デビットカードの特徴
お店やオンラインで使えるカードといえば、クレジットカードが思い浮かびますが、「デビットカード」を利用している人も一定数存在します。基本的に審査が不要なため、クレジットカードが持てない人や18歳以下の高校生でも利用が可能です。
デビットカードは即時引き落とし
「デビットカード」とは、カードの支払いと同時に、自分の預金口座から利用額が引き落とされる仕組みのカードです。
プリペイドカードのような事前チャージは不要ですが、「預金口座の残高=カード残高」となるため、口座残高がない場合は決済ができません。
デビットカードの利点は際限なくお金を使う心配がない上に、口座一つでお金の管理ができる点です。三井住友銀行のデビットカードの場合はアプリやWebサイトで「利用上限の設定」が行えるため、より計画的にお金が使えるでしょう。
国際ブランドが付与されているデビットカードは、必要に応じて海外のATMで現地通貨が引き出せます。クレジットカードのキャッシング(借り入れ)は利息が生じますが、デビットカードは自分の口座からお金を引き出すだけなので利息はかかりません。
銀行が発行している
デビットカードを発行するには、「自分名義の銀行口座があること」が前提です。申し込みの手続きは、銀行の「窓口」または「Webサイト」にて行いましょう。デビットカードには主に以下の種類があります。
・国際ブランドが付与されたデビットカード(Visaデビット・JCBデビットなど)
・ジェイデビットカード
「ジェイデビットカード」は、手持ちのキャッシュカードで直接支払いができる即時決済サービスで、新たにカードを発行する必要がありません。
全国の「J-Debitマーク」のある加盟店では、カードを提示して暗証番号を入力すると、利用代金が口座より直接引き落とされます。
「国際ブランドが付いたデビットカード」は、JCBデビットはJCB加盟店、VisaデビットはVisa加盟店といったように、「ブランドの各加盟店舗」でのみ決済が可能です。
基本的に審査がなく、高校生も使える
申し込み可能な年齢は発行元によって若干の違いがありますが、「中学生を除く15歳以上」、または「16歳以上」を対象としているケースが多いようです。
海外留学に行く高校生に、クレジットカードの代わりとしてデビットカードを持たせる親も少なくありません。
デビットカードには、クレジットカードのような「入会審査」がなく、無職の人や専業主婦(夫)、アルバイトの大学生でもつくりやすいといわれています。
年会費は基本的に無料ですが、中にはクレジットカードの上級ランク並みの特典が付いた有料カードも存在します。
クレジットカードの特徴
クレジットカードの保有率は年々増加傾向にあります。電子マネーにチャージをする手段としても欠かせません。クレジットカードは、利用者のカード代金を一時的にカード会社が肩代わりする仕組みを取っており、「入会審査」が行われるのが特徴です。
まとめて引き落とし、後払いができる
クレジットカードは、カード会社がカード利用金額を一時的に立て替える仕組みのため、利用者は手元にお金がなくてもショッピングが可能です。
即時払いのデビットカードに対し、クレジットカードは「後払い」で、1カ月分の利用金額は「翌月以降」に利用者の口座にまとめて請求されます。
デビットカードは原則店頭で1回払いしかできませんが、クレジットカードは「分割払い」や「リボ払い」などのさまざまな支払い方法に対応しています。1回の支払い負担を減らしたいときは、クレジットカードが便利でしょう。
カードでショッピングができる「ショッピング機能」のほかに、カードを使ってお金の借り入れができる「キャッシング機能」が付帯しているのも大きな特徴でしょう。
ただし、キャッシングを利用すると、毎月の返済ごとに利息がかかる点に注意が必要です。
種類豊富で自分に合うカードが選べる
クレジットカードはデビットカードと比べ物にならないくらい種類が豊富です。どのカードにも多くの特典が付帯しており、内容が自分のライフスタイルに合っていれば、日常生活や旅先でさまざまな恩恵が受けられるでしょう。
カードの使いやすさは、「発行元」「国際ブランド」「ランク」などに左右されます。
例えば、日本で流通している代表的な国際ブランドは「Visa」「Mastercard」「JCB」「アメックス」などがあり、カードごとに加盟店舗数や利用しやすいエリアが異なります。
カード発行元は「銀行系」「流通系」「信販系」などの複数の系統に分けられます。系統の特徴やメリットを調べた上でカードを申し込むようにしましょう。
「カードのランク」は、「一般」→「ゴールド」→「プラチナ」→「ブラック」の順にランクが上がるのが一般的です。ランクの高いカードは年会費が高額になるため、コストと特典のバランスが大事です。
審査があり、原則18歳以上が対象
クレジットカード申し込める年齢は、原則「高校生を除く満18歳以上」で、成人年齢に達していない人は「親権者の同意」が必要です。
カードのランクや種類ごとに「申し込み条件」があり、条件に合致する人しか申し込みはできません。中には「30歳以上で安定継続収入が必要」とされているカードもあります。
申し込み後、カード会社による「入会審査」が行われるのもクレジットカードの特徴です。審査では主に「個人の返済能力の有無」がチェックされます。
返済能力がない人にカードを発行してしまえば、貸し倒れのリスクを被ってしまうため、審査なしでカードが発行されることはありません。
クレジットカードの方がお得度は高い
「ポイント還元率」「付帯特典」「入会キャンペーン」などの面で比較した場合、クレジットカードはデビットカードよりも、ややお得度が高いといわれています。
クレジットカードは優待割引などでお得
カードをショッピングで利用すると、買い物や商品交換、ポイント移行などの用途に使える「ポイント」が還元されます。一般的な還元率は0.5%ですが、1%以上の高還元率カードもあり、使い方次第では家計の節約に大きく貢献してくれるでしょう。
ポイント還元が受けられるほかに、クレジットカードには複数の「特典・サービス」が付帯しています。
スーパーや百貨店が発行するカードの場合、特定の店舗でカードを使うと割引が受けられたり、ポイントが倍付けされたりする優待が付帯しているケースが大半です。
また、カード会社では「ポイントモール」と呼ばれるポイント優待サイトを設けており、カード会員がモール経由で買い物をすると、通常よりも多くのポイントが貯まります。
入会特典が豪華なのもクレジットカードの魅力で、新規申し込みと利用で数千円~1万円相当のポイントが進呈されるカードも少なくありません。
デビットカードも割引やポイント還元あり
デビットカードにもポイントプログラムがあります。カードにもよりますが、ポイント還元率はクレジットカードとほぼ同等かやや低めと考えましょう。
「楽天銀行デビットカード」の還元率は楽天カードと同率の1%で、100円につき1ポイントの楽天ポイントが付与されます。
イオンの「デビットカード(イオン銀行キャッシュ+デビット)」は、イオンカードと同率の0.5%のポイントが貯まる上、「お客さま感謝デーの割引」も受けられます。「クレカを使わずにお得に買い物がしたい」という人にはぴったりでしょう。
付帯特典の充実度はクレジットカードの方が上ですが、年会費がかかるデビットカードの中には、クレジットカードに負けず劣らずの豪華な特典が付帯するものもあります。
なお、ポイントや特典が付くのは「国際ブランドが付いたデビットカード」です。
機能はどちらもカードによって差がある
デビットカードやクレジットカードは、ランクやカードの種類などによって機能や付帯特典が異なります。
カードを選ぶときは、「クレジットカードとデビットカードのどちらがよいか」だけでなく、「どのランクのカードが自分に合っているか」までしっかり考えましょう。
クレジットカードは支払い方法が選べる
クレジットカードの支払い方法には、「1回払い」「2回払い」「分割払い」「リボ払い」「ボーナス払い」などがあります。1回払いしかできないデビットカードと比べると、クレジットカードは月々の収支がコントロールしやすいといえるでしょう。
ただし、どの支払い方法が選択できるかは、「カードを利用する加盟店」や「カードの種類」によって異なります。加盟店の中には「1回払いはできるが、分割払い・リボ払いには対応していない」というところもあるようです。
一部のカード会社では、お店での1回払いが全てリボ払いになる「リボ専用クレジットカード」も発行されています。クレジットカードの支払い機能と一口にいっても、カードの種類や加盟店ごとに差がある点を覚えておきましょう。
支払い方法以外に大きな違いはない
「支払い方法以外」は、クレジットカードとデビットカードに大きな違いはありません。クレジットカードには、カードの種類やランクに応じた「旅行傷害保険」や「空港ラウンジサービス」などが付帯していますが、デビットカードも同様です。
例えば、楽天銀行のデビットカード(Visa)には、「ベーシック」「シルバー」「ゴールド」の三つのランクがあります。
基本的な機能やサービスのみが付帯したベーシックに対し、年会費5500円(税込)のゴールドには、「Visaゴールド優待特典」や「旅行傷害保険」などが付帯しています。
また、年会費3万3000円(税込)の「タカシマヤプラチナデビットカード」には、世界1000以上の空港ラウンジを6回まで実質無料で利用できる「ラウンジ・キーサービス」が付いており、クレジットカードの「プラチナランク」に引けを取りません。
デビットカードだけを使うのはあり?
「自分はデビットカードだけで十分」と考える人もいますが、クレジットカードがないと「クレジットヒストリー」が育たず、将来のローン審査に影響を及ぼす恐れがあります。
クレヒスが育たない点に注意しよう
「クレジットヒストリー(クレヒス)」とは、クレジットやローンの取引履歴と、それに基づく個人の信用情報を指します。クレジットカードを契約すると、契約内容や利用実績が「信用情報機関」で保管され、多くのカード会社に共有されます。
カード会社では、消費者がカードやローンの申し込みをした際にクレヒスを照会し、「支払い能力があるか」「過去に滞納や強制解約などをしていないか」を確認するのです。
支払いの遅延なくクレジットカードを使い続けると、良好なクレヒスが積み上がっていき、カード会社の信頼が得られるようになります。将来、カードやローンの審査に通りやすくなるでしょう。
一方で、口座残高内取引であるデビットカードは、信用情報機関に情報が記録されません。30代を超えてもクレジットの利用履歴がないと、いざクレジットカードを申し込もうと思っても、入会審査に通らない恐れがあります。
カード会社に「過去に金融事故を起こしたのでは?」「カードをつくれない理由があるのでは?」と支払い能力を疑われてしまうためです。
まとめ
クレジットカードとデビットカードの大きな違いは「支払い方法」です。クレジットカードは後払いで複数の支払い方法から選択ができるのに対し、デビットカードは原則、即時払いで1回払いにのみ対応します。ポイント還元や付帯特典に大差はありません。
デビットカードは「入会審査なし」「使いすぎが抑制できる」というメリットがあるものの、クレヒスが育たないのがネックです。
生活費はデビットカードで支払い、その他の支出はクレジットカードを使うといったように、二つのカードを使い分けるのがよいでしょう。