クレジットカードはダウングレードできる?
クレジットカードにはゴールドやプラチナといった「ランク」があり、ランクごとに年会費や付帯サービスが異なります。「ダウングレード」とは、カードのランクを下げる切り替え手続きを指します。
カード会社によってはできないことも
カードのダウングレードができるかどうかは、カード会社の規定によって異なります。ダウングレードに対応しているのは「JCBカード」「三井住友カード」「JALカード」などです。手続き方法は各社で異なりますが、基本的に手元のカードを解約せずに、ダウングレードの手続きが行えます。
一方、「オリコカード」や「セゾンカード」はダウングレードに対応していません。ダウングレードにかかわらず、「カードの種類変更」は不可です。手持ちのカードをいったん解約してから、新規申し込みを行う必要があります。
ダウングレードするメリット
クレジットカードのランクは、上に行けば行くほど審査が難しくなります。カードの「ステイタス性」も高くなり、持っているだけでさまざまなメリットが享受できます。ランクの高いカードを手放す必要性はあるのでしょうか?
年会費を抑えられる
グレードダウンをすると、年会費が抑えられるのがメリットです。カードのランクは、一般<ゴールド<プラチナ<ブラック(プレミアム)の順番に高くなり、年会費もランクに比例します。
ゴールドカードの場合、年会費は「1~3万円」前後です。プラチナカードになると「3万円以上」になるものも多く、年間コストがグッと上がります。
ランクの高いカードはそのぶん特典が充実していますが、特典やサービスをあまり使わない人は元が取れなくなってしまうのです。
基本的な機能とサービスが付帯した「一般カード」は、年会費がリーズナブルです。年会費は「1500円以内」のものがほとんどで、「永年無料」や「条件付き無料」のカードも少なくありません。
貯めたポイントを移行できる
カードを解約すると、これまで貯めていたポイントは失効してしまいますが、ダウングレードではポイントやマイレージが引き継がれます。カードのコストを抑えつつ、上位カードで貯めたポイントをそのまま使えるのはメリットといえるでしょう。
「JCBカード」の場合、以下の内容が引き継がれます。
・Oki Dokiポイント・各種ポイント
・航空会社のマイル・マイレージ番号
・優良顧客向け会員サービス「JCBスターメンバーズ」のランク・集計金額
・リボ払いサービス(スマリボ)の登録内容
・会員専用Webサービス「MyJCB」のIDとパスワード
JCBカードの場合「ETCカード」やカード搭載の「QUICPay」は現在のカードのまま利用できますが、カード会社によってはダウングレードとともに解約になるケースもあります。
手続きが簡単
ダウングレードは、手続きが簡単なのがメリットです。Webサイトや電話で申請を行い、書類を郵送するのが一連の流れです。ダウングレードができないカードは、「解約手続き」をしてから「新規発行手続き」を行います。
ただし、カード会社によっては「ポイント」や「電子マネー」も失効するため、解約前に使い切る必要があるでしょう。新規発行に伴う「入会申し込みフォームの入力」や「支払い口座の設定」をするのにも、時間と手間がかかります。
主な手続きの方法
ダウングレードの手続きは簡単といっても、Webサイト上で完結できるわけではありません。「連絡」→「書類郵送」→「旧カードの破棄」の流れで行うのが一般的です。カード会社によって方法が異なるため、詳細は各カード会社のWebサイトかサポートデスクに問い合わせましょう。
カード会社に電話する
ほとんどのクレジットカードの裏面には「サポートデスク」の連絡先が記載されています。まずは、デスクに電話をかけ、ダウングレードを希望する旨を伝えるのが最初のステップです。
「楽天カード」の場合は、カードの種類や問い合わせ内容によって連絡先が異なります。Webサイトの「お客さまサポート」→「問い合わせ」を確認しましょう。
ダウングレードはWebサイトで手続きが行えないケースがほとんどです。できたとしても、Web上で「ダウングレードの申込書」を請求して記入後に郵送する形になるでしょう。
書類を郵送する
ダウングレードの手続き方法は、主に2種類です。電話でそのまま受付が行われるか、申込書の提出を求められるはカード会社によって異なります。
・電話連絡で申し込みができるパターン
・申込書に記入して郵送するパターン
電話内で受付が行われない場合は、「ダウングレードの申し込み書(切り替え申込書)」が郵送されるため、必要事項を記入した後に返送しましょう。
なお、ダウングレードが可能なのは、「手持ちのカードと同種類のカード」です。シリーズや国際ブランドの異なるカードを希望する場合は、ダウングレードではなく「新規発行」となります。
古いカードは安全に破棄しよう
ダウングレードが完了したら、手元の旧カードを自分で破棄します。ハサミまたはプラスチック専用のシュレッダーを使って裁断し、カード名義・セキュリティコード・カード番号などの個人情報が識別できないようにしましょう。
ICチップや磁気テープの部分にも、個人情報が記憶されています。不正利用を防ぐため、再現できないくらい細かくカットするのがポイントです。廃棄する際は、まとめて捨てずに複数回に分けましょう。
ダウングレードする際の注意点
ダウングレードで気をつけたいのが「申し込みのタイミング」です。場合によっては年会費が重複し、無駄になってしまうことがあります。「家族カード」が解約になるため、家族にもあらかじめ相談しておきましょう。
年会費の返金はない
ダウングレードをしても、基本的に旧カードの年会費は返金されません。年会費を支払った直後に手続きをすると、せっかく支払ったぶんが無駄になってしまいます。
この場合、1年間は上位カードの特典を享受し、「翌年の年会費を支払う1~2カ月前」にダウングレードをすることをおすすめします。
JCBカードは、「有効期限月末まで」にカード切り替え申込書がJCBに到着した場合またはWebサイトで申し込みした場合、翌年の年会費はかかりません。楽天カードは「カードの契約月」に年会費が発生するため、前月のうちに解約を行いましょう。
国際ブランドの変更は不可
「国際ブランド」は、世界中の国や地域で決済ができる「決済機能」をカード会社に提供しています。代表的なのは、Visa・Mastercard・JCB・アメックス・ダイナースクラブで、カードにどのブランドが対応しているかは「券面のロゴマーク」で確認ができます。
ダウングレードでは、国際ブランドの変更ができません。ゴールドカードがVisaの場合、ダウングレードする一般カードもVisaとなります。
多くのカード会社ではダウングレード以外に限らず、「デザインやカード種別変更時の国際ブランドの変更は不可」です。国際ブランドの変更を希望する際はいったん解約をし、新規で申し込みを行いましょう。
家族カードは解約される
「家族カード」とは、本カード会員の家族に対して発行されるクレジットカードです。リーズナブルな年会費で、本カード会員とほぼ同等の特典が享受できるのがメリットです。
カード利用代金は「本会員の口座」から一括して請求されます。本会員のカードをダウングレードすると、家族カードは「解約」されます。
公共料金やスマホ代など家族カードで継続的な支払いを行っている場合は、各契約先で支払い方法の変更を行いましょう。新たな家族カードの申し込みは、「ダウングレード後、本会員カードが手元に届いてから」行います。
なお、本会員カードに付随する「ETCカード」は、カード会社によってそのまま使える場合と解約になる場合の2パターンがあります。手続き前に詳細を確認しましょう。
審査がある
「ランクを下げるのだから、審査は必要ない」と思われがちですが、ダウングレード時にも審査は行われます。ただ、アップグレードは条件がよくなるぶん審査基準は厳しくなりますが、ダウングレードの難易度はそれほど高くはありません。
審査では、これまでのカードの利用履歴やローンの返済状況、個人の属性に変更がないかなどがチェックされます。「支払いを滞納している」「多重申し込みがある」といったことがあれば、ダウングレードであっても審査落ちする可能性はあるでしょう。
カード番号が変わる
ダウングレードやアップグレードをすると、「カード番号」「有効期限」「セキュリティコード」が変わります。カード会社によって違いはありますが、変更されないのは国際ブランドとカード名義人のみと考えましょう。
オンラインショップの支払い画面にクレジットカードを登録している場合は、「カード情報の変更」を忘れずに行います。新聞購読料や公共料金などの「継続的な支払い」にカードを使っている場合も同様です。
なお、カード会社によっては、カードの切り替え後も「カード会員サイト」の「ログイン情報(ID・パスワード)」はそのまま使えます。
新カードが届くまで時間がかかる
申し込み後、手元にカードが届くまでには日数を要します。電話にて申し込みができない場合、申込書の請求・郵送・返送に「1週間以上」かかる場合もあります。
さらに、申込書が受理された後に「審査」が行われるため、手元に届くまでには少なくとも「2週間」はかかるでしょう。
ダウングレードの切り替えが行われると、旧カードは使えなくなります。旧カードで商品を予約注文している場合、店舗側から「決済不可」の連絡がくることも考えられます。
切り替えに伴うトラブルを防ぐため、「他社のクレジットカードで決済する」「支払い方法をカード以外にする」などの対処を早めに行いましょう。
ただし、口座の移行手続きが不要なカードもあります。楽天カードの場合、新カードの引き落とし口座は「旧カードと同じ口座」に引き継がれます。旧カードに未精算分があったときは、新カードに自動的移行されるため安心です。
まとめ
ダウングレードの手続きはアップグレードよりも簡単に行えるものの、「支払い先の変更」や「家族カードの再登録」など、変更に伴う事務作業が多く発生します。申込書の郵送によるタイムラグが生じ、手元にカードが届くまでに時間がかかるのもデメリットでしょう。
ダウングレードの申し込みは、「タイミング」が重要です。旧カードの年会費が無駄にならないよう、申し込み時期を考慮しましょう。