分割払いやリボ払い等の繰り上げ返済
クレジットカードには、1回払い以外の支払い方法で利用できる「割賦(かっぷ)枠」が付与されています。割賦枠を使用し、最初に回数や時期を指定して支払う場合も、繰り上げ返済が可能です。
手数料の節約がメリット
繰り上げ返済は、余計な手数料をかけたくないときに最適です。
リボ払いの例では、本来10カ月かけて支払う予定だったものを5カ月目に完済すると、6カ月目以降の手数料はかかりません。リボ払いの手数料は「利用した金額」と「完済までの期間」で決まるためです。
リボ払いの手数料の計算式は下記の通りです。
・利用残高×実質年率÷365日×30日=1カ月分の手数料(30日の月)
早く返済するほど、残りの期間でかかるはずだった利息を支払う必要がなくなります。
分割払いは、リボ払いとは計算方法や手数料のルールが異なりますが、繰り上げ返済の時点で手数料を計算し直すのは同じです。
リボ払いの支払い長期化を防止
リボ払いは「毎月決まった金額を返済していく支払い方法」です。カード会社が定める上限を超えない限り、毎月の支払金額は変わりません。
使った金額が多いほど、手数料も多額になります。例えば実質年率15%では、残高50万円のとき1カ月にかかる手数料は6200円程度です。
月々の支払金額を少なく設定していると、手数料を支払う期間も長期化するでしょう。固定の回数で支払いが完了する分割払いとは、仕組みが異なります。
繰り上げ返済を活用して、手数料がかかる期間を短縮するのが効果的です。
繰り上げ返済のタイミング
繰り上げ返済は「資金面に余裕があるとき」に検討しましょう。手数料がお得になるからと無理に返済すると、貯金や生活資金が尽きてしまいます。
ある程度の余裕資金は必要です。何か必要なものができたときに結局リボ払いを利用するのであれば、繰り上げ返済をしても再び手数料がかかってしまいます。
ボーナスが入ったときや、何らかの臨時収入があったときがちょうどよいタイミングです。余裕資金を趣味やレジャーに使ってしまう前に繰り上げ返済することで、節約にもつながるでしょう。
どうやって繰り上げ返済をするの?
実際に繰り上げ返済を考えたとき、どうやって手続きをするのでしょうか?カード会社への連絡の必要性や、手続きの方法を解説します。
ATM入金や銀行振込をする
リボ払いの繰り上げ返済は、一般的に「ATM入金」が可能です。クレジットカードと暗証番号を準備し、コンビニや銀行の提携ATMで手続きしましょう。暗証番号は「クレジットカード申し込み時に設定した4桁の数字」です。
JCBカードの場合、支払いができるのは元金に限られます。手数料は後日自動振替です。毎月21日以降は次回分の支払い予定金額が繰り上げ返済できなくなるため、注意しておきましょう。
銀行振込による繰り上げ返済は、リボ払い・分割払いなど多くの支払い方法に対応しています。事前にカード会社に連絡し、振込金額を確認しましょう。分割払いの場合、カード会社によっては全額返済のみ受け付けてもらえるケースもあります。
引き落とし金額の増額をする
リボ払いは、引き落とし金額の増額が簡単にできます。一時的に増額したいときや、全額返済を考えているときは、会員サイトまたは電話で手続きをしましょう。
サイトでの手続き方法は、カード会社によって異なります。三井住友カードは「Vpass」から「臨時増額の申し込み」を行いましょう。楽天カードの場合は、「楽天e-NAVI」で「リボ残高のおまとめ払い」を選択すると、手続きができます。
引き落とし先に設定している金融機関やカード会社の支払日によって、毎月の締め切りも変化します。次回の支払いに間に合わせたい場合は、早めに手続きを行いましょう。
ショッピング1回払いの繰り上げ返済もできる
クレジットカードを利用する場合、1回で支払うことも多いはずです。繰り上げ返済は、ショッピング1回払いにも対応しています。1回払いを繰り上げ返済するメリットや、手続きの方法を知っておきましょう。
利用可能額の回復がメリット
通常、1回払いで支払った利用金額は、何もしなくても翌月~翌々月に引き落とされます。しかし、引き落とし日の前に「利用限度額」の上限を超えてしまうとカードが使えなくなるのです。
引き落としの前にカードを使いたいなら、繰り上げ返済で対応できます。すでに引き落とし日が迫っているなど一時的に対応できないケースもありますが、限度額の心配をしたくないときは活用しましょう。
利用可能額が回復する時期はカード会社によって異なりますが、JCBカードの場合、ATMからの支払いは即時、口座への振込では入金から2営業日後です。
ポイントを確実に貯めたいときに
海外旅行や高額な家電を購入するとき、クレジットカードで支払うとポイントが一気に貯まります。そんなとき、すでに利用限度額に近づいてしまっていると、効率よくクレジットカードが使えません。
繰り上げ返済をすると、その分だけ利用可能額が回復し、ポイントも貯めやすくなります。大きな買い物だけでなく、「店舗のポイントアップキャンペーンのときにまとめ買い物をしたい」といった場合にも使えるでしょう。
ただし、振込による繰り上げ返済の場合、一般的に「振込手数料」を負担しなければなりません。振込手数料が無料の金融機関を使うなど、工夫しましょう。
カード会社に連絡をして振り込む
1回払いの利用額を早期返済したいときは、カード会社への連絡が必要です。電話で連絡すると、振込先口座を指定されます。指定の振込先に必要な金額を振り込むと、返済は完了です。
すでに口座振替が確定している場合は手続きができない場合もあるため、締め日や支払日が迫っているときは早めに連絡しましょう。
カード会社によって、「全額返済」のみに対応しているケースもあります。「一部返済」を考えている場合は、カード会社のルールを確認しておきましょう。
一時増額の利用も検討しよう
クレジットカードの利用限度額は、一時的に増額できます。旅行や急な出費で利用可能額が足りないときに利用できるサービスです。今の利用限度額で購入できない金額のものも、一時増額をすれば対応できるでしょう。
繰り上げ返済なしで利用限度額を増やす方法
繰り上げ返済なしで利用限度額を増やす主な方法は、「継続的な増枠申請」か「一時的な増額申請」です。継続的な増枠は審査が厳しくなる可能性が高いですが、一時的な増額は比較的手軽に相談できます。
三井住友カードの場合、満20歳以上の会員は基本的にWebからの手続きが可能です。利用予定の1カ月~1週間前まで、1万円単位で設定できます。引き上げ希望期間も設定でき、3カ月まで引き上げが可能です。
一時増額にも審査があり、希望の金額や支払い状況によっては審査通過が難しい場合もあるでしょう。三井住友カードでは現状の利用額の2倍程度、かつ300万円以下が目安となっています。
会員サイトや電話で申し込む
クレジットカードの一時引き上げは、カード会社によって申し込み方法が異なります。多くの場合、会員サイトや電話での申し込みが可能です。
楽天カードの場合、楽天e-NAVIで「ご利用可能枠の一時的な増枠」から申し込みができます。増枠は審査完了から2カ月有効です。
JCBカードは、「MyJCB」で500万円までの一時増枠を受け付けています。毎月1~15日の申し込みは2カ月後の15日頃まで、16~末日の申し込みは3カ月後の15日頃まで有効です。
一般的にどのカード会社でも、会員サイトから申し込みができないときは電話での手続きも受け付けています。
まとめ
繰り上げ返済をうまく活用すると、クレジットカードの使い勝手がよくなります。特にリボ払いを利用していて、手数料に悩んでいる場合は余裕のあるときに繰り上げ返済を検討しましょう。
1回払いしか利用していない人も、繰り上げ返済は可能です。早く利用可能額を回復したい際には申し込んでみましょう。