転職時はクレジットカード会社に連絡しよう
クレジットカードの入会をする際、勤務先や職業、年収などの「個人の属性」をカード会社に申告します。カード発行後に転職をして内容が変わった場合、必ずカード会社に連絡しなければなりません。
遅延なく届け出が必要
カード会員はカード会社に登録している個人情報に変更が生じた際、遅延なく届け出をする必要があります。電話番号や住所、口座番号はもちろん、転職で「勤務先」が変わったときも同様です。
クレジットカードは、個人の「信用」に基づく取引であるため、契約者の最新情報を把握しておくことはカード会社にとって必要不可欠といえます。
届け出については、「カード会員規約」の「届出事項の変更」という条項に記されているケースが大半です。カードを新規発行した際は、会員規約に一通り目を通しておきましょう。
書面やオンラインで手続き
勤務先の登録や変更は、「書面」または「オンライン」で行えるケースがほとんどです。
書面の場合は、「諸変更届」の書類をWebサイト上で請求し、記入後に返送します。オンラインの場合は、「カード会員専用サイト」にログインして変更手続きを行います。
なお、セゾンカードはカード会員専用サイトでの変更ができません。「インフォメーションセンター(電話)」「郵送」「セゾンセンター(窓口)」のいずれかを選択しましょう。
届け出をしないとどうなるの?
転職後や離職後に届け出をしない場合、カード会社からのペナルティはあるのでしょうか?結論からいうと、大きなペナルティや罰則はありませんが、後々のカード審査や住宅ローンの審査に影響が出る場合もあるようです。
再審査があった場合に発覚しやすい
変更を忘れても、現在使用中のクレジットカードの利用に影響はありません。だからといって変更届を出さないでいると、「途上与信」と呼ばれる再審査に悪影響を与える可能性があります。
カード会社では審査時に記録された勤務先に連絡をして、本人の「在籍確認」を行います。
在籍が確認できない場合は「無職扱い」となり、「カードの増枠が認められない」「利用可能枠が制限される」といった不利な状況をまねく恐れがあるのです。
住宅ローン等に影響が出る場合も
カード申し込み時、カード会社に申告した情報はすべて「信用情報機関」に登録されます。
信用情報機関とは、クレジットやローンの契約や申し込みに関する情報を扱う機関で、日本には「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」「株式会社日本信用情報機構(JICC)」「一般社団法人 全国銀行協会(JBA)」の三つがあります。
カード会社から「勤務先無し=無職」と見なされれば、その情報は信用情報機関にも登録され、ほかのカード会社や金融機関にも共有されてしまうのです。当然、無職では自動車ローンや住宅ローンを組むことはできません。
「なぜか審査に落ちてしまう」というときは、信用情報機関の「情報開示制度」を活用して、自分の情報がどう記録されているかを確認してみるとよいでしょう。
転職をしても今まで通りカードは使える?
転職をすると、カード利用にどんな影響があるのでしょうか?変更届を提出すると、その情報は信用情報機関に登録され、多くのカード会社に共有されます。通常はそのままカードを利用し続けられますが、以後の「カードの入会審査」や「途上与信」に影響を与えるでしょう。
限度額の変更や更新できない可能性もある
転職をして年収が減ると、「変更届を出したときにカード利用が制限されるのでは…」と心配になる人もいるでしょう。基本的に、変更届の提出に伴う審査は行われないため、カードは通常通り使えます。突然、回収されることはありません。
ただし、変更後の情報は、「途上与信」の材料になります。「年収が大幅に減った」「安定した継続収入が見込めなくなった」といった場合は、途上与信後に限度額が下がったり、カードが更新できなかったりする可能性があるでしょう。途上与信は、以下のタイミングで行われます。
・カード更新時(3~5年)
・キャッシング枠を利用したいとき
・カード利用可能枠を増枠したいとき
新規発行するカードの審査に通りにくい
カードの申し込み条件の一つに「安定継続収入があること」が挙げられます。「年収が多いほど審査に受かりやすい」と思われがちですが、実際は「勤続年数」が重視されます。
審査基準は公開されていないものの、「同じ会社に長く勤務している=安定継続収入がある」と判断するカード会社は少なくありません。
「転職直後の人」「短期間に転職を繰り返している人」は、カード会社に「また転職をするのではないか?」と疑われ、審査で不利になってしまうのです。
転職後に入会審査に通るコツ
カードの新規発行をするのであれば、「転職前」が有利です。転職後は入会審査のハードルが上がるため、申し込みには慎重になる必要があるでしょう。転職後は「申し込みの時期を見極める」「クレヒスに傷を付けない」の2点に注意する必要があります。
6カ月以上勤めてからにする
「転職直後のカードの新規申し込み」は避けた方がよいでしょう。カード会社は「安定継続収入」を重視しているため、少なくとも6カ月以上勤めてから申し込みをするのが賢明です。
「今すぐカードを作る必要がない」というのであれば、1年間しっかりと勤めた上で申し込むのがベターです。逆に、「どうしてもすぐにカードを発行したい」という人は、審査のハードルが低めのカードを選びましょう。
銀行や信販会社が発行するカードは審査が厳しいですが、スーパーや百貨店などの小売店が発行する「流通系カード」なら発行できる可能性があります。
ほかのカードで延滞しない
現在使用中のカードがある人は、「支払いの滞納」に注意しましょう。転職後に限りませんが、良好な「クレジットヒストリー」を積み上げることが、入会審査をクリアするポイントになります。
クレジットヒストリー(クレヒス)とは、クレジットカードやローンの利用履歴及びそれに基づく信用情報のことです。「契約内容」「返済履歴」「金融事故情報」などが含まれ、信用情報機関を通じて多くのカード会社に共有されています。
既存のカードで「支払いの滞納」があったとしましょう。その情報は信用情報機関に加盟する企業に広く共有されるため、他社で新たにカードを申し込んでも「返済能力に問題がある」と見なされて審査落ちしてしまうのです。
逆に、過去に良好なクレヒスを築いてきた人であれば、転職して日が浅くても審査に受かる可能性があります。
職業が自営業になるときの注意点
一般的に、「自営業」や「個人事業主(フリーランス)」は、会社員よりもクレジットカードが作りにくいといわれています。独立を考えている人は、会社員のうちにクレジットカードを発行しておいた方がよいかもしれません。
会社員より発行が難しいと考えておく
自営業は、「安定継続収入があること」というカードの発行条件に必ずしも一致しません。
会社員は毎月一定の収入が得られますが、自営業は月々の収入が変動します。収入が突然ゼロになってしまう恐れもあり、カード会社には「貸し倒れのリスクがある」と見なされてしまうのです。
とりわけ、独立直後は「事業を継続した実績」がないため、審査落ちする確率が上がります。
雇用形態でいえば、審査に通りやすいのは「公務員」や「正社員」です。正社員であれば、大企業や上場企業に勤めている人の方が評価は高くなるでしょう。
一方で、自営業・フリーランス・契約社員・パート・アルバイトは「収入」や「社会的信用」の面で、評価が下がる傾向があります。
お目当てのカードは独立前に発行する
自営業はクレジットカードが作れないわけではありませんが、会社員に比べると審査のハードルが上がります。お目当てのカードがあれば、脱サラ前に発行しておくのが賢明でしょう。
クレジットカードは発行元によって、いくつかの種類に分類されます。中でも、銀行が発行する「銀行系カード」や、国際ブランドが独自に発行する「プロパーカード」は難易度が比較的高めなので、独立後に申し込めば審査に通らない可能性も出てくるでしょう。
独立後に作りやすい経費の決済用カードも
自営業者や個人事業主は、個人用のカードとは別に「事業経費の決済用カード」を作っておくと便利です。確定申告では、法人向けカードの明細をそのまま「経費」として記録できます。
クレジットカードには大きく「個人向けのカード」と「法人向けのカード」があります。独立後であれば、法人や個人事業主などを対象とした「法人向けカード」の発行を検討しましょう。
法人向けカードの入会審査では、「行っている事業の信頼性」に重きが置かれるため、「安定した継続収入」が絶対条件ではありません。ただし、独立して間もない企業や個人事業主は、大企業に比べて「貸し倒れのリスク」があるため、審査は慎重に行われるようです。
法人カードと一口にいっても、申し込み条件はさまざまです。設立3年以上の法人向けのカードもあれば、設立間もない法人や個人事業主でも申し込みできるカードもあります。それぞれの条件を比較して、審査ハードルが高すぎないものを選びましょう。
まとめ
転職後は、カード会社のルールに従い「届出事項の変更」を行いましょう。大きなペナルティはないものの、放置しておくと「無職扱い」となり、カード更新や利用可能枠の増枠ができなくなるかもしれません。
個人向けのカードは、社会的な信用や安定継続収入が重視される傾向があります。転職直後は審査落ちする確率が高いため、少なくとも半年以上の期間を空けるのがベターでしょう。新規カードを作るなら、脱サラをする前が断然有利です。