クレジットカードの基本
クレジットカードは「本人以外のカード利用」が禁止です。数十年前には家族のカードを使用して買い物をするケースもありましたが、カード会社の規約はセキュリティ対策に合わせて変化しています。本人以外のカード使用は、現代の日本では規約違反です。
本人が申し込み、名義人のみが使用
クレジットカードを申し込むと、カード会社から身分証明書の提出が求められ、本人確認が行われます。
使用できるのも、契約者でありカード裏面にサインをした「名義人」のみです。家族であっても、カード会社の規約上貸し借りはできません。
電話や保険の料金など例外的に家族のクレジットカードでの支払いを認めているサービスもありますが、「カード名義人が了承し、自分で手続きを行うこと」が条件です。
家族が買いたいものを、名義人が自分のカードで決済するのであれば問題ないでしょう。しかし、家族にカードを渡して決済してもらうと、規約違反になります。
利用時に電話確認が入ることもある
不正利用が疑われる場合、店舗とカード会社が連携し支払いを保留します。カード会社から店舗に電話が入り、カードを使おうとした人に本人確認をするケースもあるのです。
メールで名義人に連絡が行くこともありますが、どちらにしてもトラブルの原因になります。会員ではないことが分かると、不正利用などの犯罪を疑われることになるでしょう。
カードを使おうとしたのが家族であっても、会員が規約違反になってしまいます。トラブルにならないよう、本人以外がカードを使うのはやめましょう。
もし、本人以外が使った場合はどうなるの?
カードを本人以外が使った場合、会員本人に不利益があります。家族や友人にカードを貸すのはNGです。本人が了承していたとしてもトラブルの際に補償されず、強制退会の恐れもあります。
トラブルがあっても自分の責任となる
クレジットカードの不正利用は「会員本人に落ち度がない場合」は補償されます。しかし、不正利用をしたのが家族や友人の場合は基本的に補償の対象外です。
会員の身近な人による不正利用を補償の対象にすると、カード会社をだまして金品の受け取りができてしまいます。会員が不正利用に関わっている可能性もあり、補償が難しくなるからです。
家族や親しい友人であっても、クレジットカードを貸したり暗証番号を教えたりするのはやめましょう。「高額な商品を購入された」など予想外のトラブルが起きたとしても、会員本人の責任となり補償などは原則認められません。
カード会社の判断により強制退会になる
人にカードを貸すことは、重大な規約違反です。会員本人がトラブルに巻き込まれるだけでなく、厳重注意や強制退会もあり得ます。
強制退会とは、「カード会社からの通告によりカードが利用停止になること」です。強制退会になると、「JICC」などの信用情報機関に5年間情報が残ります。カード会社は信用情報機関にアクセスし、強制退会や延滞の履歴をチェックしているのです。
信用情報の傷は「ブラックリスト」とも呼ばれ、新しいカードを発行しにくくなります。トラブルを防ぐためにも、クレジットカードを貸すのはやめておきましょう。
詐欺罪が成立したケースもある
他人のクレジットカードを使った場合、法律上でもさまざまな罪に問われる可能性があります。たとえば、カードの入った財布を盗んだ場合は「窃盗罪」、落ちている財布を自分のものにすると「占有離脱物横領罪」です。
詐欺罪は「本人になりすましてカードを使った場合」に成立します。仮に、本人の了承を得ていると勘違いしていても、訴えがあった場合は詐欺罪が成立する恐れがあるのです。
窃盗や横領が含まれない場合、不正利用の被害者は「カード会社」になります。そして、不正利用された代金は加盟店側が負担するか、補償対象外の場合は会員の負担です。
詐欺に関する被害届は基本的にカード会社が出すことになりますが、状況によっては加盟店や会員本人による被害届が受理されるケースもあります。
自分や家族のカードは正しく使おう
信用を失わないためにも、ルールに従ってカードを使いましょう。カード会社の規約に従い、家族にカードを使ってもらう方法もあります。そのほか、本人がどうしてもカードを使えなくなったときは、どうすればよいのでしょうか?
家族には家族カードを使ってもらう
家族がカードを使えるようにしたい場合は、「家族カード」を作りましょう。本会員の了承を得て家族名義のカードを発行するため、代理での買い物ができるようになります。
本会員の信用によりカードが発行されるため、審査なしで発行できるカードも多いでしょう。家族カードの枚数や有無は、カードの種類によって変わります。必要に応じてカード会社の対応を調べておきましょう。
カード代金はすべて本会員の口座に請求があり、家族全員の支出を管理できます。また、家族全員が本会員と同じステータスのカードを持てるところも魅力です。
ただし利用限度額は増えないため、注意しましょう。本会員の限度額が50万円の場合、家族全員で50万円の枠を共有して使います。誰かが50万円を使い切ってしまった場合、ほかの会員は限度額が復活するまでカードが使えない仕組みです。
本人が買い物できない場合は?
認知症や病気により、本人が買い物をできない状態になった場合は、本人以外が代理人としてカードを使えるのでしょうか?
クレジットカードは、本人に「責任能力」があることを前提に発行されています。認知症による判断力の低下や、寝たきりで意思疎通が難しい場合はカードの更新は難しくなるでしょう。
特に、認知症や精神障害者の財産を守る「成年後見人」や、障害者の補助をする「保佐人」などがいる場合は、カード会社に届出が必要です。カード会社の判断により、カード更新や契約が止まる可能性があります。
後見人以外で、家族が解約したい場合はカード会社に相談が可能です。本人がカードを利用できる状況にない場合は、電話で問い合わせをしてみましょう。
まとめ
クレジットカードは、名義人本人以外の利用はできません。家族がカードを使いたいときは「家族カード」を発行し、本人名義のカードは貸し出さないようにしましょう。
カード会社から警告を受けるだけでなく、トラブルや強制退去の恐れもあります。クレジットカードはきちんと管理しましょう。