クレジットカードのレシートの役割
クレジットカードを使うと、「レシート」が発行されます。レシートは「領収書」の代わりのようなものですが、クレジット決済では複数枚似たようなレシートがもらえることがあります。なぜ複数枚あり、それぞれどんな役割があるのでしょうか?
なぜレシートは3枚あるのか
クレジットカードを利用したとき、決済端末からは基本的に「3枚」の伝票が出てきます。それぞれ「利用者控え(利用伝票)」「店舗控え」「カード会社控え(売上票)」です。カード会社控えは、「サイン伝票」や加盟店が売り上げを証明する「売上票」という名前でも呼ばれます。
コンビニやスーパーなどの少額決済店舗の加盟が増え、「サインレス決済」を導入している加盟店も少なくありません。暗証番号の入力をもってサインの代替になり、利用者がカード会社控えを目にする機会も減っているでしょう。
利用者側が受け取るのは、主にカード決済端末から出てきた「利用者控え」と、店舗のレジまたは決済端末から発行される「レシート」です。
カード会社控えは店舗がカード会社に送付するのが一般的で、店舗の控えは証明として加盟店が保管します。加盟店や決済端末によって、「レシートの省略」や「利用伝票との一体化」など形態はさまざまです。必ずしも、顧客が受け取るレシートの数は決まっていません。
利用明細書と照合できる
利用伝票にはカードの利用日や購入金額が書かれており、カード会社の「Web明細」や「利用明細書」と突き合わせて照合できます。
利用控えが別に出る店舗からもらったレシートには、「クレジットカード」など支払方法の記載はあるもののカード番号までは載っていないことがあります。
利用控えがあれば、今月どのクレジットカードでいくら使ったのか把握できるでしょう。購入した品名までチェックしたいときは、店舗レシートが役立ちます。毎月家計管理をしている人は2枚合わせて残しておくと、自分が何にお金を使っているのかすぐに分かるはずです。
ただし、利用伝票は分割払い・ボーナス払いなど特殊な支払いの際は発行の義務がありますが、1回払いでは必ずもらえるわけではありません。
レシートも法律で発行が義務付けられてはいませんが、希望者には「領収書」を渡す義務があります。ただし、領収書の発行義務は「お金を支払った場合」で、後払い式のクレジットカード決済には当てはまりません。
もらえないときは、「領収書として使えるもの」を希望しましょう。店舗発行の「利用明細書」でも利用店舗や発行者、購入金額などが記載されており、クレジットカードで支払ったことが証明されれば会計処理などの際も利用できます。
ネット通販は注文確認メールでチェック
ネット通販では、レシートや利用伝票が原則発行されません。別途領収書などを求めない限り、「注文確認メール」や通販サイトの「注文履歴」で金額や利用日を確認します。
注文確認メールにファイルへのリンクが添付されており、「PDF」として残せるタイプも多いでしょう。利用明細が確定する1〜2カ月の間はメールをさかのぼって確認できるかもしれませんが、別途クレジットカード利用データとして保存しておくと確認もスムーズです。
長期間保管が必要な場合は、印刷すると万が一データが消えたときでも対応できます。「簡易の書類で体裁が整っていない」と判断される場合は、店舗側に必要な項目が記載された領収書の発行を相談しましょう。
レシートの保管期間はどのくらい?
店舗からもらえるレシートは現金払いと同じ感覚で破棄できますが、クレジットの利用伝票は保管する方がよいのでしょうか?保管する理由や、捨てるときの注意点も解説します。
明細と照合するまで保管しよう
店舗でもらった「レシート」とクレジットカードの「利用者控え」のうち、利用者控えは明細と照合するまでは残しておきましょう。
原則、クレジットカードの不正利用があったときの補償は、さかのぼれる期限が「60日」に設定されています。確認は60日以内に済ませるのが基本です。
1枚ずつ利用明細と照らし合わせるだけでなく、利用明細に不審な取り引きがあったときだけ利用者控えを確認する方法もあります。負担のない方法で、不正利用時の対策をしていきましょう。
仮に、時間がなく細かい照合ができないときでも、「商品の返品・交換の際にレシートと合わせて利用者控えが求められるケース」があります。できるだけ、一定期間は残しておくようにしましょう。
確認できたら捨ててOK
経費計上などで必要な場合を除き、利用明細との照合ができた後はレシートを捨てても問題はありません。ただ、利用伝票は個人情報が記載されている伝票でもあり、廃棄にも注意が必要です。情報が判別できないよう、小さく破って捨てましょう。
確定申告にクレジットカードの利用伝票やレシートが使えるかどうかは、記載内容によって変化します。法律で定められている領収書は、「書類の名称」「日付」「金額」「商品・サービスなどの用途」「発行元」が記載された紙のことです。
カード会社が発行する利用明細・レシート・利用伝票を合わせて残しておくと、「領収書の代わり」になります。ネット通販などで領収書がもらえないときは、必要事項が記載された確認メールや納品書を残しておきましょう。
不要レシート入れに捨てるのはNG
利用者控えには、「カード番号」や「国際ブランド名」「有効期限」などが記載されています。何も見ずに不要レシート入れに捨てるのは、やめておきましょう。
近年では、カード番号に関しては「番号すべて」または「下4桁以外の情報」は隠されていますが、古いタイプの決済端末では「名義」「カード番号」などがすべて記載されています。
過去には拾った利用伝票の悪用も報告されており、注意が必要です。なお、カード番号下4桁・有効期限・カードの種類が分かると、残りの番号のほとんどは導き出せます。カード番号は一定のルールに従って発行されるもので、当てはまる数字が推測できるのです。
海外にはカード番号と有効期限だけで利用できるサイトもあり、不正利用の可能性はゼロではありません。利用伝票は、悪用されにくい場所で破棄を考えましょう。
セキュリティを高める方法としては、盗み見されないよう券面にカード番号の記載がない「ナンバーレスカード」や暗証番号入力がいらない「タッチ決済」の活用もあります。ネット通販では、本人確認サービス「3Dセキュア」の設定も有効です。
レシートの文字を消さない管理方法
レシートや利用伝票は、「感熱紙」に印刷されています。感熱紙は熱と薬剤が反応して黒くなる紙で、熱や油に弱い性質を持っています。
経年劣化でも印刷がかすれ、保管しているうちに文字が消えてしまうこともあるでしょう。直射日光や高温にさらされないよう印字部分を内側に折りたたみ、封筒などに入れておくと多少劣化を防げます。
確定申告などで資料として残す場合は「5~7年」の保管が必要となり、印字が消えてしまうと問題です。レシートの再発行義務はなく、店舗が応じてくれるとは限りません。
長期で管理するものは領収書をもらう方がよいですが、レシートの場合は余白への購入内容の書き込みや帳簿とセットで保管すると完全に資料を失う事態を避けられます。
レシートと利用明細書を照合する際の注意点
「利用伝票」と「クレジットカードの利用明細」が同じものと考えていると、照合の際に問題が出てきます。何度か照合を繰り返すと普段使っている店舗がどのようにカード会社に請求をしているか、特徴も分かってくるはずです。照合の際のレシートの見方を知っておきましょう。
利用店舗と実際の店舗名が違う
利用伝票やレシートに表示される店名と、クレジットカードの利用明細に表示される名称が同じであるとは限りません。利用明細に記載されるのは、「カード会社と契約している会社」の名前です。
店舗を運営する会社名や、カード会社とのやり取りを行う「決済代行会社」の名前が表示されることもあります。見慣れない会社名が表示されたときは利用伝票と金額を照合し、気になる場合は会社名で調べてみるのもよいでしょう。
そのほか、実際の利用日と請求がずれる可能性もありますが、最終的にトータルの金額が同じであれば問題はありません。
海外利用と表記される場合も
海外に行った覚えがないのに「海外利用」の表記がある場合、「サービスの拠点や親会社が海外にある」ケースが考えられます。
「三井住友カード」の場合、現地通貨や換算レートが記載され、表記だけを見ると海外での利用と同じ記載内容です。
ただ、店名の欄に問い合わせ先の電話番号が表示されることもあり、気になる場合は確認できます。表示がない場合でも、三井住友カードの「セキュリティー管理部」に問い合わせが可能です。
日本国内の利用で海外利用の表記になる主なケースとして、「ネットショッピング」や「アプリ課金」などが考えられます。拠点が海外にあるAmazonや楽天koboなども、海外利用の表記になりやすいサービスです。
覚えがない決済はカード会社に連絡
利用伝票と金額が合っていない請求があるときは、すぐにカード会社へ連絡しましょう。不正利用の場合、基本的に「利用日から60日」が期限です。
「利用日から実際に明細が確定するまでの期間」は、加盟店がカード会社にデータを送る時期によってさまざまです。なかには、確定までに1カ月以上かかることもあります。
不正利用から2カ月以内の申告がリミットと考えると、毎月きちんと利用明細を確認する必要があるでしょう。場合によっては、明細確認からすぐに連絡をしないと間に合いません。
不正利用による請求ではなく、何らかの原因で「二重請求」が起きている可能性もあります。二重請求の場合はカード会社に連絡すると、取り消し処理が可能です。
連絡先はカード裏面や、公式サイトに記載されています。すぐにカードを停止する必要があるときは、紛失・盗難窓口で「利用停止」も検討しましょう。
なお、不正利用で補償される場合でも、調査にはある程度時間がかかります。引き落とし日後に不正利用が認められたときは「後日返金」扱いとなり、不正利用分の仮払いが発生する可能性があります。被害が大きくなると手元の資金が減ってしまうため、早めの対応を心がけましょう。
まとめ
クレジット決済で利用者がもらうレシートは、カード会社との取り引きを証明する「利用伝票」と店舗との取り引きを証明する「レシート」です。
レシートと伝票が一体化したものをもらえたり、省略されたりするケースもありますが、もらえなくても問題はありません。経費として計上するなど、必要なときは領収書か代わりになるものを求めましょう。
利用伝票には一部個人情報が記載されているため、捨て方にも注意が必要です。レシートの記載事項がクレジットカードの利用明細書と異なる場合は、早めにカード会社へ問い合わせましょう。