- 海外でのクレジットカードの役割
- 支払い能力、身分の証明になる
- 特にヨーロッパでの旅行、生活に必須
- 海外旅行保険や盗難補償などが付く
- 海外に行く前に準備すること
- 複数の国際ブランドのカードを用意
- カード会社の問い合わせ先を確認
- 支払方法で日本と違うところ
- 分割やボーナス払いは選択できない
- レストランでの使い方
- 海外で使えないケースがある?例を紹介
- パスポートを携行していない場合
- 郵便番号の入力を求められる場合
- システムに不正利用を疑われた場合
- クレジットカード海外利用の注意点
- 海外でのカード決済は手数料がかかる
- 決済時の確認とレシートの保管は必須
- スキミング等の犯罪に巻き込まれないために
- ICチップ付きカードを使う
- 安全性の高いNFC決済を使う
- まとめ
海外でのクレジットカードの役割
海外旅行や出張時には、クレジットカードを持っていくと便利です。現金を使うシーンが多い日本とは異なり、キャッシュレス化が進んでいる国も増えています。保険や補償などのメリットもあり、海外に行くときには携帯しておきたいカードです。
支払い能力、身分の証明になる
日本でクレジットカードというと「支払いを後払いにできるカード」と考えがちですが、海外では別の役割も果たします。状況によってはカードを保有していることで「支払い能力があること」を示せる上、身分を証明できるカードにもなるのです。
たとえば、海外のホテルやレンタカーの利用には「デポジット」を求められるケースがあります。日本でもSuicaなどの発行時に必要となりますが、「預かり金」として求められるお金です。
ホテルであれば食事や有料のルームサービス利用時にデポジットから代金が差し引かれ、レンタカーは返却までの保証金として使われます。
クレジットカードを持っていると「(カード会社の審査に通った)信用のある人」と見なされ、現金払いよりも有利な金額を提示されることも多いでしょう。
さらに、現金は一度預け入れが必要ですが、クレジットカードならカード情報を控えられるのが一般的で、問題がなければ請求はされません。
デポジットはすべてのホテルやレンタカー会社で必要なものではありませんが、日本よりも頻度は高いと考えておきましょう。
特にヨーロッパでの旅行、生活に必須
日本では現金を持たずに生活するには不安がありますが、国によってはキャッシュレス決済が普及しています。クレジットカードを持っておくと、現金が使えない場所でも心配ありません。
特に、北欧はキャッシュレス化が進み、現金の利用シーンが減っています。イギリスでもロンドンのバスは「コンタクトレス決済」や「現地のICカード」に限られており、現金が使えないケースも想定されるでしょう。
キャッシュレスの普及度合いは国によって異なりますが、現金が必要となるケースもあります。露店や店員へのチップなど、多少の現金は持っておくと支払いがスムーズです。
多額の現金を持つのはリスクもあるため、「クレジットカード2〜3枚」と現金をバランスよく組み合わせましょう。
海外旅行保険や盗難補償などが付く
クレジットカードを海外に持っていくと、支払い以外の面でも役立ちます。カードには「海外旅行傷害保険」「盗難補償」「ショッピング保険」などが付帯しているものがあり、万が一のトラブルに備えられるでしょう。
海外旅行保険はカードを持っているだけで利用できる「自動付帯」だけでなく、カードでの旅行代金支払いなど条件付きで適用される「利用付帯」のものもあります。
適用対象も、カードによってさまざまです。たとえば、JCBカードの海外旅行保険は出張や短期留学にも適用されますが、補償期間に指定があります。補償内容を確認し、期間や状況に合わせてビジネスや留学向けの任意保険を組み合わせるのがおすすめです。
そのほか、クレジットカードを紛失した場合の盗難補償や海外で購入した商品の破損やトラブルを補償してくれるショッピング保険なども、付帯されているといざというときに役立ちます。
海外に行く前に準備すること
現地に到着してから慌てないように、渡航先やカード会社の情報を集めるのも大切です。ある程度の準備は、日本で済ませておきましょう。カード選びのポイントも解説します。
複数の国際ブランドのカードを用意
海外に行くときは、「訪れる国で普及している国際ブランド」を調べましょう。渡航先の地域的でどの国際ブランドが主流なのか分からない場合は、世界的にシェアが高い「VISA」か「MasterCard」をメインに、サブブランドを1~2枚持っていくと便利です。
日本でメジャーな「JCB」の場合、世界的なシェアは高くありません。ただし、JCBは世界8都市に「JCBプラザ ラウンジ」があり、現地で日本語サポートを求めるときに役立ちます。
さらに、「アメックス」「ディスカバー」「銀聯(ぎんれん)」とも提携しているため、JCB以外の3ブランドの加盟店でも利用可能です。ただ、一部使えない店舗があることも想定して、JCB以外のブランドも持っていく方がよいでしょう。
クレジットカードを複数枚持っていくと、死亡・後遺障害を除く海外旅行保険の補償も上乗せされます。複数のカードの金額が合算されるため、より大きなトラブルに備えられるでしょう。
カード会社の問い合わせ先を確認
海外に行く前に、クレジットカードの問い合わせ窓口を調べておきましょう。カードの裏面に記載されている番号やインターネットの情報は現地でも確認できますが、カードを紛失して慌てる前に別途控えておくのがおすすめです。
「一般の問い合わせ窓口」と「緊急連絡先」を確認しておきましょう。カード会社によっては、海外通話料の負担がない「コレクトコール」を採用しているところもあります。国際電話は料金が高くなりがちですが、事前に調べておくだけでスムーズに問い合わせができるでしょう。
トラブルが起きていないときでも、「カード会社のサポートデスク」は利用できます。チケット予約や観光案内など、日本語でのサポートが必要なときに活用しましょう。
支払方法で日本と違うところ
日本ではクレジットカードでの支払い時に、一括払いや割賦払いなどさまざまな支払方法を選択できます。しかし、海外は日本と同じではありません。どのような支払方法があるのでしょうか?気になるレストランでの使い方も紹介しましょう。
分割やボーナス払いは選択できない
日本では店頭での支払いの際に、一括払い以外の支払い方法を選択できます。しかし、海外では「一括払い」が主流で、店頭で支払方法を聞かれることは基本的にありません。
海外で利用した代金は、原則一括で請求されます。カード会社によっては、毎月一定額を支払う「リボ払い」の設定も可能です。
ただし、事前の設定が優先され、カード利用後の変更ができないケースもあります。リボ払いを希望する場合は、あらかじめカード会社の対応を確認しておきましょう。
2回払いなど複数月に分けて請求額を支払う「分割払い」は設定できるカードが限られており、指定月にまとめて支払う「ボーナス払い」の設定は基本的にできません。
帰国後にリボ払いへ変更できるカード会社もありますが、海外で利用するときは一括で支払える程度に抑えるようにしましょう。
レストランでの使い方
海外のレストランでは、テーブルでの会計が一般的です。スタッフを呼ぶと、会計の伝票を持ってきてもらえます。一例として、チップ文化が根付いているアメリカ圏での使い方を紹介しましょう。
クレジットカードを使うときは伝票の内容を確認し、必要があれば「チップ」の欄に手書きで金額を記載します。何らかの事情で支払いたくないときは「×印」を記入しますが、アメリカではチップを支払うのが一般的です。
ただし、「サービス料」にチップが含まれているときは、追加の支払いは原則必要ありません。必要な項目を記載した後、クレジットカードを伝票に挟みます。
スタッフが伝票を持っていくため、決済が終わるまで待ちましょう。チップだけ現金で支払うときは、チップの欄に×印か「Cash」と記載して現金を手渡しします。
海外で使えないケースがある?例を紹介
日本でもクレジットカードがエラーで使えなくなることがありますが、海外でも同様です。「海外ならではの理由」で、クレジットカードが使えないケースもあります。主な例を見ていきましょう。
パスポートを携行していない場合
海外では、クレジットカードを使うときにパスポートの提示を求められるケースがあります。毎回必要なものではありませんが、何かあったときのためにもパスポートは携帯しておきましょう。
カード利用だけでなく、パスポートは外国人の身分証明書として活用されています。身分証明書を求められる施設への入場や、トラブルの際には提示を求められるでしょう。
クレジットカード利用に限ると、高額決済時の身元確認の目的でパスポートの提示を求められることも多いようです。ホテルや滞在先に置いてきてしまった場合には決済ができないこともあるため、注意しましょう。
郵便番号の入力を求められる場合
アメリカやカナダでは、クレジットカードの本人確認として「ZIPコード(郵便番号)」を求められることがあります。
クレジットカードに登録された番号が必要ですが、求められているのは「現地の郵便番号」です。日本ではクレジットカードに郵便番号を登録する習慣がなく、日本の郵便番号を入力しても利用はできません。
ガソリンスタンドでのセルフ給油や、一部の海外サイトでZIPコードが求められます。カードが使えないときは、「有人カウンター」での手続きが必要です。
ネットショップの場合は、現地で「使い切りのギフトカード」を購入して使う方法もあるでしょう。そのほか、ニューヨークの地下鉄でも、切符購入時にZIPコードの入力欄が出てきます。
システムに不正利用を疑われた場合
日本で使うときも同じですが、不正利用を疑われるとカードは使えません。クレジットカードは不正利用対策を徹底しており、自動的に不審な利用を検知するシステムが備わっているのです。
利用者の普段の行動から、「別人の利用である」と機械的に判断されるとロックがかかります。極端な例では「日本でカードを使った直後に海外で決済されている」などがありますが、普段の利用傾向と異なる決済をする場合は注意しましょう。
心当たりがない場合でも、「カード会社のデータ上で過去の不正利用と一致する」とカード取引が保留されます。想定外に使えない場合に備えて、複数のカードを持っていくとリスクが軽減するでしょう。
クレジットカード海外利用の注意点
海外でクレジットカードを使うときは、手数料や決済時の確認を忘れないようにしましょう。普段と同じ感覚で使っていると、予定よりも請求金額が多くなる可能性もあります。慣れない海外での利用であるからこそ、使った金額をきちんと把握しておくことが重要です。
海外でのカード決済は手数料がかかる
海外でのクレジットカード利用には、所定の「手数料」がかかります。カード会社が日本円を外貨に換えるための、事務コストのようなものです。
また、日本円と現地通貨は常に変動しており、それぞれの国際ブランドが定める「換算レート」によって金額が決まる仕組みです。
現地の外貨口座を持っているケースを除き、「両替」にも手数料がかかります。クレジットカード利用による手数料は、両替手数料と比較しても高くありません。
海外ショッピングの際にかかるカードごとの手数料を比較すると、1.6~3%程度が一般的です。極端な差はないため、使い勝手やポイント還元率で決めるのもよいでしょう。
日本円決済と現地通貨決済が選べるときは「現地通貨決済」がおすすめです。日本円決済は「加盟店側で手数料が決定できる」ため、カード会社が定めたものより高い手数料が発生する可能性があります。
クレジットカード利用ではポイントが貯まり、現金より有利に決済が進められるでしょう。アメックスの有料プログラム「メンバーシップ・リワード・プラス」に加入していると、現地通貨決済で3%のポイントが還元されます。
決済時の確認とレシートの保管は必須
日本でもクレジットカードの利用時にはレシートが発行されますが、海外での利用のときも同様です。請求とレシートの金額が大幅に異なるようなトラブルの際に、証明する手段として役立ちます。
考えているよりもレシートに記載されている金額が大きいことも想定し、決済前の確認も大切です。コミュニケーション不足や間違いなどで、レシートの記載金額が予想よりも高いことはありえます。
また、海外旅行中に使ったお金を把握するためにも、レシートは持ち帰りましょう。日々のチェックで使いすぎを防げます。
スキミング等の犯罪に巻き込まれないために
「スキミング」は、カード情報を読み取って偽造カードを作り出す犯罪です。多くの場合、カード情報が読み取りやすい磁気ストライプが狙われます。
カード紛失時にすぐカード会社へ連絡するのも大切ですが、それ以外の方法でトラブルを防ぐにはどうすればよいのでしょうか?
ICチップ付きカードを使う
日本では、ICチップ搭載のクレジットカード発行が進められています。現在は2022年の「完全IC化」に向けて、ほとんどのクレジットカードにICチップが搭載されている状況です。
現在磁気カードを使っている人も、カードには5年間の有効期限が設けられているため更新時に順次切り替えられます。また、カード会社によっては、希望すれば有効期限前の「切り替え」も可能です。
「ICチップ」搭載のカードは、ICチップに大切な情報が組み込まれています。現状、日本発行のカードでは、加盟店側の「ICチップ読み取り機」の未導入に対応するために磁気ストライプと併用されているカードが主流です。
ただ、ICチップは「情報の暗号化」に対応しており、盗まれるリスクが低くなります。磁気のみのカードに比べて、スキミングなどの犯罪に強いといえるでしょう。海外にクレジットカードを持っていくときは、ICチップ搭載のものにするのが賢明です。
なお、クレジットカードと似た使い方ができる「国際ブランド付きプリペイドカード」は、現状ICチップの搭載義務がありません。磁気ストライプのみのカードの場合、海外で利用するときは注意が必要です。
安全性の高いNFC決済を使う
国によっては、「VISAタッチ決済」「MasterCardコンタクトレス」などのNFC決済が普及しています。NFC決済は端末にカードをかざして決済する支払方法です。日本でも、20年からNFC決済機能搭載のカードが普及し始めています。
スタッフにカードを渡す必要がなく、暗証番号の入力も必要ないことからセキュリティの高い決済方法です。カードを渡したときに情報を盗まれるリスクや、暗証番号を見られる心配もありません。
非接触決済に対応している場所では、積極的にNFC決済を利用しましょう。店舗だけでなく、シンガポールやロンドンなどでは交通機関にも対応しています。
まとめ
海外では、クレジットカードが役立ちます。保険や補償が使えるだけでなく、キャッシュレス化が進む国ではスムーズな支払いも可能です。
まずは、渡航先で使いやすい国際ブランドを調べておきましょう。トラブルに備えて複数枚を持っていくのがおすすめです。
現地ではICチップ対応のクレカを使用し、読み取り機に挿入せずにかざして決済できるNFC決済も活用しましょう。