、自分でルールを決めて計画的にカードを使いたい人に向いています。
支払い時にレジで「リボ払いでお願いします」と伝えましょう。オンラインショッピングの場合は、支払い画面で「リボ払い」を選択します。ただし、店舗やショップによってはリボ払い非対応ところもあるため、あらかじめ確認が必要です。
後から変更する
使いすぎてしまった月や急な出費があったときに便利なのが、後からリボ払いに変更できる「後から変更型」です。「あとからリボ払い(楽天カード)」や「あとdeリボ(MUFGカード)」など、カード会社ごとに名称が異なります。
店頭では「1回払い」を選択しておけばよいため、リボ払い非対応の店舗でもリボ払いが使えます。店頭でリボ払いを申し出るのが恥ずかしい人にも、ぴったりでしょう。
リボ払いへの変更は、会員サイト上で行います。リボ払いに変更できる「締切日」が設定されているため、「今月は金欠になりそう」と思ったら早めに手続きを行いましょう。
利用する際の注意点
リボ払いを利用する前に、どんなリスクがあるのかを理解しておく必要があります。分割払いは回数を指定することで返済の目途が付きますが、リボ払いは返済が長期化するおそれがあります。人によっては金銭感覚が麻痺し、リボのループから抜け出せなくなってしまうかもしれません。
金利手数料がかかる
毎月の支払額が少なくなるのはメリットですが、「リボ払い手数料」がかかるため、支払い総額は元の商品代金よりも高くついてしまいます。実質年利は15%前後と高く、計画性がない人は利用残高が雪だるま式に増えていくでしょう。
利用残高に対してリボ払いの設定金額が少なければ、「毎月の支払額のほとんどは手数料に充てられる」ことになります。
元金がなかなか減らず、支払いは長期化するでしょう。利用残高を定期的にチェックし、計画的にカードを使うことが大切です。
使いすぎるおそれがある
リボ払いは、お金を使いすぎるおそれがあります。残高スライド式の場合は、大きな買い物をすると支払い金額が上がるため「使いすぎてしまったかもしれない…」と自覚ができますが、定額式の場合は大きな買い物をしても、カードを何度使っても「支払い金額が一定」です。
毎月一定額を支払い続けていると、「返済は問題なく進んでいる」と感じ、どんどんお金を使ってしまう可能性があります。
実際は、利用残高が多くなると支払いにおける手数料の割合が高くなり、「返しても返しても元金が減らない」という事態に陥ってしまうのです。
まとめ
リボ払いは手元にお金がないときや、冠婚葬祭などの急な出費が発生したときの強い味方です。支払い方法は残高スライド方式と定額方式があり、どちらにもメリットとデメリットがあります。各カード会社でどちらの方式を採用しているかを事前に確認し、計画的にリボ払いを利用しましょう。
リボ払いの仕組みをきちんと理解していなかったり、利用残高の確認を怠ったりすると、雪だるま式に返済額が増えていきます。お金のやりくりや管理に自信がない人は、1回払いを選択するのが賢明です。