クレジットカードの解約でかかる手間
クレジットカードの解約をすると、解約手続き以外の手間も発生します。支払い設定や追加カードの有無を確認し、別途手続きを済ませましょう。追加カードを使い続けたい場合は、本カードも契約を継続する必要があります。
各種支払いの再設定をしなければならない
クレジットカードを支払いに利用している場合、再設定が必要です。公共料金・電話料金・インターネット料金など、自動引き落としの設定を確認しましょう。
別のクレジットカードを持っていない場合、カード払い以外の支払い方法に変更が必要です。解約後も継続請求を受け付けるかどうかは、カード会社によって判断が異なります。
状況によっては引き落としがされず、延滞扱いとなる可能性も考えておきましょう。できるだけ、解約前の手続きがおすすめです。
また、クレジットカード以外の支払い方法に変更すると、一時的に請求が増える可能性もあります。カード払いは1〜2カ月前の料金を支払っており、リアルタイムの支払いに変更すると請求の時期が重なる場合があるためです。
そのほか、オンラインショップなどクレジットカードを登録できるサイトでは、解約時に情報を削除しておく方がよいでしょう。間違って利用すると、場合によってはエラーが発生します。
ETCカードが使えなくなる
ETCカードは、基本的にクレジットカードに付帯した追加カードです。クレジットカードを解約すると、それとともに使えなくなります。
今後クレジットカードを持たない場合は、単体で発行できるETCカードを検討しましょう。または、一部のデビットカードにもETCカードが付帯しています。
単体発行できる「ETCパーソナルカード」は、デポジット型のカードです。最少2万円の預り金に加えて、年会費が1257円(税込)かかります。月の利用が一定金額に達すると、保証金額が上がるケースもあります。
無料でETCカードを維持したい場合は、別のクレジットカードやデビットカードでの発行を検討しましょう。
家族カードも解約になる
家族カードは、本会員のカードに付帯した追加カードです。本会員が解約すると、すべて解約扱いとなります。家族がカードを利用したい場合は、解約前に個別のカードを発行するなど、事前の対策が必要です。
家族がクレジットカードを発行できない場合は、デビットカードやプリペイドカードが代替になります。解約前に相談しておきましょう。
なお、家族カードだけの解約は可能です。基本的には本会員が手続きを行う必要があるため、カード会社に問い合わせましょう。
クレジットカード解約で損することはある?
クレジットカードには、ポイントサービスや年会費があります。カード本体に付帯しているポイントは利用できなくなるため、注意しましょう。
アカウントに付帯しているケースでは、解約後も利用できます。しかし、ポイントが貯めにくくなるデメリットはあるでしょう。
残っているポイントが使えなくなる
クレジットカードとポイントサービスが一体化している場合、解約と同時にポイントが失効します。カード会社によっては、商品交換中の解約も失効扱いとなるため注意しましょう。なるべくポイントを使い切ってから解約するのがおすすめです。
しかしカードによっては、商品や割引の利用が一定のポイント数以上となっているケースもあります。
例えばアメックスカードの場合、ポイントの利用は1000ポイント以上です。端数が余っている場合、解約前に規定数まで貯めるか諦めるかのどちらかになるでしょう。
クレジットカードのポイントには、有効期限が設定されているケースもあります。どちらにしても期限までに貯まらないと判断できるなら、すぐに解約しても損にはなりません。
引き続きポイントが使えるカードもある
ポイントがカードではなくアカウントに紐付いている場合、カード解約後もポイントが使えます。楽天カード・Yahoo!カード・dカードなどが代表的です。
セゾンカードの場合は複数のカードのポイントを合算できることもあり、1枚でもカードが残っていると引き続きポイントの利用が可能です。
しかし、カードを解約するとポイントを貯める機会は減ります。各カード会社は、クレジットカード会員限定のボーナスポイント還元や、キャンペーンを開催しているためです。
楽天カードでは楽天市場のボーナス、Yahoo!カードではYahoo!ショッピングのボーナスが該当します。ポイントを積極的に貯めたい場合には、クレジットカードを持つ方が有利でしょう。
年会費を支払った直後の解約はもったいない
年会費有料のクレジットカードは、1年に1回カード会社の指定したタイミングで会費が引き落とされます。年会費には、日割りシステムや返金がありません。支払った後の解約は、会費を無駄にしてしまいます。
年会費の請求タイミングは「カード加入日」や「有効期限」によって変わるのが一般的です。入会しているカードのルールを確認しておきましょう。解約の検討時期に、年会費がかかるタイミングを問い合わせると確実です。
特に特典が豪華なハイクラスカードは、特典を使い切ってからの解約がおすすめです。レストランの割引やラウンジ利用など、お得な特典がそろっています。
すぐに解約する必要がないときは、特典の状況も確認しておきましょう。
分割払い、リボ払いの残高がある場合
クレジットカードでは、分割で利用代金の支払いができます。分割払い・リボ払いの残高があると、解約はできるのでしょうか?カード会社によって判断が異なるため、まずはルールを確認しましょう。
解約後も引き続き請求が続く
多くのカードは、解約後も分割払い・リボ払いの支払いが継続します。解約時点で支払いが残っている場合、解約後も引き続き分割で請求が行われる仕組みです。
三井住友カードの場合、支払い方法に変更はなく引き続き請求があると明示されています。dカードの場合も同様ですが、リボ払いを一括精算したいなど、希望によってはコールセンターに相談しましょう。
楽天カードでも、分割払い・リボ払いは解約後も引き続き同様に請求されます。ただし、解約後には楽天e-NAVIでの手続きができなくなるため、金額や支払い方法を変更したいときはコールセンターへの問い合わせが必要です。
その他、JCBカード・セゾンカード・イオンカードなど多くのカードが解約後の分割支払いに対応しています。
解約時に一括請求となるカードもある
カードによっては、解約時に利用残高を一括請求されることもあります。解約手続きの際に確認しておきましょう。カード会社のルールによっては、解約してから突然高額な請求が届く可能性もあります。
エポスカードの場合、利用残高がある間は解約ができません。支払いがすべて完了してから解約手続きを行うか、支払いを早めるなどの手続きが必要です。
なお、引き落とし日後の数日間は、支払いができているか確認が取れないため解約手続きができなくなっています。解約手続きは引き落とし結果の通知後に行いましょう。
アメックスカードの場合は、解約時の一括請求です。リボ払い、分割払いだけでなくボーナス一括払いの支払いも解約時に請求されます。
資金がない場合は解約を待とう
カードを解約したい理由によっては、解約時期を再度検討するのがおすすめです。リボ払い・分割払いが一括請求になるカードの場合、手元に資金がないと延滞やトラブルの元になります。
複数枚あるカードを整理したいときは、利用していないカードから解約を考えるようにしましょう。利用残高がないカードなら、一括請求の心配はありません。
また、クレジットカードを1枚しか持っていない場合、解約後には支払う手段が減ってしまいます。年会費が気になって解約を考えているケースでは、年会費無料のカードを発行するなど、解約前の準備も必要です。
入会してすぐに解約するデメリット
クレジットカードの発行目的によっては、すぐに解約したいと考える人もいるでしょう。しかし、即時解約にはデメリットもあります。入会特典がもらえないケースや、次回以降カードが発行しにくくなる可能性も考慮しておきましょう。
入会特典を使いこなせない
多くのクレジットカードには、「入会特典」が付帯しています。カード発行が条件のものもありますが、カード利用や支払い方法の設定など、特定の条件を満たした場合に限りもらえるポイントも多いのです。
入会後すぐに解約すると、ポイント付与や利用ができない場合があります。入会したのであれば、もらえるものは活用しましょう。
入会特典を活用したいときは、特典が付与されるまで待つことになります。カード解約にともなってポイントが失効するタイプの場合、商品や他社ポイントに交換が完了するまで待ってからの解約が基本です。
しかし、入会特典をもらった後すぐに解約することには問題もあります。ルール違反ではありませんが、何度も繰り返していると「入会特典目当て」と判断される可能性があるためです。原則として、カードを使う前提で入会するようにしましょう。
新たなカードが作りにくくなる可能性あり
クレジットカードを発行する際には、カード会社が審査のために「信用情報」を参照します。短期間での解約は、新規発行に影響を与える可能性があるでしょう。
信用情報に記載されている主な情報は、「申込情報」「クレジット情報」「利用記録」です。信用情報機関「CIC」では、申込情報・利用記録は6カ月、クレジット情報は契約終了後5年間残ります。
申込情報にはカード申し込み日、クレジット情報には利用状況や解約日が記載される仕組みです。多数のカードを申し込んですぐに解約すると、信用情報を見るだけで分かってしまいます。
審査通過に影響があるかは各カード会社の基準にもよりますが、すべてのカードをすぐに解約していると印象はよくないでしょう。
クレジットカードを全部解約するデメリット
何らかの事情でクレジットカードをすべて解約すると、カード支払い限定のサービスを利用したい場合や海外旅行の際に不便です。今後カードを作るつもりがある場合は、クレヒスが途切れることもデメリットになるでしょう。
海外旅行のときに不便
クレジットカードは、まとまったお金が必要になる海外旅行でも役立ちます。限度額まで利用でき、支払いは1~2カ月後または分割も可能です。
カードの付帯サービスも役立ちます。例えば「海外旅行傷害保険」が付帯するカードを持っているだけで、有料の旅行保険を契約するコストを削減できるでしょう。年会費無料のカードでも保険が付帯していることが多く、メリットは大きいはずです。
キャッシング枠が付帯しているカードでは、海外でのキャッシングもできます。現地でお金が足りなくなったときも、ATMから現地通貨を現金で引き出せるサービスです。
空港ラウンジの利用や海外でのサポートサービスなど、カードを解約するとすべて利用できなくなってしまいます。
クレヒスが作れない
クレジットカードの利用履歴は「クレジットヒストリー(クレヒス)」と呼ばれ、審査の際に活用されています。カードを発行したことがない未成年や若年層を除き、大半の人はクレヒスを持っているのが一般的です。
すべてのカードを解約して5年以上経つと、信用情報に記載されているクレジット情報が消えてしまいます。完全にクレヒスがなくなると、新しくカードを発行したくなったときに不利です。
信用情報が空白になった状態を「ホワイト」と呼びます。金融トラブルを起こしてクレジットカードを発行できなくなった人も信用情報がホワイトになるため、審査の際に勘違いされるケースもあるのです。
クレジットカードを利用する可能性がある場合、1枚は残しておく方がよいでしょう。
まとめ
クレジットカードの解約は、手続きの手間以外にもデメリットがあります。自動引き落としの支払い方法や、ポイントの失効条件は解約前に確認しておきましょう。
カードを使わずにすぐ解約する場合、今後審査に通りにくくなる可能性もあります。入会特典が付与されているかも、事前にチェックしておきましょう。
今後該当のカードを使うことがないかどうか、よく考えた上で解約手続きを進めるのが大切です。