ANAやJALのマイルが足りないとき
特典交換に必要なマイルがわずかに足りないとき、「マイルの購入(バイマイル)」や「現金との併用」で不足分を補うことはできるのでしょうか?ANAとJAL、それぞれのルールを確認しましょう。
現金の併用やバイマイルはできない
欧米の航空会社では、現金でマイルを購入する「バイマイル(Buy Mile)」が一般的です。一方で日系航空会社ではマイルの購入は認められておらず、「現金との併用」も不可です。
特典交換をする場合、JALやANAでは「交換に必要なマイル数が口座にあること」が必須条件となっています。マイル数が不足していれば、交換自体ができない決まりです。
JALには「e JALポイント」、ANAには「ANA SKY コイン」という航空券やツアー代金の支払いに使える「電子クーポン」があります。
これらは、クレジットカードとの併用は可能(一部例外を除く)ですが、現金やマイルとは併用ができません。
少ないマイルで飛行機に乗ることは可能
「まとまったマイルがないと特典航空券には交換できない…」と思われがちですが、JAL・ANAともに通常よりも少ないマイルで航空券を手に入れることは可能です。
JALには、通常の半分以下の往復6000マイルで旅ができる「どこかにマイル」サービスがあります。行先は自由に決められないものの、東京-大阪の片道特典航空券と同じマイル数(6000マイル)で往復チケットが手に入るのはとてもお得です。
ANAには、片道3000マイル~予約できる「今週のトク旅マイル」があります。毎週火曜日に公式サイトで対象路線が告知され、翌日から予約が開始した後わずか1週間で予約発券が終了するスピーディーさが醍醐味です。
前もってスケジュールが立てられないのはデメリットですが、「どこでもいいから1人でふらっと旅に出たい」という人には利用価値が高いでしょう。
同行者は現金支払いOKの国内旅行サービス
マイルと現金は併用できないのが原則ですが、一部例外のサービスもあります。複数人での旅がお得にできるANAの「いっしょにマイル割」とJALの「おともdeマイル割引」は、同行者のみ現金払いが可能です。
いっしょにマイル割
いっしょにマイル割は、ANAマイレージクラブ会員(AMC会員)を含む、2~4人のグループに適用される割引運賃です。
AMC会員はどの路線でも「往復1万マイル」で予約でき、同行者は1名あたり2万1400~3万6600円の「割引価格」で航空券を購入できます。
全員が同一便・同一路線を予約することが条件で、予約当日に本会員がまとめて支払いを済ませる形です。マイルで支払った本会員は積算対象外ですが、同行者の運賃は利用運賃の75%が積算されます。
搭乗2日前~当日は、空席がある場合に限り「プレミアムクラス」へのアップグレードが可能です(AMC会員限定)。
アップグレード料金は、本会員・同行者にかかわらず「クレジットカード」または「アップグレードポイント(一部会員限定)」で支払います。
クレジットカード支払いの場合は本会員も有償ですが、アップグレード分のプラス50%の積算は同行者のみの適用です。
いっしょにマイル割 ~ANAマイレージクラブ会員専用運賃~ | ご予約/旅の計画| ANA
おともdeマイル割引
おともdeマイル割引は、JALマイレージバンク会員(JMB会員)を含む、2~4名でのグループに使える割引運賃です。
JMB会員は「往復1万マイル」、その同行者は1人あたり1万5200~3万6600円の「割引価格」で航空券が購入できます。
航空券は予約日当日中に購入するのがルールで、いったん発券した後の予約変更はできません。マイル払いをするJMB会員が会員サイトにログインし、全員分をおともdeマイル割引で申し込みます。
搭乗当日は、同一便のファーストクラスやJAL独自の上位シート「クラスJ」に空席がある場合に限り、アップグレードが可能です。支払いは「クレジットカードのみ」で、マイル払いはできません。
なお、航空券の支払い・アップグレード時の支払いともに、本会員はマイルの積算対象外です。一方で、同行者の支払いどちらも積算対象となります。
現金併用やバイマイルが可能な航空会社
欧米の航空会社では、マイルと現金の併用やバイマイルは当たり前に行われています。フライトや購入で獲得したマイルは、自社のフライトはもちろん同じ「アライアンス(航空連合)」の提携航空会社の特典航空券にも交換可能です。
アライアンスは「スターアライアンス」「ワンワールド」「スカイチーム」の三つで、同じ所属の航空会社同士はマイレージを共有できます。
デルタ航空
デルタ航空は、50カ国、1000以上の都市に路線を持つアメリカの航空会社です。アライアンスは、「スカイチーム」に加盟しています。
デルタのマイレージプログラム「スカイマイル」では、「1マイル=0.035米ドル」でマイルが購入可能です。1回で購入できるマイルは2000~6万マイルで、スカイマイルプログラムの全特典に利用できます。
また、特典航空券の予約画面でも、マイルの不足分が現金で補える点が便利です。「価格を表示する通貨」を「マイル」→「マイル+キャッシュ」に変更するだけで併用できます。
キャッシュとの併用で購入した航空券には、「特典航空券に規定されるすべての制限事項」が適用される点に注意しましょう。
「デルタ スカイマイル アメリカン・エキスプレス・カード」の保有者は、カード払いの一部にマイルが利用できる「ペイ with マイル」サービスが使えます。
ブリティッシュ・エアウェイズ
ブリティッシュ・エアウェイズは、ロンドンのヒースロー空港を拠点とするイギリスのフラッグキャリアです。JALやアメリカン航空と同じアライアンスである「ワンワールド」に加盟しています。
マイレージプログラムは「Executive Club(エグゼクティブクラブ)」で、フライトのたびに「Avios(アビオス)」が積算される仕組みです。
「ブリティッシュ・エアウェイズ便」「アメリカン航空便」「イベリア航空」「提携航空会社のコードシェア便」においては、有償航空券の支払いの一部にAviosが使えます。特典航空券に必要なAviosが足りないときは、不足分を「現金」で補いましょう。
また、Webサイト上では「Aviosの購入」も可能です。1回の購入単位は1000Aviosで、上限は年間20万Aviosとなっています。
ブリティッシュ・エアウェイズ(British Airways) | フライト、ホリデー、シティブレイクの予約とオンライン
アメリカン航空
アメリカン航空のマイレージプログラムは、「AAdvantageプログラム」と呼ばれます。会員はマイルの購入はもちろん、他人への譲渡やプレゼントが可能です。
会員専用のWebサイトにログインすると、価格と現在のプロモーションが表示されます。案内に従い、購入手続きを完了させましょう。
支払いは米ドルで、ギフトによって獲得したマイルと合わせて年間15万マイルまで購入できます。支払い後は基本即時アカウントへ反映される仕組みですが、最大8時間処理にかかる可能性もあります。
アメリカン航空のマイルは、「アメリカン航空」「アメリカン・イーグル」「ワンワールドの提携航空会社」の特典航空券と交換可能です。
ユナイテッド航空
ユナイテッド航空のマイレージプログラムは「マイレージプラス」です。バイマイルやマイルの移行プログラムなどを導入しており、特典交換の自由度が高いのが魅力でしょう。ANAと同じ「スターアライアンス」の所属です。
マイルの購入は「1000マイル=35米ドル」で、2000マイル~購入できます。年間17万5000マイルが上限です。
また、5000マイル以上の特典旅行の場合に限り、特典旅行で必要なマイル(award miles)の最大50%が現金でまかなえます。詳細は予約時に、オンライン上の案内か電話で確認しましょう。
なお、2021年からは月ごとにマイルを購入できる定額サービス「Miles by the Month」も始まりました。3コースあり、それぞれに割引とボーナスマイルが付くお得なプランです。
通常の購入では1マイル4円前後ですが、定期コースであればコースによって「2.5~3円強」ほどまでマイル単価を下げられるでしょう。
まとめ
欧米の航空会社では、「バイマイル」や「現金とマイルの併用」が可能なケースが主流です。一部ではマイルの譲渡や第三者へのプレゼントも認められており、日系航空会社に比べると自由度の高さが際立ちます。
反対に、JALやANAなど日系航空便では、マイルの購入や合算、現金との併用について厳しいルールが設けられているのが特徴です。
一方で、制限が苦にならないサービスも充実しています。通常よりも少ないマイルで交換できるプランなら、マイルのみでも十分、特典航空券に手が届くでしょう。